<吉祥寺残日録>トイレの歳時記🌾七十二候「鴻雁来(こうがんきたる)」に感じる首都直下地震のリアル #211008

昨夜の10時41分、ちょうどトイレに入っている時にグラリと揺れた。

妻がいるリビングの方で、一斉に緊急地震速報の警報音がなり、怖がりの妻は「うわ〜」と大声を上げている。

「外に逃げなくていい?」

そう言いながら妻は玄関に向かい、ドアを開ける。

私の体感では震度4ぐらいだったので、「大丈夫だろう」と答えると、妻が「もっと大きかったよ」と譲らない。

テレビをつけると各社地震特番に切り替わり、「東京23区で震度5強」というタイトルが踊っていた。

そうしているうちに各地の震度が発表され、東京足立区や埼玉の川口市が震度5強だが、都心は震度4、私たちが暮らす武蔵野市は震度3と出た。

震度3よりは揺れが大きかった気がするが、マンションの階によって揺れも違うのだろうと思った。

いずれにせよ、地盤の良し悪しで震度の違いが出ているように感じる。

震源は千葉市付近で深さは80メートル、マグニチュードは5.9で、明らかにプレート型の地震である。

震源がもう少し浅ければ、被害が広がったかもしれない。

それでも、人口が密集する首都圏の弱さが露呈し、昨夜は多くの帰宅困難者が発生、各地でエレベーターが止まったり水道管が破裂するトラブルも起きた。

今朝になっても混乱は続き、JR東日本の電車に乱れた出て駅の入場規制のため長い行列ができるところもあった。

この程度の地震ですらこの混乱ぶりだ。

本格的な首都直下地震が起きたら、一体どんな大混乱が起きるのだろう?

そんな混乱の中で、私は予定通りに岡山へ帰省している。

朝の全日空機で羽田から岡山に飛んだ。

リムジンバスも飛行機も通常通りに運航していたので、ホッとした。

空港でレンタカーを借りると、真っ先に時計屋さんに向かった。

8月に修理を依頼した振り子時計を受け取るためだ。

10時の開店時間よりも早く着いてしまい、20分ほど周辺の商店街をぶらぶら見物して時間を潰した。

長年止まったままだった柱時計は、ゼンマイ式からクオーツ時計に生まれ変わって私の前に出てきた。

見た目はレトロなままだが、振り子ではなく電池で動く。

新品を買えば3000円ほどで壁掛け時計は買える時代だが、私は昔からあるこの古い時計の修理に2万5000円以上を払った。

馬鹿馬鹿しいといえばそれまでだが、量販店で売られている中国製の壁掛け時計よりもこの時計の方が、やっぱり伯母の家にはふさわしいと思っている。

元の位置に戻ってきた柱時計。

やはり・・・しっくりくる。

昨夜の地震ですっかり寝不足だったため、今日はあまり作業が捗らず、できることをボツボツとこなす。

ブドウ畑に残っている「ピオーネ」を20房ほど摘んで、ついでに色づき始めた「富有柿」も3つほど試しにもいできた。

どちらも売り物になるような出来ではないが、食べられないほど不味くもない。

まさに自然のままに育った果物たちだ。

夕方、気温が下がるのを待って畑の草刈りに向かう。

2〜3ヶ月放置していた畑はすごいことになっていた。

様々な種類の雑草が入り乱れて生い茂っている。

中でも夏に刈り残した「セイタカアワダチソウ」が高さ3メートル以上にも育っていて、これみよがしに黄色い花を咲かせていた。

もうすぐタネを飛ばすと脅迫されているように感じる。

草刈機で端から刈り始めたのだが、どうも作業がはかどらない。

草刈機の回転刃が傷んで切れなくなっているのが原因だった。

日没までの1時間余り雑草と格闘したが、結局今日は一枚の畑の5分の1程度しか草刈りができなかった。

その代わり、ズボンにはビッシリと雑草の種をいただいた。

雑草からすれば、格好の運び屋が来てくれたということなのだろう。

明日は、ホームセンターに行って新しい「チップソー」を買ってこなければ・・・。

何の作物も生産していない畑の雑草を刈る、この作業は「仕事」ではなく「修行」である。

ああ、疲れた!!!

さて話はガラリと変わって、我が家のトイレにかけてある歳時記カレンダーによれば、今日から暦は二十四節気の「寒露」となる。。

「朝夕は肌にやや寒気を感じ始め、そぞろ秋も深まりゆく」頃という意味である。

そして「寒露」の初候は「鴻雁来(こうがんきたる)」というらしい。

「ガンが北地より飛来する頃」という意味だそうだ。

そういえば、昨日井の頭公園を歩いた時、少し水鳥たちの数が増えたような気がした。

ほとんどは留鳥の「カルガモ」だが、よく見ると冬鳥たちの姿もある。

こいつらは、くちばしの先が黄色ではない。

井の頭公園で配布されている鳥図鑑によれば、「オナガガモ」のメスのように見える。

1週間ほど前からその姿が確認されるようになった。

くちばしがちょっとデカいこいつは「ハシビロガモ」のように見える。

秋になってその姿を確認したのは初めてなので、最近北方から下ってきたのかもしれない。

残念ながら、「ガン」の仲間は井の頭公園にはあまりやって来ないようなので、どうしても見たければ自然文化園に行けば「カリガネ」や「サカツラガン」、「シジュウカラガン」が見られる。

岡山の家は田舎なので、周囲の環境には多くの鳥や死ぬほどたくさんの虫がいる。

しかしあまりに数が多すぎると、観察しようという気にさえならないのだから人間とは勝手なものである。

雑草対策に目処が立ち、周囲の自然を観察できる余裕の日はいつ訪れるのだろうか?

<吉祥寺残日録>異臭騒ぎは地震の予兆? 関東大震災で発展した吉祥寺の歴史 #201014

【トイレの歳時記2021】

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