🇦🇺オーストラリア/羽田〜シドニー 2025年10月5日
戦後80周年に合わせ、日本の戦争について学ぶ旅、今回は多くの戦死者を出し「ガ島」と呼ばれたガダルカナル島に行ってみることにした。
ガダルカナルと言えば、ミッドウェーと並び連戦連勝だった日本軍が連合軍の反撃に遭い、戦局が大きく変わった太平洋戦争の分岐点として有名である。
しかし、ガダルカナル島が太平洋のどこにあるのか、現在はどこの国に属しているのか、正確に答えられる日本人はそれほど多くはないだろう。
正直私もその一人で、今回の旅行を思い立って初めてその位置を把握した。
ガダルカナル島はニューギニア島の東に位置し、現在はソロモン諸島という島国に属している。
どうやって行くのか調べてみると、パプアニューギニアやフィジーからも飛行機が飛んでいるものの、便数が少なかったり治安が悪かったり気がかりな点があり、一番確実で便利なルートはオーストラリアのブリスベンからのフライトだとわかった。
ということで、私はガダルカナルを最終目的地としながら、久しぶりにオーストラリアに行ってみることにしたのだ。

オーストラリアに行くのは1988年の建国200年祭の取材以来、実に37年ぶりだ。
ビザは免除だろうと思いながら調べてみると、アメリカなどと同じく事前の電子渡航許可を取得する必要があるということで、英語のアプリをダウンロードして必要事項を記入し、20豪ドル(約1950円)の申請手数料を支払って許可を取った。
面倒ではあるが大使館に行ってビザを取っていた時代に比べればどうということはない。

続いて、航空券の手配。
かつて私がオーストラリアを訪れた頃には、オセアニア便の航空券はバカ高くて、最低でもエコノミーで30万円ぐらいはしたものだ。
しかし近頃では中国経由などの格安チケットが出回り、直行便でもかなり安く行けるようになった。
東京からブリスベンへの直行便も、カンタス航空が運航しており、知らない間に便利になったものである。
しかし今回私はちょっとお高くつくものの、アップグレードが可能なシドニー行きのANAのエコノミーチケットを購入してみた。
東京からシドニー往復27万円弱、私としては前例のない奮発と言える。
同じく全日空でも10万円そこそこの航空券もあるのだが、それだとマイルを使ってアップグレードすることができないらしい。
シドニーまでは9〜10時間ほどのフライト、最近長距離のエコノミーに乗るとぐったりするようになってきたので、貯まったマイルを使って少し楽をしたいと考えるようになった。
それともう一つ。
懸案だったANAの上級会員になるために必要な「プレミアムポイント」がこのチケットを買うとクリアできるかもしれないと考えたのだ。
そして、片道2万マイルずつ、往復で4万マイルを使ってエコノミーからプレミアムエコノミークラスへとアップグレードすることができた。
この料金を払ってもビジネスクラスにアップグレードすることはできないそうだし、ビジネスクラスのチケットを買おうと思ったら70万円ぐらいするみたいなので、27万円払ってプレミアムエコノミー、まあ一度試してみようと思った。

朝5時40分のリムジンに乗って吉祥寺から羽田空港に。
この時間だと道も空いていて40分で羽田に着く。
ANAのシドニー線は、国際線専用のターミナル3ではなく、ANAの国内線が離発着するターミナル2からの出発だった。

ターミナル2の国際線出発フロアはまだ新しくて空いていて、出国手続きも実にスムーズだった。
「Face Express」と書かれた端末でパスポートと顔の写真を紐づけると、出国手続きだけでなく搭乗の際にも専用レーンを使えるので長い列に並ばなくて済むのはいい。

結局予想以上に早く出国手続きが終わってしまったので、まだ出発まで1時間半以上ある。
普通ならばプライオリティパスを使ってラウンジでのんびり過ごすのだが、使用回数が残り3回に減っていたこともあり、羽田ではラウンジを使わずそのまま搭乗ゲートで待つことにする。
すると驚いたことに、ターミナル2の国際線ゲートは最近整備されたからか、飲食は有料だがインテリアなどはラウンジと遜色のなく、充電できる席もたくさん用意されていた。
これならわざわざラウンジに行く必要はない。

午前8時20分、搭乗が始まる。
私はこれまで数えきれなほど世界各国の飛行機に乗ってきたが、プレミアムエコノミークラスという中途半端な席を利用するのは初めてだと思う。
ビジネスクラスのようにフルフラットになるわけではないが、座席が幾分ゆったりしているような気がするものの、エコノミークラスとの差はそれほど感じられない。

それでも実際に座ってみると、前の座席との間隔が広く取られていて、隣の人にあまり気を使うことなくトイレに立てるのは大きな違いだと感じた。
そして、9時間あまりのフライトの間、何度か足を伸ばして血の巡りを改善することができたので、価格差に見合うかどうかは疑問だけれどそれなりの違いがあることは実感した。

機内食に関してはエコノミーとの差は感じられない。
羽田を出発してまもなく、こちらの食事が提供され・・・

シドニー到着の直前には簡単な軽食も配られた。
それでも外国のエアラインに比べて、全日空の機内食はレベルが高いと思う。

機内エンターテイメントで日本語のコンテンツが多いのも日本のキャリアの嬉しいところだ。
今回のフライトでは、コロナ禍で日本が最初に試練に立ち向かったクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で活躍した人々を描いた映画『フロントライン』を観た。
テレビが完全に悪役として描かれていて、この頃長年勤めたテレビ局を辞めた私としてはいろいろ考えさせられる作品だった。

そうこうしているうちに、飛行機はニューギニア島の上空に達していた。
グリーンランドに次ぐ世界で2番目の面積を持つ島である。
島の西半分はインドネシア領で、東側半分が独立してパプアニューギニアという国になっているのだが、なぜそんなややこしいことになったかというと、帝国主義の時代にイギリスとオランダが島を二分したからである。

私は以前南方における日本軍の拠点だったラバウルに行こうとして、パプアニューギニアのビザを持っていなかったために空港で搭乗を拒否されたことがある。
そのため、せめて上空からでもニューギニア島を見てみたかったのだけれど、あいにくの雲に加えて、逆光、そして光を遮るボーイング787の色付き窓に邪魔されて何も見ることができなかった。
どうやらニューギニア島とはとことん縁がないらしい。

ニューギニア島とオーストラリア大陸がこれほど近いとは、今回モニターに映った地図をまじまじと見て初めて気がついた。
二つの陸地を隔てるトレス海峡の幅は150キロに過ぎず、元々は一つの大陸だったのだそうだ。
そのため、オーストラリアにとってニューギニア島は本土防衛のために死守しなければならない絶対防衛圏だった。
破竹の勢いで南方に進出した日本軍がニューギニア島のすぐ近くにあるラバウルに強固な基地を作ったのは、連合軍の重要拠点だったニューギニア島のポートモレスビー要塞を攻略するためだった。
そして、今回訪れるガダルカナル島にこだわったのも、オーストラリアとアメリカの間の輸送ルートを分断するのが目的だった。
つまり、日本軍の狙いは連合軍が反撃の足場としたオーストラリアを孤立させることだったのである。
私たち日本人は太平洋戦争と聞くと、米英との戦争と思ってしまいがちだが、実は日本はオーストラリア軍とも各地で戦火を交えているのだ。

トレス海峡を越え、オーストラリア北端のヨーク岬半島に入ってから目的地のシドニーまではまだまだ遠かった。
やはりオーストラリアは広大な国である。
西の空に夕日が沈む頃、ようやくシドニーの街の明かりが見えてきた。

シドニー国際空港に着陸したのは午後8時。
日本との時差は2時間である。
面積の広いオーストラリアでは東部、中部、西部で3つの時差があるのだけれど、州によってサマータイムを導入している州としていない州があるからややこしい。
シドニーがあるニューサウスウェールズ州では、10月の第一日曜日、すなわち私が到着した5日からサマータイムに入ったらしい。
毎回繋がるかどうか心配するeSIMも問題なく開通、しかも嬉しいことに5Gの表示が出た。
やはりオーストラリアは先進国である。
それなのになんだかすごく暗い、それが空港の第一印象だった。

飛行機を降りると一転して、空港内には土産物屋やレストランがズラリ。
商売気が妙にムンムンである。
やはり国が違うと空港のコンセプトもいろいろということなのだろう。

入国審査はETAの専用端末にパスポートを読み込ませて顔認証で照合、あとは端末に出てくるいくつかの質問に回答すれば入国許可のシールが出てくる。
このシールを税関の職員に渡せば無事に入国できる。
ただ、オーストラリアはお隣のニュージーランド同様、動植物関係の検疫が非常に厳しいため、食品の持ち込みや土のついた靴などには注意が必要だ。

シドニー空港の到着ロビーは、狭くてとても薄暗かった。
中国の不必要に馬鹿でかい空港を見たばかりなので余計にそう感じたのかもしれないが、見栄を張らない自然体な国民性が空港にも表れているように感じた。

そして、狭い到着ロビーを出ると目の前がタクシー乗り場ではなく、配車アプリ「Uber」専用の乗り場だった。
しかも通常ならば、Uberで車を依頼すると個人のドライバーとマッチングされ、その車のナンバーがこちらのスマホに届く仕組みだが、シドニー空港では少し違っていた。
Uberのスタッフが客待ちしている車に順番に客を乗せて行き、客はスマホに届いた6桁の数字を運転手に見せるとマッチング成立という珍しい仕組みになっているのだ。
空港では、配車アプリで車を呼ぶ人が多くて乗り場が大渋滞になることが多いが、このやり方ならば無駄な混雑が避けられる。
実に賢い方法だと感心するとともに、未だな配車アプリを解禁しない日本の後進性にも改めて残念な思いを感じた。

乗り方は少し違うが、一旦乗ってしまえば通常のUberと変わらない。
アプリを通じて私の行き先、すなわちホテルの場所は指定してあるし、支払いもアプリを通してカード払いが自動でできる。
ホテルに着いたら、thank youと言ってただ降りればいい。
タクシーのように行き先を間違えたり、料金で揉めたりすることもないので、その土地に慣れない旅人としては実にありがたいアプリである。

夜シドニーに到着して翌朝早くにメルボルンに出発するため、今回は空港近くのホテル「ibis Sydney Airport 」を予約していた。
シドニー空港は国際線が到着するターミナル1と私が乗る国内線が出るターミナル2がかなり離れているため、翌朝のことをことを考えてターミナル2に近い宿を選んだのだ。

値段重視のフランス系チェーン「イビス」なので、部屋が狭いのは致し方ない。
でも、いつもながらちょっと洗練された内装で、寝るだけなので全く問題は感じなかった。

ユニットバスもコンパクトでシャワーのみだが、機能的に作られていて使いやすい。
これで1泊1万5700円。
この円安の時代、これでも価格はかなりリーズナブルである。

朝7時に出発するフライトなので、朝食ははなから諦めていたのだが、受付の女性が朝食付きでしかも朝5時半からレストランがオープンすると言うので、このホテルにして大正解だと思った。

当然のことながら、オープンと同時の朝5時半にレストランに行き、スタッフがまだ準備している横から出来上がった料理を横取りして20分ほどで朝食を済ませた。
空港に行く車もUberですぐに手配がつき、朝7時発のメルボルン行きに余裕で間に合った。
混沌とした途上国やネット環境の異なる中国のような国と違って、西側先進国の旅はやはり楽である。