2泊3日の岡山帰省は今日が最終日。
昨夜は持ち帰ったブドウを母が夜遅くまで1粒1粒切り分けて、食べやすくする作業をしていた。

放置プレーで小粒、種あり、房が異常に長かったシャインマスカットも、こうして粒の集合体になれば、それなりに宝石のように見える。
食べてみると、味は薄く、いつも食べていたマスカットとは比べるべくもない。
今年は特に、雨の日が多く、日照不足のためプロの作ったブドウも出来が今ひとつらしいので、雨に打たれて放置されていたブドウにしては上出来と言わねばなるまい。

味はイマイチなれど、今年が最後のブドウの収穫になる可能性も高く、家族にとっては間違いなく思い出のブドウである。
今日もブドウ畑に行って、「ピオーネ」という黒ブドウを収穫してきた。
私の母一人ではとても食べきれない量なので、私の自宅と弟の家宛に箱詰めし、宅急便で送ることにした。
伯母の家の納屋に残っていた段ボールの箱を拝借し、そこにシャインマスカットとピオーネをビッシリと詰めて送った。
それでも、母の手元には大量のブドウが残っているため、母はそれを冷凍するという。
我が家では生食のほかに、カレーに入れたりジャムに加工したりして、何ヶ月もかけて消費するのだ。

納屋の前に椅子を出して、摘んできたブドウの房から傷んだ粒を取り除く作業をしていると、前の家のおじさんが私の姿を見つけてやってきた。
「秋まつりの時、毎年おたくの家の庭に竹飾りを立てさせてもらっていたんだが、今年も立ててええかな?」
伯母が入院したことを知っているおじさんは、私に一応了解を取ろうと思ったらしい。
「もちろん、どうぞ。留守でも大丈夫ですか?」と聞くと、勝手に立てて勝手に撤去するから大丈夫だと言う。

ちょうどいい機会なので、私はおじさんに聞いてみた。
「畑をどうしようかと考えているんですが、ブドウとかの作り方って教えてもらえませんか?」
すると、おじさんからは意外な答えが返ってきたのだ。
「その前にまず除草剤じゃ。畑の草をどうにかして欲しいって噂になっとる。みんな直接は言わんで裏で噂するからな。」
やっぱり、そうだったのだ。
うちの畑の雑草が周辺の畑の迷惑になっているに違いない。
そう思って私は定期的に草刈りを始めたのだが、それでも通いだとどうしても草ぼうぼうになってしまう。
近所の人たちは、私がたまに来ては草刈機を持って畑に行っているのを黙って見ていたのだと思った。

「やっぱり、除草剤ですか?」
私はそう答えて、せっかくの機会なので、おじさんにどれが除草剤なのかを見てもらった。
すると、伯母の倉庫にあった「ラウンドアップ マックスロード」と「バスタ」というのが除草剤だと分かった。
それぞれ特徴があって、「ラウンドアップ マックスロード」は葉っぱから入って雑草の根まで枯らす効果があるがスギナには効かない、一方の「バスタ」は根は枯らすことができないが地表部分は全部枯らすことができスギナにも有効なのだという。
これを両方混ぜて水で薄めて年に3〜4回散布するだけで雑草対策ができるというのだ。
雑草が膝丈ぐらいまで伸びたところで散布するのが効果的らしい。

伯母の倉庫には除草剤を撒くためのタンクなども置かれている。
以前一度、伯母に教えられて除草剤を撒いたことがあるが、その時には駐車場に生えた雑草を駆除するのが目的で、あの広い畑に除草剤を撒く日が来ることなど想像もしていなかった。
でも、裏で噂するだけでなく直接教えてくれたおじさんに感謝しつつ、来年はまず手が回らない畑には除草剤を撒くということを決心した。

それにしても、これが伯母がよく口にしていた田舎のしきたりなのかと感じた。
みんな何も言わないけど、悪い噂はすぐに広がる。
そんな環境の中で、伯母は人から後ろ指を指されないよう気張って生きてきたのだ。
しかし、伯母の世話で頻繁に帰省するようになって、近所の人たちとも話をするようになった。
顔を識別できる人たちも、多くはないものの数人はできた。
わからないことは素直に聞いて教えてもらう、その努力が足りていなかったようだ。
私が草刈機を持って畑に行くのを眺めながら、あんな機械で草を刈ってもすぐに生えるのに・・・そう思われながら時が無駄に過ぎていたのだ。

農協に相談してみるといい、とアドバイスしてくれる人もいた。
うちの畑は形が変形で広い道路にも面していないので、地元の人はまず借りないと思うけど、最近は新規就農の若い人たちのグループもあるので、農協に相談すると畑を使ってくれる人も見つかるかもしれないと言うのだ。
なるほど、やはり形状や場所によって畑にもランクがあるらしい。
確かに自動車でアクセスが容易な場所で形が綺麗な四角形をしている畑の方が管理がしやすいに違いない。
その点うちの畑はアクセス悪く、形も非常に悪い。
私が苦労するのは、当たり前だったということが分かった。

除草剤と農協。
今日教えてもらったヒントを生かして、来年はもう少しちゃんと農地の管理をできるようにならねばならない。
まずは知っている人に相談する、そんな当たり前のことから始めようと決めた価値のあるアドバイスであった。
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