草刈りを主目的とした岡山への帰省2日目。
昨夜は疲れているはずなのになぜか寝つけず、朝4時前に目が覚めてしまった。
岡山でやるべきことがいろいろあり、そんなことを考えているうちに目が覚めてしまった。
6時ごろまでは布団の中で考え事をしていたのだが、明るくなると同時に起き出して、暑くなる前に草刈りに行くことにした。
まだ太陽は昇っていない。
さすがに働き者の多い田舎でもこの時間には畑には人影がなく、とても清々しい気持ちになる。
草刈機で昨日の続き。
2反の畑を刈るだけでえらい労力が必要だ。
私の背丈を遥かに超える3メートルの「セイタカアワダチソウ」の向こうから朝日が昇る。
今日も雲ひとつないいい天気である。
それにしても高さ3メートルを超える草というのはさすがに凄みがある。
切れ味が落ちた草刈機ではなかなか太刀打ちができない感じだ。
それでも、早朝の時間だと暑さは全く感じない。
10月だというのに今年はやけに暑い日が続き、西日本では今も連日30度越えの日が続いている。
夜明けの美しい田園風景に、私の草刈機の音だけが響いている。
「セイタカアワダチソウ」ほどではないが、こちらも2メートル越えの雑草。
植物識別アプリ「Picture This」で調べると、「ヒメムカシヨモギ」と表示された。
北アメリカ原産で、日本には明治維新の鉄道鉄路沿いに広がったため、「ゴイッシングサ」「メイジソウ」などと呼ばれたそうだ。
そしてこちらは、「猫じゃらし」こと、「エノコログサ」の群落。
個人的に「猫じゃらし」が好きなので刈らずに放置していたら、かなりの面積を占有するようになっていた。
雑草の世界も弱肉強食。
強い雑草が弱い草を駆逐していくのだ。
1時間半ほど刈ったところで、草刈機に草が絡みつき動かなくなったので、いったん撤収。
結局この日は、2反の畑の4分の1程度しか作業が進まなかった。
朝食を食べ、庭の雑草掃除をしていると、前のおじさんがやってきて、謎の円盤をくれた。
除草剤の薄め方がわかる早見表らしい。
畑に撒く除草剤は100倍に希釈するのが良いそうで、20リットルタンクで作用するならば、20リットルの水に対して2種類の除草剤を100ccずつ混ぜて葉っぱに直接かければいいという。
時期はだいたい年3回、5〜6月ごろ、夏、そして今頃だそうだ。
でも、今年は私が草刈りをしているのを知って、除草剤は必要ないだろうと教えてくれた。
来年以降の研究課題である。
妻が実家の両親に会いにいくというので、私はその間にホームセンターを物色しに出かけた。
第一の目的は、草刈機のチップソーという刃の切れ味が悪くなったため、替刃を購入し、研磨するための道具を探すことだった。
私が使っている草刈機に合うチップソーは直径230mmのものだそうで、メーカーの純正品だと1500円ほどするが、拘らなければ1枚600円ほどで買える。
とりあえず使って試してみようと思い、600円の刃を1枚買ってみた。
しかし、研磨する道具については本で見たようなものがなく、もう少し研究してみることにした。
ホームセンターでキョロキョロしていると、興味深い品物がたくさん置いてある。
たとえば、家庭菜園用のミニ耕運機。
卓上コンロ用のガスボンベで動くミニ耕運機が欲しいと思っていたところ、このホームセンターで売られていることがわかった。
妻の承諾が得られれば購入することになるだろう。
こちらはバッテリーで動く噴霧器。
伯母の家にも手動の噴霧器は何台かあるが、広い農地で除草剤を撒くことを考えれば、手動よりも電動の方が楽に違いない。
もし来年本格的に除草剤散布をすることになれば、これも欲しくなるような予感がする。
他にも農作業に適した服や小物類もたくさん並んでいた。
都会では見かけない品々に興味が尽きない。
草刈り専用の衣服も売られていて、私はとりあえず虫除けの網がついた帽子を1つ購入した。
今朝の草刈りの際、長袖長ズボンで体は大丈夫だったのだが、耳の辺りを集中的に蚊に刺されたからだ。
今後お世話になることが増えそうなので、とりあえず今日のところはポイントカードだけ作って大きな買い物は後日ということにした。
ホームセンターを後にした私は、妻をピックアップして自動車販売の「ハヤシ東岡山店」を訪ねた。
帰省の頻度がこうたびたびとなると、レンタカー代が馬鹿にならなくなっていたからだ。
私は少し以前から岡山で軽自動車を購入することを妻に提案していて、妻もようやくその気になってくれた。
「ハヤシ」は岡山にいくつもの店を展開する人気のディーラーのようで、たまたまネットで見つけた。
軽自動車に特化した業者さんのようで、スズキ、ホンダ、ダイハツなど様々なメーカーの「未使用車」が多数展示されていて、メーカーに縛られることなく多くの車種の実物を比較して車選びができる。
「未使用車」というものを私は知らなかったが、車は新品だがすでに登録を済ませている自動車のことをそう呼ぶらしい。
お客さんのメリットは、購入後すぐに車を使えること。
値段も少し安いようだ。
その代わり、普通の新車のように自分好みにオプションを変更することなどはできず、そこにある車の中から気に入ったものを選ぶことになる。
そしてすでに登録済みのため、車検の期間が少し短くなるというデメリットもある。
お店には入れ替わり立ち替わり多くのお客さんでやってきて、Tシャツ姿の若いスタッフが溌剌として対応していた。
アフターサービスも充実しているようで、修理や車検も同じ場所でやってもらえるようだ。
物臭な私にはワンストップで何でもやってもらえるお店はありがたい。
妻もすぐに気に入ったようで、早速車選びが始まった。
私が目をつけていたのは、スズキの「ハスラー」。
「新しい遊べる軽!」というのがキャッチフレーズで、コンパクトなボディーながら車高が高く山道にも強く、田舎道での使用に最も向いていると考えたからだ。
後部座席を倒すとフルフラットになり、濡れたものや汚れたものを積んでも後の掃除が簡単だというのも私たちのニーズにかなっている。
個人的には、岡山での二拠点生活が軌道に乗り余裕ができた時、この車なら様々な遊びに活用できると考えたのも大きな理由だ。
妻もこの車が気に入ったようで、購入を前提に車庫証明のことや納品までの段取りなどについて事細かく質問していた。
そして妻の強い希望により、オフブルーメタリックという色を選択。
わずか1時間ほどで「ハスラー」を購入することになった。
私たちの対応をしてくれた店長さんから、今なら台数限定の特別車も選べると提案された。
完全に新車扱いとなるので納品までに1〜2ヶ月かかるが、カーナビなど様々な装備がセットになって「未使用車」よりも値段が10万円ほど安くなるというお話だ。
納車が遅れるのは特に問題はない。
おまけに車検期間も通常の3年がフルにつき、色はもちろんナンバーやオプション装備も自由に選べるというのだ。
私たちはすぐにその特別車の提案に乗った。
購入費用は諸費用や税金を入れて150万円弱だった。
とんとん拍子で進んだ岡山での自動車購入。
これにより、もういちいちレンタカーを借りる必要はなくなった。
今後、妻の両親や私の母などの介護で岡山に帰る期間もますます伸びるだろう。
できるだけ事故を起こさず長く乗れば、レンタカーより確実に交通費は安くなる。
ケチな妻が納得したスキームなので、きっと良い選択だったのだろうと思う。
こうして岡山での生活の基盤が少しずつ安定していくにつれ、田舎暮らしも楽しくなってきた。
この先どんな展開が待っているかは分からないが、気持ちの赴くままブレーキ役の妻の意見を聞きながら進んでいけば、そんなに悪い方向にはいかないのではないかと思っている。
誰かブドウを作ってくれる人がいればそれもよし、誰かに草を刈ってもらうのもよし、自分で草を刈ったり作物を育ててみるのもまたよしである。
マイカーを所有するのは、吉祥寺に引っ越し車を手放した2017年以来である。
何をしても許される。
これこそが隠居生活の醍醐味、まさにこうしたいい加減さが心地よいのである。
四駆のワゴンで家族でキャンプ生活していた頃を思い出します。吉祥寺蜂蜜ミードプロジェクト