<きちたび>ロサンゼルスの旅2024🇺🇸 現代美術館、人気の飲食店、そしてドジャーズスタジアム!多様性と格差のLAダウンタウンをバスでぐるぐる巡る

🇺🇸 アメリカ/ロサンゼルス 2024年2月18日~19日

リトルトーキョー、アダルトスクール、そして45年前に暮らして郊外の家。

どうしても行きたかった3か所の目的地を無事訪れることができたので、18日の午後からはTAPカードを使って適当にダウンタウン周辺をバスで回ってみることにする。

若き日に通ったアダルトスクール前のバス停から、4番のバスに乗り、とりあえず行けるところまで行ってみることにした。

市庁舎の近くの歩道にはホームレスのテントが並んでいるのが見えた。

ロサンゼルスのダウンタウンは相変わらずホームレスの多い街だ。

私が宿泊するカワダホテルの前を通過して、バスはダウンタウンを南下していく。

右手に見覚えのある建物が見えてきた。

45年前、ダウンタウンの象徴として君臨していた「ビルトモアホテル」、現在は「ミレニアム ビルトモア ロサンゼルス」と名前を変えたが創業100年の老舗ホテルである。

かつてはアカデミー賞のセレモニーが行われたり、映画の撮影に使われたりしたが、さすがに老朽化して近頃ではあまり人気がないらしい。

日曜日ということもあり、ダウンタウンの商店はほとんどがシャッターを降ろし、相変わらず活気がなかった。

45年前、ロサンゼルスの目抜通りと言われたブロードウェイを歩いた時も、白人のホームレスが物乞いする姿にショックを受け、ロサンゼルスの荒んだ様子が強烈に心に刻まれた。

その雰囲気は今も変わらず残っているようだ。

バスが南に進むにつれ客が減り、ついに私一人だけになってしまった。

これはちょっとヤバいかもと思い始めた頃、バスはGoogleマップの予定ルートを外れてどんどん人気のない通りに入っていく。

通りを歩く人もいなくなり、落書きだけが目立つ街。

これは明らかにおかしい。

そう思ったら、バスはガード下の薄暗い駐車場に入って行った。

そこには路線バスがたくさん停まっているものの、乗客の姿はなかった。

バスが停車すると、私がまだ車内に乗っているのを見つけた運転手が文句を言っている。

私は謝りながらバスを降り、周囲を見回してこれは困ったなと思った。

バスの溜まり場はサンタモニカ・フリーウェイのガード下にあり、ダウンタウンの17番通りと18番通りの間であった。

45年前もダウンタウンの10番より先には危険だから行くなと言われたことを思い出す。

とにかくこの場所を早く離れようと、最寄りのバス停を探して急ぎ足で向かう。

ボロ布を引きずりながらホームレスの男性が私の前を歩いている。

犯罪が多いダウンタウンを歩く用心にと、ホテルを出る時から財布はズボンのポケットではなくベストのお腹側のポケットにしまっている。

リュックも背中から外して前向きにかけ、ひったくられないように抱きかかえて歩いた。

とにかく、最初に来たバスに乗る。

車内に客の姿はなかった。

この界隈ではバスに乗る客があまりいないのだろうか。

とにかくGoogleマップで自分の位置を確認しながら、適当なバス停で降りようと思う。

バスはサウスオリーブストリートを北上し、ちょっと小高くなっているエリアで私はバスを降りた。

宿泊するカワダホテルからもよく見える高層ビルが間近に迫る。

この界隈はダウンタウンの中では新しく開発されたエリアで、大企業のオフィスビルや高級マンション、美術館などが集まっていた。

少し歩いてみると、先ほどまでのダウンタウンとは景色が全く違い、とても同じ街とは思えなかった。

この日は日曜日だったのでそれほど人の姿がなかったが、まわりには大企業のオフィスがたくさんあって、ウィークデーのお昼にはこの広場もビジネスマンたちで賑わっているに違いない。

エリートたちがいる丘の上とホームレスがいる丘の下。

格差社会アメリカの現実が、1本のバスでつながっている。

この近代的な街に美術館があった。

「The Museum of Contemporary Art, Los Angeles」

基本展示を見るだけなら入場無料だというので、そのまま中に入ろうとすると、受付で個人情報などの入力を求められた。

名前などの登録は必要だが、誰でも無料で現代美術に親しむことができるのはちょっと羨ましい。

散歩の途中らしきベビーカーを押す男性もじっくりと絵画を鑑賞していた。

近くには別の文化施設も並んでいる。

奥のグレーの建物は「ウォルト・ディズニー・コンサートホール」、そして手前の白いユニークな建物は「ザ・ブロード」と呼ばれる現代美術館である。

これらの施設も当然45年前には存在しなかった。

「ザ・ブロード」に入ってみた。

も、QRコードを読み込んで名前などの情報を打ち込めば無料で鑑賞できるエリアが設けられていた。

個人的にはこちらの美術館の方が面白いと思える絵画が多い気がする。

無料で美術鑑賞ができる文化的な環境の一方で、ホームレスが存在することを当たり前として45年間許容し続けているアメリカ社会。

私の目にはやはり奇異に見えてしまう。

お金持ちはホームレスを見なくて済むように、郊外の高級住宅街で暮らしダウンタウンなどには近寄らないのかもしれない。

株価が連日史上最高値を更新し好景気が続くアメリカだが、コロナ後の物価高騰でますますホームレスになる人の数は増えているらしい。

実力主義といえばそれまでだが、私はこんな街に暮らしたいとは思わない。

お腹が空いたので、美術館を出て丘を下り、先ほどバスの中から見つけた賑やかなフードコートに行ってみることにする。

「グランドセントラルマーケット」

私は見覚えがないが「Since 1917」というバナーが表にかかっていたので、45年前にも存在した場所なのだろう。

古い雑居ビルの1階が丸ごとフードコートになっていて、さまざまな飲食店が所狭しと集まっている。

日曜日の昼時ということで、通路は大勢の客で賑わっていた。

カフェ、ホットドッグ、ピザ、メキシコ料理、日本料理、中国料理、韓国料理、タイ料理・・・。

ありとあらゆる軽食が揃っている印象だ。

そんなフードコートで私が選んだのは、ハンバーガー。

アメリカに来てまだ一度も食べていなかったし、何よりこの写真に惹かれた。

お店の名前は「FOR THE WIN」、ロサンゼルスに4店舗を構える地元で評判のハンバーガーショップらしい。

私が注文したのはシンプルな「チーズバーガー」(9.9ドル)。

混んでいて随分待たされたが、パティがカリッと焼かれ、ピクルスも最高に美味しくて、人気のハンバーガーだというのがよくわかった。

本当はもっとでかい奴を食べたかったが、どうも日本の値段との違いに戸惑って一番安い奴を頼んでしまう。

フードコートの目の前には、「世界一短い鉄道」として有名な観光スポット「エンジェル・フライト」があり、多くの観光客が行列を作って乗車を待っていた。

この短いケーブルカー、1901年に建設されたというが、45年前にはその存在も知らなかった。

ランチの後で向かったのは、大谷翔平が今年から移籍したロサンゼルス・ドジャーズの本拠地「ドジャーズ・スタジアム」。

大谷はキャンプでアリゾナにいることは知っていて、スタジアムに行っても何もないとは思いながら、その外観だけでも見ておこうと思って、再び4番のバスに乗った。

最寄りのバス停は「Sunset / Vin Scully – Dodger Stadium」。

ここから丘の上にあるスタジアムまではただひたすらに坂を登っていく。

坂道で韓国から来たテレビクルーに遭遇した。

今年のドジャーズの開幕戦は韓国で行われるため、そのための取材を行なっているに違いない。

大谷翔平は韓国でもスーパースターとしてその名を轟かせている。

ドジャーズスタジアムのゲートAが見えてきた。

当然のことながら、誰もいない。

そのままゲートを抜けてスタジアムの方へ進もうとしたら、突然後ろから声をかけられた。

警備員の人が「どこに行くんだ」と大声で叫んでいる。

私は「スタジアムを見るだけ」と答えたが、警備員さんは「こっちに来い」と手招きしている。

てっきり中に入ったらダメと言われると覚悟して警備室に行くと、ショップは開いているので、この白いラインが引かれた通路に従って行くように言われただけだった。

そうか、球場は使っていなくてもショップはオープンしているんだ。

せっかくなので、野球好きの孫に大谷のユニフォームでも買って帰ってやるか。

そう思いながら私は指示された歩道を歩いてスタジアムへと向かった。

ここがドジャーズ・スタジアムである。

1962年にオープンし、ニューヨークのブルックリンから移転してきたドジャーズの本拠地として60年以上使用されている。

ただ建設にあたっては、この丘に住んでいたラテン系住民が立ち退きを拒否して住民投票も行われた経緯があったようだ。

ドジャーズのグッズを販売するショップを覗くと、ずらりと人気選手のユニフォームが並んでいたが、その中に大谷翔平のユニフォームはなかった。

聞くと全部売り切れで、もし入荷してもすぐになくなってしまうという。

他の有名選手のユニフォームは300ドル台で販売されているのに、大谷のユニフォームは最低500ドルはすると店員さんは教えてくれた。

ユニフォーム1枚7万5000円。

ちょっと想像していた額と桁が違っていた。

それでも多くの日本人観光客がこのショップにやってくるようで、お店ではずらりと大谷翔平の名前が漢字でプリントされたTシャツが大量に売られていた。

わざわざアメリカまで来て、どうして漢字で名前が入ったペラペラのTシャツを買わなければならないのか?

しかもこのTシャツですら、1枚56ドル(約8400円)もするのだ。

まさに、ぼったくり商法そのものだが、ドジャーズが大谷に支払う1000億ドルという金額を考えれば、そのごく一部でも日本人客から回収したいと思うのも無理のない話かもしれない。

そしてこのショップを訪れる客のおよそ半数は日本人なのである。

今回の旅行中ほとんど日本人には合わなかったが、ロサンゼルスだけは日本人がたくさんいて、その日本人が全員ドジャーズスタジアムに来ているのではないかと思えるほど、このショップでは日本人の姿がやたらに目立っていた。

大谷効果恐るべしである。

私はユニフォームを断念し、ドジャーズの帽子を買うことにした。

もちろん大谷の名前も入っていないが、それでも52ドルである。

問題はサイズがたくさん用意されていて、どのサイズが孫の頭に合うのかがわからないことだった。

孫は今15歳、私の頭よりはひと回り小さいだろうと考えて、自分の頭に被ってキツめの奴を選んだ。

ショップの外に出ると、球場ツアーの客が入場を待っていた。

私も中に入ろうとしたらスタッフに呼び止められ、ツアーに参加しないと中には入れないと言われる。

ツアー代金を聞くと、50ドルだと言う。

ただ試合も行われていない球場を見るだけで50ドル、本当にアメリカの資本主義は何から何までカネで嫌になってしまう。

結局、球場見物は断念し、もし機会があれば大谷が出場する試合を見るためにカネを使おうと思った。

一旦ホテルに戻り、少し休んでから夕食を食べに再びバスに乗って出かけた。

アメリカ最後の夜なのでステーキでも食べようと思いネットで調べると、比較的安くステーキが食べられるお店としてダウンタウンの老舗ダイナーが紹介されているのを見つけた。

せっかくアメリカで食事をするのだから、映画でよく見かけるアメリカの食堂「ダイナー」で食べるのも悪くない。

この時のバスにはホームレスの人が乗っていた。

ロサンゼルスではほとんどの人がマイカーで移動するため、バスや地下鉄を利用する人は車を持てない低所得者が多く、ホームレスの人が寒さや雨をしのいでバスで暖をとることも珍しくない。

だから、車内にはいつもちょっと変な匂いがする。

とはいえ、ホームレスの人が暴れるわけでもないので、そういうものだと思って利用すれば便利な移動手段であることに変わりはない。

9番ストリートのバス停で降りる。

このあたりもモダンなビルが多く建っていて、ダウンタウンの中では街並みが綺麗だ。

本当に同じ街の中で、ちょっと移動するだけで街の雰囲気がガラリと変わる。

お目当てのダイナーは、その名を「ザ オリジナル パントリー カフェ」という。

1924年創業、つまり今年でちょうど創業100年を迎える超老舗の名物ダイナーである。

週末は午後5時にはお店が閉まるということを知り、慌てて4時ごろにやってきたが、店の前にはまだ行列ができていて、この店が人気店であることを窺わせた。

20分ほど外で待って、ようやく席についた時にはもう午後4時半を回っていた。

店員さんに「ステーキが食べたいが、何がオススメ?」と聞いてみたら、「リブアイ」という聞きなれないメニューの名前を口にした。

よくわからないまま、それを注文する。

私が案内された席の目の前が厨房だったのだが、2人の料理人がかなりぞんざいに調理しているのを見て、ちょっと嫌な予感がした。

ダイナーとは所詮、アメリカ式の大衆食堂であり、老舗といえども決して高級レストランではないことをその時に理解した。

こちらが「リブアイ」。

文字にすれば「Rib Eye」で、日本で言うところのリブロースの中心部にあるわずかな最高級部位の名称だということを知った。

しかし、出てきた肉はかなりしっかりと焼かれ、そうした最高級部位という雰囲気は一切感じられない。

これで、コーラと合わせて37.89ドル、およそ5700円である。

実際食べてみると、それほど硬くはないものの、日本で食べるステーキに比べると噛みごたえがあり、一部筋っぽくて噛みきれない部分もある。

そして何より、味がないのだ。

仕方なく、卓上にあった塩を振って食べるが、別の席にステーキソースが置いてあるのを見つけ、店員さんに言ってステーキソースを持ってきてもらった。

やっぱり、アメリカ料理は美味しくない。

そんな45年前の記憶が蘇ってきた。

そして時計が午後5時を回ると、私の食べている横から、空いた椅子をどんどんテーブルの上に上げる作業が始まった。

まだ肉が出てきてから15分も経っていない。

店員さんが早く家に帰るための作業なのだろうが、これでは落ち着いて食事をしている状況ではなくなった。

日本であれば、ラストオーダーから最低30分は猶予をもらえるはずなのだが、このあたりもアメリカはドライである。

せき立てられるように硬い肉を喉に押し込み、私は店を出た。

いやはや、これほど不味い食事を食べたのは久しぶりだ。

近くのスーパーに寄って、ミネラルウォーターなどを調達してから帰ろう。

ところが、ここで思わぬ問題に直面する。

ペットボトルのミネラルウォーターが、全部セット売りになっていた。

もう翌日帰国なので、大量に水を買っても飲みきれない。

バラで売られているのは、2リットルのペットボトルか・・・

1ガロンのプラスチック容器入りの水。

あとは、スマートウォーターと称する謎の水だけだったのである。

どうしてミネラルウォーター1本買いたいだけなのに、こんなに苦労するのだろう。

インフレのアメリカを旅行していると、ついついデフレの日本が懐かしくなってくる。

結局、ミネラルウォーターを諦めて、缶のジュースを買ってホテルに戻る。

バスを待っていると、一人の男が大声をあげながら交差点をあっちに行ったりこっちに行ったり。

完全に精神に異常をきたした人をこの街ではちょこちょこ目にする。

これもアメリカ型資本主義の一つの側面と理解するしかないのだろう。

翌朝、空港に向かおうとホテルを出ると雨が降っていた。

ユニオン駅へ向かうバスの中では、雨ガッパに身を包んだ男性が完全に熟睡している。

雨の日は路上生活も大変だ。

ロサンゼルスのバスは彼らにシェルターを提供しているようである。

ロサンゼルス市当局は、バスや地下鉄の無料化を検討しているという。

6万人とも言われるホームレスを含め、低所得者に対するサービスと同時に、公共交通機関の利用を促すことで環境対策にもなるという考えらしい。

こうして1日バスを乗り降りしながらロサンゼルスのダウンタウンを巡っていると、日本とは違うアメリカ社会のいろんな表情が見えてくる。

TAPカードを利用すれば、いくら乗り降りしても1日5ドル以上取られることはない。

景色も見えずちょっと気持ちの悪い地下鉄よりも、多少時間がかかってもバスを利用してロサンゼルスを回るのはちょっと面白い冒険である。

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