<吉祥寺残日録>トイレの歳時記🌾七十二候「雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)」に妻が2度目のワクチン接種を終える #210923

岡山から東京に戻ると「秋分の日」。

二十四節気の「秋分」について我が家のトイレにかけてある歳時記カレンダーには、『彼岸の中日。古代中国では「龍淵に潜む」と説かれた。この日より、夜が長くなる』との解説が付されている。

中国の人たちは、龍のことを「雨と日照りを自在に操れる神獣」と考え、「春分に天に昇り、秋分に淵に潜む」と言い表してきたそうだ。

これが日本に伝わり、「龍淵に潜む」は秋分のことを表す秋の季語となった。

そして秋分の初候は「雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)」という。

その意味は、「この頃より雷がならなくなる」と書き添えられていた。

そういえば、今年はよく雨が降ったが、あまり雷の音を聞かなかったような気がする。

今朝は東の空に雲がかかっていたが、昼までには青空が広がり、真夏のように気温が上がった。

もちろん、雷はならなかった。

その代わり湿気が多く、せっかくの爽やかな秋の空気はどこかへ飛んでいってしまったようだ。

昨夜岡山から戻り、伯母の介護をどのように進めるかをめぐり、さっそく妻と口論となった。

私たちが帰省した時ぐらい一時帰宅をさせてあげたいと言う私に対し、妻は中途半端に家に連れて帰ると、せっかく施設に慣れてきたのにかえって伯母を苦しめるだけだと譲らない。

これ以上話していても険悪な雰囲気になるだけなので、病院から介護施設に移ったタイミングでプロの意見を聞きながら判断すればいいと結論を先送りした。

妻にとって、何事にも抵抗する伯母との日々は今も深いトラウマとなっているようだ。

そんな妻は今日、2度目のコロナワクチン接種を受けた。

アナフィラキシーショックを起こしたことのあるセンシティブな体質なので、武蔵野市の大規模接種会場となっている総合体育館まで私も同行する。

今日は祝日ということもあって、接種会場はとても混雑していたようで、予想以上に時間がかかった。

それでも心配された副反応はそれほど出ていないようで、ひとまずはホッとして家路につく。

秋分の日の吉祥寺は、ものすごい人出だった。

過去最大の大波となった第5波もようやく鎮静化し、今月末の緊急事態宣言解除も視野に入ってくると、自ずとみなさん自分の判断で街に出てくるのだ。

コロナ前の人混みがどの程度だったのかもうすっかり忘れてしまったようで、たくさんの人間を見ると反射的に恐怖を覚えてしまうようになった。

昨夜11時ごろ羽田空港から吉祥寺に戻ってきた時も、南口にはたくさんのポン引きのお兄さんたちが路上に立ち、たくさんの居酒屋が営業していた。

どの店も大賑わいで、客たちはみんなお酒を飲みながら大声で話していた。

こんな状況でも感染者が減る時には減るのである。

ワクチンのせいなのか、お店の感染対策のおかげなのか、それともウイルスそのものの変異のせいなのか?

コロナ禍では「科学的根拠」という言葉がよく聞かれたが、2年近く経っても、今もコロナウイルスは謎だらけである。

とはいえ、妻が2度目の接種を終えたことで、我が家も通常モードに一歩近づいたようだ。

あと数日妻の様子を観察し、異変がなければ来月の帰省スケジュールを決めようと思っている。

近所のおじさんに指摘された畑の雑草対策を急がなければならない。

今度は草刈機で刈るだけでなく、初めて除草剤も散布してみるつもりだ。

慣れない作業だし、全部の畑でしっかり草刈りをするためには時間もかかるだろう。

来月は2週間程度岡山にいて、草刈りだけではなく来年以降の農地の管理をどのように進めるのか、近所の農家さんや行政の相談窓口なども訪ねて真面目に検討しようと思っている。

誰かに教えてもらってブドウの栽培を自分でやってみるのか、誰か代行してくれる人を探すのか、新規就農を考えている若者を探して農業クラブのような仕組みを立ち上げるのか、いろいろな選択肢がある。

今日インターネットでいろいろリサーチしてみると、岡山で草刈りや除草剤散布を代行してくれる業者もいくつかあるようだ。

除草剤の代わりに数年にわたって雑草を防いでくれる「防草シート」というものを畑全体に敷き詰めるという方法もあるらしい。

でも当然のことながら、人の手を借りるとなるとかなりの費用が必要である。

とりあえず来年は自分たちだけでどこまでできるか試しながら、一緒に作業してくれる岡山在住の人を探すことにトライしてみようと思う。

行政でも新規就農者を全国から募集する試みを行っていて、伯母の農地からそれほど遠くない場所に「三徳園」という岡山県が運営する農業研修施設があることも知った。

ここで研修を受けてプロの農家を目指す若者たちもいるようなので、彼らがもし農地探しに困っているようならば、我が家の農地も多少のお役に立てるかもしれない。

伯母の手を離れ私があの農地を管理しなければならないと考えると、責任とともに様々なアイデアや夢も湧いてくる。

どうせなら、危機に瀕している日本の農業のために微力ながらお役に立ちたいものだ。

ポストコロナは旅行三昧と決めているが、伯母の介護と農地の管理からは当分逃れられそうにない。

<吉祥寺残日録>山梨の若き農業経営者「加賀見桃農園」を訪ねる #200728

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