ゴールデンウィークの最終日。
今日は久しぶりの雨で、畑仕事もひと休みである。
朝起きて、いつものように録画してあるメジャーリーグの試合を見る。
今日の大谷翔平は2本のホームランを含む4打数4安打。
シーズン開幕を襲った“水谷スキャンダル”をすっかり忘れさせてくれるほど、ここに来て大谷の打撃は絶好調だ。
今日の2本のホームランで、今シーズンのホームランは10本に達し、メジャーリーグのトップに躍り出た。
打率も3割6分4厘まで跳ね上がり、ナショナルリーグの首位打者争いを演じている。
そして何より去年までとの大きな違いは、チーム成績。
ドジャーズは今日も勝って、ライバルであるブレーブスに3連勝と首位を独走している。
だからテレビ観戦しているこちらも気分が明るくなって、畑仕事の合間の最高の気分転換になっているのだ。
さて、5月に入り、立夏も過ぎ、裏庭に植えているイチゴがようやく赤く色づいてきた。
栄養不足のせいか、粒は小さくて酸っぱいのだが、それでも見かけよりほど硬くはなく味も悪くない。
今年は白い花が咲く普通のイチゴの苗とは別に赤い花が咲く苗も植えたのだが、どういうわけかこちらには実が全くならない。
赤い花は観賞用としてもさほど美しくはなく、これは完全に失敗だと思う。
そしてゴールデンウィークといえば、野菜の苗を植える季節だ。
ホームセンターには所狭しと野菜や果物の苗が並べられ、どれを買おうか迷ってしまう。
定番のトマトやキュウリは種類も豊富で、品種改良されたちょっと値段の張るものも目につく。
去年までミニトマトはたくさん収穫できるものの、大玉トマトはなかなかうまくいっていない。
今年もめげずに「ホーム桃太郎」を買って、なんとかスーパーで売っているような普通のトマトの収穫を目指す。
去年たくさん収穫できたパプリカの苗を2本購入した。
ピーマンよりも大きくて手がかからないように感じたからだ。
それからナスも2種類、定番の「千両2号」に加え今年は長ナスも1つ買ってみた。
さらに、シシトウの代わりとなる「万願寺とうがらし」と妻が植えたがったオクラの苗も1つずつ。
新しく耕した広い場所にカボチャを植えてみようと、「芳香かぼちゃ」と「えびすかぼちゃ」という2つの苗を買ってみた。
どちらも代表的な人気の品種で、「芳香かぼちゃ」は栄養価高く食味の優れたホクホクした西洋かぼちゃ、「えびすかぼちゃ」は「芳香」よりも粘性があって収量が多く放任栽培にも適したカボチャだという。
野菜栽培の本を見ると、カボチャの栽培でも細かい手入れ法が書かれているが、結局去年も途中から完全に放ったらかしになり、それでもある程度は収穫できたので、放任栽培というワードにはことのほか惹かれるものがある。
その意味では、「放任 高級メロン」という苗はとても魅力的に映った。
去年スイカに挑戦するも美味しいスイカは1個しか収穫できなかった。
ましてやメロンとなると難易度が高そうで栽培する気はなかったのだが、この「放任」の二文字の誘惑には勝てず、試しに1株買ってみることにした。
『伸び放題のほったらかしでOK♪』
『支柱立てや芽摘み不要』
魅力的なコピーが並ぶ。
もう一つ、今年の初挑戦はゴーヤ。
私はさほど好きではないが、妻が夏になると買ってくるので、試しに植えてみることにする。
どうせなら鶏小屋の外壁に絡めてグリーンカーテンも楽しみたいものだ。
さらに妻が選んだ花の苗も含めて、段ボール箱いっぱいの苗を買ってきた。
このまま置いているうちに苗が弱ると嫌なので、早々に植える場所を決めて手際よく植え付けていく。
まず最初に植えたのは、大玉トマトの「ホーム桃太郎」。
今年初めて、ブドウ畑の一画を耕してここに植え付けてみることにした。
大玉トマトは雨に弱いらしいので、ブドウ棚にかけてあるビニールのトンネルが雨除けの役目を果たしてくれることを期待したのだ。
おまけに、ブドウ畑の土は乾燥していてトマト栽培に適しているように感じた。
トマトを植えた一画はマスカットの老木がすでに芽が出なくなっている場所で、ブドウ栽培の邪魔にもならない。
ブドウ棚の下に、トマトの苗を4株。
肥料代わりに園芸の土を混ぜ、黒マルチを張って畝を作った。
納屋にあった適当な長さの棒を脇に立てブドウ棚に固定する。
苗が成長すれば、この棒に絡めながら育てればいい。
ただ心配なのは、去年この場所がアリの巣になっていたことだ。
なぜかこの部分には雑草も生えていなかったので、植物の成長を妨げる要因が隠れているのかもしれない。
メロンとカボチャは、今月新たに作ったばかりの真新しい畝にそれぞれ1株ずつ植える。
蔓が長く伸びてもこれなら大丈夫だろう。
売り文句通りに放任栽培で本当に収穫できるのか?
あまり信用しているわけではないが、ちょっと楽しみでもある。
「万願寺とうがらし」は、京都舞鶴市発祥の京野菜だそうで、まったく絡みがなくタネも少ない品種らしい。
去年植えたししとうはそれなりに辛味があって美味しかったのだが、果たしてこれはどうだろう。
今年から使用する粘土質の畝に植え付けたので、この畑との相性も気になるところだ。
今回はししとうの苗が見つけられず、代わりに万願寺とうがらしを植えることになったが、どこかでししとうの苗を見つけたら、辛味のあるししとうも1本植えておきたいと思っている。
最後に、キュウリとミニトマトの苗を裏庭に植えた。
裏庭に作った小さな畑は近隣の騒音も考えて耕耘機を入れず、去年使った畝をそのまま利用する。
連作障害を避けるために、トマトとキュウリの位置を反対にして、トマトの畝にはレタスとニラを植えたまま残し、キュウリの畝には別の畑から掘り上げてきた九条ネギを株分けして仮植えした。
ネギにはウリ科の野菜に多い病気を防ぐ効果があると書かれていたからだ。
年を追うごとに手抜きになる一方で、コンパニオンプランツなどの知識も少しずつ身について、自分流のやり方が徐々に出来上がりつつある。
畑仕事とは、人間が植物のために尽くすことによって、植物がもたらしてくれる恵みをいただくというサステナブルな行為である。
手をかけた分、得られるものも増える一方、毎年異なる自然環境が人間の驕りを打ち砕く。
うまくいけば嬉しいし、失敗すると謙虚な気持ちになれる。
人生の終盤を迎えたシニアにとって、最高の時間の使い方だとつくづく感じている。