<きちたび>オーストラリアの旅2025🇦🇺 「世界で最も住みやすい都市」の一つメルボルンを名物の路面電車で走り回る

🇦🇺オーストラリア/メルボルン 2025年10月6日

エコノミスト誌が毎年発表している「世界で最も住みやすい都市」というランキングがある。

オーストラリア第2の都市メルボルンはその常連で、今年も4位に選ばれた。

果たしてどんな街なのか、以前から興味があったのでシドニーから少し足を伸ばしてみることにした。

今回オーストラリアの国内移動に選んだのは「ヴァージン・オーストラリア航空」、オーストラリア第2位の航空会社でANAとも提携関係にある。

シドニー〜メルボルン〜キャンベラ〜ブリスベン〜シドニーの周遊で6万5000円ほど。

私が比較した中では最も安かった。

そのせいかどうか、地上を歩いてタラップを使って登場するというスタイルではあったが、ちょうど空が明るくなる時間に間近から飛行機を見上げるのは気持ちが良かった。

ほぼ定刻の午前7時過ぎ、飛行機は飛び立った。

曇り空ではあるが、眼下にシドニー湾を囲むように広がるシドニーの街並みが見えた。

日本列島とは違い、高い山は見えず、どこまでもなだらかな大地が広がっていた。

ヴァージン・オーストラリアはもともとLCCだったこともあり、機内サービスは基本有料となる。

ただ、お水は無料のようだったので、ミネラルウォーターをもらった。

わずか1時間半のフライト、これで十分である。

途中ずっと雲に覆われていて地上の様子はほとんど窺い知ることはできなかったが、メルボルン着陸のため高度を下げて雲の下に抜けた時、シドニーとは全く違う風景が広がっていた。

緩やかな起伏が延々と続く緑の大地はほとんどが牧草地のようで、畑があまりない。

けし粒のように見えるのが放牧されている家畜のようだが、牧場の広さに比べてその数はとても少なくて、家畜たちにとっては理想的に感じられた。

午前8時半、飛行機は予定通りメルボルン空港の第3ターミナルに到着した。

ターミナルに直結するボーディングブリッジが開く前に後の扉が開けられ、後方に座っていた客たちはタラップを使って降りていく。

私もそれについていくと、一度地上に降りた後、再び階段を上ってボーディングブリッジの接続を待っていた前方の客と合流した。

中には足の悪い人もいて、わざわざ降りなくてもブリッジが接続されるのを待てばいいのにと思うのだが、オーストラリアの人は自由というか、案外せっかちなのかもしれない。

メルボルンの空港も無駄なスペースなどなく、到着ロビーに出ると、すぐ目の前に市内に向かうシャトルバスが停まっているのが見えた。

私は駆け足でバス停に向かう。

しかし、バスは私の目の前で扉を閉め出発しようとする。

私が扉に駆け寄ると、運転手は扉を開けて「次がすぐ来るから」と一言言って走り去っていった。

運転手が言った通り、次のバスはすぐに来た。

空港とメルボルン市中心部を結ぶシャトルバスは「SKY BUS」と呼ばれ、運賃は往復で41.20豪ドル(約4100円)、およそ25キロの道のりを30分弱で運んでくれる。

途中のハイウェイも片側5車線で渋滞はないので、鉄道と変わらぬ正確性だ。

緑の多い郊外を走り抜け、高層ビル群が見えてきた。

メルボルンといえば、イギリス統治時代の建物が残る落ち着いた街という印象を持っていたが、案外高層ビルも多いらしい。

午前9時半、サザンクロス駅に隣接するバスターミナルに到着した。

ここも薄暗くて、欧米の薄汚れた地下駐車場のようだ。

本当に無駄なところにはお金をかけないお国柄と見える。

このバスターミナルにある切符売り場で「マイキーカード」という名の交通カードを買い求めた。

一日乗り放題の「ワンダーパス」もチャージしてもらったので、これでメルボルン市内の公共交通機関には何でも乗れる。

値段はカード代と一日券で17豪ドル、日本円でおよそ1700円である。

少し早いがとりあえずホテルに行こうと思い外に出ると、煉瓦造りの建物と並んで見上げるばかりの高層ビルが何本も立ち並んでいた。

ガラスで覆われた建築物が多く、改めて地震がない国なんだなあと感じる。

メルボルンでの宿は、サザンクロス駅から歩いてすぐのリーズナブルなホテルを予約してある。

Googleマップを見ながら路地に入っていく。

路地の両サイドには車がズラリと駐車してあり、表通りに比べるとちょっと汚い印象だ。

あちらこちらの壁にはアーティストによるものと見られる壁画が描かれ、中にはすごく大きいものもある。

これもきっとこの街の個性なんだろう。

私が予約した「YEHS Hotel Melbourne CBD」はすぐに見つかった。

バスターミナルからは歩いて1分ほど。

最高の立地ではあるが、外観はまあ値段通りという感じである。

レセプションにはアジア系の女性がいて、「チェックインには早いので午後1時以降に改めて来て」と言って、私のリュックを預かってくれた。

シンプルなロビーだけれど、スタッフの態度は悪くない。

小さなバッグを一つ背負って、早速街歩きを始めた。

路地にはいたるところにアートが。

若者や芸術家に優しい街のようだ。

一方、大通りに出ると、目を引くのは壁画ではなく新緑に輝く街路樹である。

南半球にあるオーストラリアでは今がまさに春、新緑の季節なのだ。

桜よりも新緑が好きな私としては、予期せぬことながらこの時期を選んだ幸運に感謝である。

「ガーデンシティ」と呼ばれるだけあって、メルボルンの大通りには必ず植えられている街路樹に興味を抱きネットで調べていると、面白い記事を見つけた。

7万本とも言われる木々の一本一本にIDとメールアドレスが付けられていて、枯れている木があれば住民が報告できる仕組みができているのだそうだ。。

すなわち住民みんなが街路樹の管理人というわけだ。

そして、美しい新緑の下を色とりどりの路面電車トラムが走っている。

メルボルンは世界有数の路面電車網を持つ街として知られ、特にシティと呼ばれる中心部一帯には乗車無料エリアが設けられているという。

観光客にとっては夢のような乗り物。

マイキーカードも買ったことだし、この日一日トラムでメルボルンを走り回ることに決めた。

乗り方はいたって簡単。

街のあちこちにある停留所で路線図をチェックし、行きたい場所に向かう番号のトラムに乗って、降りたい停留所でボタンを押して降りるだけ。

乗る時と降りる時にマイキーカードをタッチするのは日本と同じだ。

ただ中心部の無料エリア内での移動であればカードをタッチする必要もないので、カードをタッチする人としない人が混在している。

車掌さんもいないので、無賃乗車しようと思えば簡単にできそうだが、油断していると突然制服を着た複数の職員が乗り込んで来て乗客全員のカードをチェックすることもある。

私も一度無料エリア外で職員のチェックを受けた。

私の持っていたカードは一日券なので、一日何度でもどこにでも行けるため、無料エリア内でも嬉々としてタッチしていたので問題はなかったが、ひとりの女性が職員に詰問されカードが見つからないと焦っているのを目撃した。

結局彼女のカードは見つからず罰金を払うことになったようだが、おそらく彼女は無賃乗車の常習犯だったのだろう。

トラムに乗ってまず私が訪れたのが「フリンダーズ・ストリート駅」。

ルネサンス様式の立派な駅だが、どうやらこの辺りがメルボルンの中心らしい。

目の前にはメルボルンを代表するゴシック建築の「セントポール大聖堂」が聳え立つ。

多くの観光客がひっきりなしにやってくるが、何と言っても若い中国人が目立つ。

国慶節の連休を利用して友人たちと遊びに来ているのだろう。

大聖堂のすぐ近くには壁一面がグラフィティで埋め尽くされた路地があった。

「ホッシャー・レーン」と呼ばれるこの路地も有名な観光地のようで、何組ものツアー客がガイドに連れられて壁画を眺めている。

私が気になったのは、壁画よりもむしろ路地の入り口に張り出されたたくさんの女性たちの写真。

写真には「STOP KILLING WOMEN」などのメッセージが添えられているので、オーストラリアで多くの女性たちが殺されていることを告発するアートなのだろう。

再びトラムに乗って、今度はそのまま無料エリアの外に出てみることにする。

一日券でなければチャージした分しか乗れないため残高が気になるところだが、最初からワンデイパスを入れておけば、要らぬ心配をする必要がない。

素が取れるかどうかはわからないけれど、行き当たりばったりの旅人にとっては頼もしい限りだ。

Googleマップと「地球の歩き方」を頼りに、まず訪れたのは広々とした緑の丘の頂上に建てられた神殿のような建物。

「戦争慰霊館」という施設で、第一次大戦以降、さまざまな戦争で命を落としたオーストラリア兵士たちを祀るために建てられたそうだ。

内部は慰霊施設とともに戦争の記憶を伝える博物館にもなっていて、日本と戦った太平洋戦争の展示もあるが、それは長くなるのでまた別に書くとしよう。

次に訪れたのは海。

この辺りは「セントキルダ」と呼ばれるメルボルン市民の身近なビーチらしく、近くにはヨットクラブや小さな遊園地があった。

メルボルン近郊には多くの美しいビーチがあるそうだが、あいにくこの日は天気が悪く、季節もまだ海遊びには早すぎるので浜辺は閑散としていた。

またまたトラムに乗って、今度はメルボルン有数の高級住宅街へ向かう。

車窓から眺める街の様子はブロックごとに変化して、空き店舗が目立つエリアのすぐ近くにはびっくりするような立派な住宅が建ち並ぶエリアがあったりする。

シティの南東に位置するこの界隈は「トゥーラク」と呼ばれメルボルンの中でも最高級住宅街に当たるらしい。

一軒の敷地が広くて写真ではうまく伝わらないが、東西に伸びるトゥーラク通りの南北には豪邸が並び教会もいくつも建っていた。

そうこうしているうちに午後1時を回ってしまった。

トラムは便利なのだが地下鉄に比べてスピードが遅いため、ガタゴト揺られてるうちにどんどん時間が過ぎていく。

とりあえず一旦ホテルに戻りチェックインを済ませよう。

そう思ってホテル近くを通るトラムに乗ると、メルボルンで最も高い高層ビルの近くを通って行った。

この界隈は「サウスバンク」と呼ばれる再開発エリアで、一番高いビルは100階建ての超高層マンションだそうだ。

ホテルに戻ると部屋の準備が整っていた。

ダブルサイズのベッドの置かれた細長い部屋。

部屋に入った際に一瞬カビ臭さを感じたが、空調が入ると気にならなくなった。

バスルームには何とバスタブがあった。

メルボルンはオーストラリアの南端なので他の街よりかなり寒く、私が泊まった日には最低気温が10度を下回った。

だから温かいお風呂に入りたいと思ったのだが、残念ながらお湯を溜めるための栓がない。

しかしバスタブの魅力は捨てがたく、その日の夜、フェイスタオルを足で押さえて栓の代わりにして無理矢理お湯を溜めて湯船に浸かった。

ちなみに窓からの眺めはこんな感じ。

翌朝は快晴だったので明るい印象になったけれど、チェックインした時は目の前に隣の建物が迫りとても写真など撮る気分にはならなかった。

それでもこのホテルのロケーションは申し分ないので、1泊するだけならば選択肢に入れてもいいだろう。

チェックインを終え、近くのカフェでランチも済ませて、再びトラムに乗る。

今度はサザンクロス駅の西側に開発されたヨットハーバーを取り囲む再開発エリア「ドックランズ」だ。

港を見下ろすように真新しいコンドミニアムやショップが建ち並んでいるものの、天気が悪いせいもあり、ちっとも魅力的な場所には見えない。

フットボールやラグビーの会場となる「マーベルスタジアム」を遠目に眺めただけで、人の少ない再開発地区を離れる。

世界中どこに行っても、再開発エリアというのは私の心を打たない。

やはり街は多くの人の思いが詰まって初めて魅力的になるのである。

海辺を離れて街中に戻ろうとトラムを待っていると、一昔前のレトロな電車がやってきた。

35番と書かれたこのレトロな電車は、シティの無料エリアをぐるぐる周回する観光客に人気の電車らしい。

せっかくなら一度この周回電車に乗ってみたいと思っていたので、迷わず乗り込む。

観光客に人気だけに、この電車の車内では観光バスのように沿線の観光スポットや街の歴史などを伝えるアナウンスが流れた。

このまま降りずに一周すれば、メルボルンのことがかなり学べるし、英語の勉強にもなるだろう。

たまたま一番前の席に座れたので、レトロな運転台越しに街の様子がよく観察できた。

一番の気づきは、想像していた以上に起伏があり、歩いて回ると上り坂でかなり苦労するということだった。

一日中多くの人が行き交うシティ全域を無料にした理由が分かったような気がした。

右も左も分からず行き当たりばったりだった午前中とは違い、午後はしっかり行き先を決めてから電車を選んだ。

まず最初に選んだスポットは「旧メルボルン監獄」。

イギリスの流刑地だったオーストラリアの歴史に触れられる場所として、ぜひ行ってみたかったのだ。

ただ、長くなるのでこの施設についてもまた改めて書きたい。

監獄を覗いたついでに、そのすぐ近くにあるこちらの施設にも立ち寄ってみた。

ここは「ビクトリア州立図書館」。

1854年にオーストラリア最初の公共図書館として建てられたが、今もバリバリの現役だ。

図書館の中央は、4階まで吹き抜けになった八角形のドームになっていて、その名もズバリ「ドーム」と呼ばれ、市民だけでなく世界中の観光客が見物に訪れる。

ヘルシンキで訪れた現代的な図書館も印象深かったけれど、メルボルンの図書館の美しさはどうだ。

この日いろいろ見て回った中で、この図書館が一番印象に残ったかもしれない。

重厚な図書館の正面から出ると、そこはメルボルン市民の憩いの場所。

緑の芝生に寝転がったり、見知らぬ人同士がチェスで対戦していたり、素敵な空間が広がっていた。

図書館の前を南北に走る「スワンストン・ストリート」は文字通りシティの真ん中を貫くメインストリートで、多くのトラムがここを通過する。

私もとりあえず来た電車に飛び乗った。

スワンストン通りは緩やかな下り坂になっていて、両サイドには人気のお店が集まっていて、多くの人で賑わっていた。

坂を下り切ったところにあるのが、午前中に訪れたフリンダーズ・ストリート駅。

少しずつ、土地勘ができていくのが妙に楽しい。

次に訪れたのは、フリンダーズ・ストリート駅から少し西に走った場所にある「移民博物館」。

歩いても数ブロックの距離なのだが、この頃になるともう足がだいぶ疲れてきて、少しの距離でもトラムのお世話になるようになっていた。

世界で悲劇が起きるたびに難民や移民を受け入れて世界有数の多民族共存都市を築き上げたメルボルンの歴史を知りたいと思って訪れたのだが、こちらも長くなりそうなので改めてにしよう。

移民博物館を出るともう4時をすっかり回っていた。

肉体的にはもう限界が近づいてきたため、最後に一箇所トラムで訪ねて街巡りをおしまいにすることに。

その場所というのが、全豪オープンテニスの会場となる「メルボルンパーク・テニスセンター」である。

取り立ててテニスが好きなわけではないけれど、メルボルンといえば真っ先に思いつく場所でもあったので、とりあえず向かうことにした。

移民博物館前の停留所から直通の電車も走っているのでこれ以上歩かなくてもいい。

メインコートである「ジョン・ケイン・アリーナ」の前にはたくさんの胸像が並んでいらので、てっきり歴代の優勝者たちかと思い、私でも知っているボルグやジョコビッチの名を探したが見つからない。

オーストラリア人選手に限定しているのかと思い、アリーナに名が刻まれているジョン・ケインさんについて調べてみると、前のヴィクトリア州知事、すなわち政治家だった。

彼は全豪オープンの開催地をメルボルンに固定したことで大会に貢献したという理由で、2021年からメインアリーナに彼の名前が付けられたということらしい。

なんだかちっとも感動的ではなく、どこの国でもお偉いさんをヨイショするムードは変わらないんだなと感じる。

全豪オープンの開催は毎年1月なので、この日はほとんど人もおらず静まり返っていたが、メイン会場ではない別のアリーナをちょっとだけ覗くことができ、テレビで観戦していたあの試合がここで戦われたんだと思うと、少し胸が高まる気がしてきた。

こうして一日動き回ってクタクタになり、一旦はホテルに戻って休憩したのだけれど、晩飯を食べると少し元気と欲が復活してきて、夜のメルボルンをトラムから眺めたくなった。

シティを一周する35番の電車に乗りたいと思い、35番が通る停留所に行くと、35番はすでにこの日の運行を終えていた。

やはり市民の足というよりも観光客狙いの企画電車ということらしい。

ただ停留所で待っているのは、中国人の観光客ばかり。

夜も35番を走らせると、結構ニーズは高いんじゃないかと思った。

一日トラムに乗って、何番の電車がどこを通るかある程度頭に入ったので、来た電車に適当に乗りシティの中心部まで行ってみた。

ところが夜になると一気に人が減り店も閉まっていて、ちょっと肩透かしを食った気分だ。

オーストラリアの人はあまり夜遊びをせず、夜は家族と過ごすのかもしれない。

メルボルン名物の路面電車を乗り継ぐ小旅行。

ただ、そんなメルボルンでも地下鉄工事が進められていて、来年2月には開業するという。

トラムは風情はあるがスピードが遅い。

観光客には好評でも地元のビジネスマンにはもっと速い交通機関が必要なのかもしれない。

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