2023年のクリスマスは、いつもの年とは違っていた。
これまでだいたい吉祥寺で妻と過ごすことが多かったのだが、今年は私一人で岡山に来て、新調した焼却炉でひたすら伐採した木を燃やして過ごした。

最初はビクビクものだった焼却作業も、2日目ともなればもう余裕余裕。
野積みになっていた伐採した木を小型のチェーンソーや剪定バサミを使って焼却炉に入る大きさに整えて、ただ放り込んでいくだけだ。
むしろ、1年以上放置してあった伐採木にはつる草が絡まりつき、全力で引っ張ってもなかなか山を崩すことができない。
そこは辛抱強く、木がどのように絡まっているかを観察し、順番に外していくパズルのような作業が必要だ。

炭になってもなかなか火が消えないことも学習し、2日目には午後3時以降は新たな木材を投入しないことにした。
おかげで、暗くなる午後5時前にはこの日の作業を終えて家路につくこともできたのである。
人間は日々学習する生き物だ。
この調子ならば、今月の滞在中に邪魔者の伐採木を全て処分することができるかもしれない。

ということで、焼却炉の方は順調なのだが、どういうわけか家の方ではいろいろ起きる。
最初は寝ている和室のLED電灯がいきなり点かなくなってしまったことから始まった。
この電灯は今年の春に亡くなった伯母が電気屋さんに設置されてもらったもので、スイッチではなく昔ながらに紐を引っ張って点けたり消したりする奴である。
夜寝る前点けていて、寝る時に消したまでは良かったのだが、用事を思い出して再び点けようとしたところ何度紐を引っ張っても点いてくれないのだ。
LEDって寿命が長い分、蛍光灯のように簡単に交換できないタイプのものが多く、この電灯もどうすればいいのかパッと見ではわからない。
仕方なく、あまり使わない仏間の電灯と交換して、とりあえず急場を凌ぐことに。

すると次はトイレである。
よりによってクリスマスイブの夜、トイレが詰まって水が流れなくなってしまったのだ。
ええ、これはヤバい!
すぐに妻に電話して「トイレが詰まった」と伝えると、妻はすぐに前回詰まった時に買ったパイプクリーナーのありかを冷静に教えてくれた。
早速そいつを使ってトイレと格闘すると、一発で問題は解決したのである。
これが今年のサンタさんからのクリスマスプレゼントということなのだろう。
ともあれ、よかった、よかった!

一夜明けて、今日は朝洗濯をしてから母のマンションに行く。
午前10時半からケアマネさんが来られるので、それに立ち会って欲しいと言われたからだ。
どうやら3ヶ月に1回の決められた訪問ということで、母の近況を確認したり、私の希望を聞き取ったりして1時間ほどで無事に終わった。
母の膝の状態はだいぶ改善したようなので、当分は今の最低限のケアを受けながら様子を見ることとなった。
私の方からは、30年前の引っ越し荷物に埋もれて全く使っていない北の部屋を業者に依頼して片付けたいという希望を伝えた。
この話は母との間でずっと押し問答が続いている懸案で、母はどういうわけかこの片付けだけは頑なに拒否するのだが、今日はケアマネさんの手前もあってか珍しくそれを検討してくれると言ったので来年のテーマとしてケアマネさんのノートに書き込まれた。
これは今日の大きな成果と言っていいだろう。

ケアマネさんが帰った後、母を連れてクリスマスの食事に出かけた。
母はいつものように「何でもいい」と言うので、私の希望でカニを食べに行くことにした。
岡山のカニ料理と言えば「岡山甲羅本店」というのが有名らしい。
母とカニを食べるのは初めてのこと。
いつも少量しか食べないので、注文がちょっと難しい。

このお店は、旅館の食事のように品数の多い懐石や御膳などが中心で、写真を見るだけで圧倒されてしまう。
とても母には無理なので、ランチを1人分頼んで、あとはアラカルトの中からカニを選ぶことにする。

とにかく選択肢が多いのでいろいろ迷った末、「カニ釜飯御膳」(2880円)を注文する。
まず最初に、カニの刺身と茹でガニ、サラダが出て来たが、案の定、カニの足は細くあまりカニを食ったという実感が湧かない。

このセットには、カニのグラタンやカニの茶碗蒸し、天ぷら(カニではない)と続き、メインのカニ釜飯とデザートとなるので、かなりカニづくしではあるのだが、やはりカニ食ったという感じにはやはりならなかった。
でも、それは値段からしてあらかじめ予想されたことであり、久しぶりに食べた釜飯も美味しかったのでこのセットに文句はない。
ということで、もう一品私が注文していたのがこちらだ。

「せいろ蒸し たらば」、値段は4800円。
出てきた瞬間、「カニだ!」と思った。
こいつを、母と分けて食う。
母は2切れほどしか食べないので、残りは全部私がいただいた。
こんなカニを食うのはいつ以来だろう。
全く思い出せないほど久しぶりのことである。
身を取り出し、レモンと塩をかけていただく。
もちろん、美味い。
非常に、美味い。

店の入り口には、生きたカニが生簀にいて、「生カニ」18000円からと書いてあった。
岡山といえば、やはり鳥取の松葉ガニが幅を利かせているようだが、小さな松葉ガニは足も細くて食った気がしないという課題がある。
かといって食い出のあるデカいやつを食うと、出費も半端なくなるので、このあたりでいつも躊躇してしまうのだ。
今日はクリスマスだから奮発して消費税込み5000円超のタラバをいただいたけれど、これが母と食べる最後のカニとなるかもしれない。

カニを食べ終わって店を出ると、向かいに「ヤマダデンキ」のお店があったので、母が買い替えを検討している電気ストーブとトースター、さらに洗濯機や炊飯器もチェックする。
結局これらは緊急性がないということで、緊急性が高いシャワーヘッドだけ買って帰った。
母が使っているシャワーヘッドはどうも穴が詰まって出が悪くなっているらしく、新しい奴に取り替えてあげると勢いよく出るシャワーに母は嬉しそうだった。
ちょっといつもとは違った今年のクリスマス。
今の母にとって一番大切な仏壇の花も買えたし、少し親孝行ができたクリスマスになったようだ。
「岡山甲羅本店」 電話:086-261-4588 営業時間:平 日 11:30-22:30 土日祝 11:00-22:30 定休日:12/31、1/1 https://www.kamogata.com/kora/