今朝起きて窓を開けた妻が、「変な虫がいる」と声をあげた。

ベランダを見ると、確かに大きな虫が腹を上に向けて手足をバタバタさせている。
どうやらゴキブリではなく、メスのカブトムシのようにに見える。
私は虫に詳しくないので定かではないが、今の季節にカブトムシの成虫がいるものなのか調べてみた。
温暖な地域では5月下旬頃から、涼しい高地では7月初旬と気候により出現する時期に若干ばらつきが見られる。
出典:ウィキペディア
早ければ5月に出てくるカブトムシもいるようだが、いきなり弱っているというのはどうしたことだろう?
そう思いながら、ベランダから外に放り投げた。
きっと自然界では生きていけないだろうな・・・と思いながら。

そんな月曜日、トイレの歳時記カレンダーを見ると、今日は七十二候の「蚯蚓出(みみずいづる)」。
文字通り、「ミミズが地上に現れ始める頃」という意味だが、ミミズの代わりにカブトムシがやってきたということなのか?
子供の頃はごく身近な存在だったミミズも、すっかりお目にかからなくなった。
それだけ土と触れ合っていないということなのだが、岡山の畑を耕していてもミミズと出会った記憶がない。
ミミズは農業にとっては昔からありがたい存在とみなされてきた。
ミミズは土を食べ、そこに含まれる有機物や微生物、小動物を消化吸収した上で粒状の糞として排泄する。それによって、土壌形成の上では、特に植物の生育に適した団粒構造の形成に大きな役割を果たしている。そのため、農業では一般に益虫として扱われ、土壌改良のために利用される。
出典:ウィキペディア
なるほど・・・だから歳時記にも登場するのか。
今度岡山に帰省して畑を耕すことがあれば、注意してミミズを探してみることにしよう。

ミミズについて調べてみると、この不思議な生き物が生態系の一番下に位置していることを知った。
動物界の食物連鎖の最下位に属し、昆虫やモグラなどの小動物から鳥などの中型種、更にはイノシシやアナグマのような大型のものまで、多くの動物の重要な食物として大きな役割を果たしている。
ミミズは、重金属や農薬などの薬剤に汚染された土壌に生息すると、それらの汚染物質を生物濃縮し、捕食した生物が中毒を起こす場合がある。ミミズ自身は、捕食者が死ぬような汚染濃度にも極めて強い耐性を示して生存し、毒ミミズ化することがある。
出典:ウィキペディア
「食物連鎖の最下位」というのもすごい表現であるが、ミミズはあらゆる生き物に食べられ、多くの命を支えている。
ミミズは、タンパク質やミネラル、コラーゲン、ビタミンなど栄養価が豊富で、人間界でも「食用ミミズ」は高価で取引されているのだという。
近い将来、「食物連鎖の最上位」に位置する人間が地球上にあふれ食糧不足に陥った時には、「食物連鎖の最下位」であるミミズに注目する日も来るかもしれない。

さて、昨日は「母の日」だったからか、三男夫婦が花と蜂蜜を持って我が家にやってきた。
去年結婚式をあげる予定だったがコロナで延期、その結婚式も来月に迫っていて、友人を招いたパーティーで上映するビデオ用に昔の映像を取りに来たのだ。
「どうせもう入籍しているんだから、コロナが完全に終息するまで再延期すれば」とアドバイスしたのだが、本人たちは再延期には消極的で、簡略化して親族の披露宴を行わずに結婚式を挙げることを決めた。
新婦さんのご両親もそれで納得されているというので、それならこちらがそれ以上文句を言うこともない。
緊急事態宣言下でも結婚式を挙げているカップルもいるようだし、酒類の提供が禁止されている今の時期はワインの代わりにブドウジュースで乾杯するケースもあると言う。
それはそれで記憶に残る結婚式になるのかもしれない。
まあせいぜいクラスターだけは発生させないよう、無事に終わることを願うだけだ。

大阪に暮らす次男の一家もLINEでビデオ通話をかけてきてくれた。
久しぶりに孫たちの元気そうな顔を見る。
みんなとても楽しそうで、ついこの間まで真っ先に出たがった末っ子が、電話を嫌がる年頃になっていた。
コロナで合わない間に、子供たちはどんどん成長していく。
それでも、3人の息子たちはそれぞれ幸せな家庭を持ち、親としてはただそれを見守るだけだ。
なんと恵まれた老後だろうと思う。

岡山で暮らすおばあちゃんたちには、母の日にカステラを贈った。
岡山でもこのところ過去最高のコロナ感染者が出ていて、今日から高齢者に対するワクチン接種の受付が始まる。
私の母はまだ元気でかかりつけのクリニックでワクチンを打つようだが、妻のお母さんは最近あまり元気がなく、もうワクチンも打たないつもりだと言う。
一番心配なのは、養母となった伯母の状態で電話をかけてもなかなかつながらないようになった。
ベッドで休んでいることが多くなったらしい。
子供が育ち、老人は老いていく。
避けることのできない人間の営みだが、みんなが幸せに生きられるようにできることがあれば何でもしてあげたい、そんなことを思う1日だった。
【トイレの歳時記2021】
- 七十二候の「芹乃栄(せりすなわちさかう)」に中国と香港について考える #210106
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- 七十二候の「雉始雊(きじはじめてなく)」にキジを見に井の頭自然文化園に行ってみた #210115
- 七十二候「款冬華(ふきのはなさく)」に「大寒」の井の頭公園を歩く #210120
- 七十二候「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」と初場所・初縁日 #210125
- 七十二候「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」に紀ノ国屋で二番目に高い卵を買う #210130
- 七十二候「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」に立春をさがす #210203
- 七十二候「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」に考える「野生のインコ」と「生物季節観測」のお話 #210208
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- 七十二候「土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)」、ワクチン接種も始まった #210218
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