<きちたび>岡山・香川の旅2023🇯🇵 鬼が占う吉備津神社「鳴釜神事」と讃岐「釜揚げうどん 長田in香の香」の「大」

友人たちと巡る岡山と四国の旅2日目。

朝7時半にホテルをチェックアウトして、私の一押しスポット「鬼ノ城」へ向かう。

古代日本が朝鮮半島に出兵した「白村江の戦い」に大敗した後、時の権力者、中大兄皇子のちの天智天皇は唐新羅の連合軍が日本列島に攻めてくることを恐れ、西日本各地に防衛のための拠点を築かせた。

その一つが、瀬戸内海を一望するこの鬼ノ城だった。

さらにこの場所は桃太郎の鬼退治のもととなった吉備津彦命と温羅の伝承の舞台でもある。

そうした知られざる古代史に友人たちも大いに興味を掻き立てられた様子だった。

続いて一行は、桃太郎のモデルとなった吉備津彦命を祀る「吉備津神社」へ。

1万円のお布施を払い、7人揃って身体安全の祈祷を受ける。

この日は七五三の子どもたちで神社は大賑わいである。

祈祷が終わるとお札を持って「御竈殿」に移動。

ここで私がぜひ体験したかった「鳴釜神事」を受ける。

御竈殿の中にはカマドがあり、神職のお祈りに合わせて「阿曽女(あぞめ)」と呼ばれる女性が釜の上に置かれた大きなセイロに玄米を入れる。

すると突然唸るような音が聞こえ、この音の強弱によって占いをするというものだ。

私たちが占ってもらったのは、80歳まで元気で一緒に旅行ができるかどうか?

大きな唸り声が聞こえたら凶、穏やかな音なら吉である。

阿曽女が厳かに玄米をセイロの中に入れると同時に大きな音が鳴り始めた。

まるでスピーカーがハウリングを起こしたような音、予想していたよりもハッキリとした音だが、決して苦しそうな音ではなかった。

占いと言っても、阿曽女や神職が音の吉凶を判断してくれるわけではない。

自分たちでその音を聞き、どのように聞こえたかで判断するのである。

みんな一応に「音が大きかった」と感じたようだが、比較的澄んだ音であり心落ち着く音だったという者もいた。

結局、占いとしては曖昧なまま終わったが、吉備津彦命に滅ぼされた鬼が占うというこの不思議な神事はみんなの心に響いたようだ。

祈祷から鳴釜神事までおよそ1時間強かかり、吉備津神社を出たのは予定よりだいぶ遅れて午前11時すぎであった。

時間があれば、豊臣秀吉が水攻めを行ったことで有名な備中高松城跡にも寄ろうと思っていたが、とてもそんな時間はなく、備中国分寺の五重塔を車中から眺めながら一路倉敷に走る。

岡山随一の観光名所と言っていい倉敷の美観地区に到着したのは正午を回っていた。

ひと通り蔵の並ぶ街並みを散策したあと、お目当てだったフルーツパフェを食べに行く。

しかしちょうど日曜のお昼時ということもあり、予定していた町家喫茶「三宅商店」は当然ながら満席。

ぐずぐずしていると、次に予定していた讃岐うどんが食べられなくなってしまう。

元々倉敷には何度も来たので乗り気でなかった奴が、「もうパフェはいい。さっさと行こう」とみんなを促し、パフェは断念して高速道路に乗り瀬戸大橋を渡った。

四国に入ると、善通寺インターチェンジで降り、松山に住んでいる友人オススメのうどん屋に向かう。

「釜揚げうどん 長田 in 香の香(ながたいんかのか)」

名前の通り釜揚げうどんの専門店で、お店に着いたのは午後2時前であったが、店の前にはまだ長い行列ができていた。

それでも松山の友人は「ラッキー!今日は空いている」と言った。

この店は午後3時までの営業だが、麺が無くなると早仕舞いしてしまうためあまりギリギリだとリスクが高いのだそうだ。

行列は店の前だけでなく、店内でも続いていた。

駐車場の車を見ると、県外ナンバーが目立ち、讃岐うどん巡りをしている観光客が多いように見受ける。

行列の先頭は注文してお金を支払う受付になっていて、空いた席の数だけ注文を受けてもらえる仕組みのようだ。

私たちの順番が回ってきたのは、並び始めておよそ30分後。

店内は讃岐うどんの店としてはかなり大きく、一度に50人以上は座れる規模だ。

それでもさすがに7人同じ席だと厳しいため、4人と3人に分かれて席を確保した。

料理は基本的に釜揚げうどんのみ。

「かけ」や「ぶっかけ」、「天ぷら」などのメニューはない。

その代わり、うどんの量はいろいろ用意されていて、「小」が1人前、「大」が1.5玉、「特大」が3玉、その上にグループで食べる「たらい」があり、大きなたらいに入れられた釜揚げうどんを家族で頬張る客もたくさんいた。

「たらい」は小(4.5玉)から大(9玉)まで希望で調整してくれるらしいが、普通の丼で一人一人頼む方が早く来ると言われ、私は「大」(500円)を注文した。

席につくと、まず最初に運ばれてきたのは焼物の大徳利。

中にはたっぷり出汁が入っていて、1人湯呑み1杯分の出汁を大徳利から汲むことができる。

松山の友人は以前2杯目を注ごうとして注意されたことがあるという。

熱いうどんを熱い出汁で食べるのが基本だが、希望すれば「冷やし」も選べるそうである。

テーブルの上にはあらかじめ刻んだネギとおろし生姜が置いてあり、出汁を入れた湯呑みにたっぷりの生姜を入れ、好みの量のネギを加える。

これで準備万端。

厨房では茹で上がったうどんが次々に丼に盛られ、番号順でテーブルまで運んできてくれるのだ。

来ました。

これが「釜揚げうどん 大」。

実にシンプルでなんの具材もトッピングされていない。

しかし、一口食べて驚いた。

生姜の効いた出汁がめちゃめちゃ美味しいのだ。

もちろん、うどんもツルッツル。

お昼をだいぶ過ぎてお腹が空いていたこともあって、どんどん食べられて、1.5玉はあっという間に完食となった。

釜揚げうどんといえば、東京の蕎麦屋などでも食べられる冬の定番メニューだが、このシンプルなうどん、何かが違う。

想像を遥かに超える美味さにわざわざ来た甲斐があったというものだ。

本場の讃岐うどんは店によって千差万別とは聞くが、釜揚げうどんが食べたくなったら岡山から車を走らせて絶対また来よう。

そう思わせてくれる名店だった。

食べログ評価3.98、私の評価は4.00。

「釜揚げうどん 長田 in 香の香」
電話:0877-63-5921(予約不可)
営業時間:9:00~15:00
定休日:水曜・木曜
https://www.kanoka.jp/

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