<吉祥寺残日録>トイレの歳時記🌻七十二候「竹笋生(たけのこしょうず)」、緊急事態宣言が出た岡山の竹藪を想う #210515

立夏の末候は「竹笋生(たけのこしょうず)」というらしい。

文字通り、「タケノコが生える頃」という意味だが、トイレでこのカレンダーを見ながら、私は岡山の竹藪のことを思う。

チャーンソーを買って裏山の竹藪の手入れを始めたのは、もう10年ほど前のことだ。

会社の休みを利用して一生懸命竹を切り、少し光が入るようになったと思っても、翌年にはまたものすごい勢いで竹が伸びる。

会社を辞めたら、少し本腰を入れて竹藪と格闘しようと思っていたのに、今年はもう絶望的だ。

それというのも、私が暮らす東京都に加えて、今度は帰省先の岡山県も緊急事態宣言の対象地域になってしまったからだ。

今回新たに、北海道、岡山、広島が緊急事態宣言の対象に加わり、すでに発令されている東京、大阪、愛知、京都、兵庫、福岡を合わせて9都道府県に拡大。

まん延防止等重点措置も、群馬、石川、熊本が追加されて10県となった。

今更特に驚きはしないが、今回の決定については、専門家による分科会が政府の方針に強く異論を唱えたため、政府は急遽方針を変えて、北海道、岡山、広島に緊急事態宣言を出すことにした。

分科会が初めて機能したと言えるのだが、メディアは「迷走」だと批判する。

誰が何をやっても批判される雰囲気が日本中に蔓延しているようで、いささか気持ちが悪いのだが、人間の社会などいつの時代もこんなものだろう。

政治というのは難しいものだ。

とはいえ、岡山に緊急事態宣言が出されようとも、私の生活に大きな変化はない。

東京が対象地域になった段階で、よほどのことがない限り帰省はできないと諦めているからだ。

今年は、タケノコの収穫も竹の伐採も諦めて、来年コロナが収まっていたらちょっと時間をかけて一気に片付けてしまおうと思っている。

今はせいぜい井の頭公園で運動をする程度、昨日もジョギングのついでに、これまでチェックしてこなかった竹や笹の仲間を公園内で探してみることにした。

まず、小鳥の森近くの歩道沿いに生えていたこちらの植物。

植物識別アプリ「Picture This」で調べると、「トウオカメザサ」と表示された。

御殿山の雑木林の足元を一面覆っているのも笹のようだ。

「Picture This」によると「アズマザサ」の仲間と表示された。

少し背が高く、葉の縁が白くなったこちらは「オオバヤダケ」だろうか?

花と違って、「Picture This」でもうまく名前が特定できず、チェックするたびに違う植物の名が表示されるのだ。

それもそのはずで、「一般財団法人 蓼科笹類植物園」のサイトをみると、似たような笹や竹がずらりと分類されている。

正確な名前を特定するのは断念する。

井の頭弁財天の方まで来ると、背の高い笹が生い茂っているエリアがある。

「Picture This」によると、「ヤダケ」と表示された。

ヤダケ矢竹)は常緑多年生のタケ亜科の植物。タケ(竹)と付いているが、成長しても皮が桿を包んでいるため笹に分類される(大型のササ類)。種名は矢の材料となることから。本州以西原産で四国・九州にも分布する。

出典:ウィキペディア

いかにも、矢の材料になりそうで、近くには徳川家光が鷹狩りに来たことを記念する石碑も立っていることから、あえて弁財天の前にこの「ヤダケ」を植えたのかもしれない。

そして、とうとう竹を見つけた。

七井橋のたもとにある売店「明水亭」の裏庭に植えられていたのだ。

「Picture This」で調べてみると、マダケの一種「ホテイチク」と表示された。

直径2-5cm、高さ5-12mの中形の竹。表面に毛は無いが、底部には白く短い毛がある。枝先に葉が2-5枚付く。花は穂状に付き、長さ3-8mm。原産は中国の長江流域、または浙江省、福建省の山地で、黄河以南の山野に分布する。ベトナムではバックカン省など、北部に分布する。日本や台湾などにも移入され、自生化している。開花周期は60年‐120年。

稈の基部から枝下あたりまでの節が斜めになって、節間が不規則に短く詰まって膨らんでいる。それが七福神の布袋の膨らんだ腹を連想させることから布袋竹と名付けられた。

出典:ウィキペディア

とはいえ、竹の種類は日本だけで約600種もあるというので、本当のところ、これが何という竹なのかはわからない。

人の手で管理されているが、伐採もされているようだが、よくみると敷地の生垣から若い竹が突き出して、もう7〜8メートルほどに伸びている。

さらに足元に目を落とすと、垣根の外にまだ生えたばかりのタケノコを見つけた。

タケノコと言っても細い種類のようだ。

このまま放置しておけば、1〜2ヶ月もすると10メートルほどの竹になるだろう。

本当に竹の生命力は恐ろしいほど、タケノコ食べたさに軽い気持ちで植えたら最後、あっという間に周囲の植生を破壊するのだ。

ますます、岡山の竹藪が気になってきた。

何も気にせず、竹藪退治に取り組めるのは一体いつになるのだろう?

 竹やぶ

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