<吉祥寺残日録>シニアのクリスマス!多磨霊園に確保した自分たちが将来入る合同墓を見にいった #221225

子供が巣立ってシニアになると、クリスマスというものが少し縁遠くなる。

サンタさんの代役を求められることもなく、プレゼントを用意する必要もなくなった。

毎年買うものと言えば、花束ぐらい。

それも決して高いものを買うわけではない。

いつもは白い花ばかりを選ぶ妻が、クリスマスだからと言って珍しく赤い花も混ぜて買ってきた。

そんな我が家の今年のクリスマス。

ケーキぐらいは用意しようと、小さなケーキ屋さんに電話してみると、クリスマスイブには忙しいので電話も取らないという。

お店のインスタをチェックすると、予約販売をこなすだけで精一杯で、普段売られているカットケーキを作る余裕はないと書いてあった。

仕方ないので、マルイに行って昔懐かしいトップスのチョコレートケーキを買い求めた。

ちょうどテレビ局に入った頃、初めて食べたトップスの記憶は今も鮮明だ。

今ではおしゃれで美味しいケーキが溢れているのでもう珍しくもないが、昔の感動は今もこのケーキを特別なものに感じさせる。

クリスマスイブのディナーは、カキフライ。

妻を手伝って初めて自分で作ってみた。

カキに小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせて、最後にパン粉を表面につけていく。

別にどうということはないと思って始めてみると、思いのほかパン粉をうまくまぶすことができず、指先にくっついて肝心のカキから剥がれてしまう。

「これじゃダメ」と妻に叱られながら、何とかカキフライを揚げ終えた。

カキフライには、カルディコーヒーファームで買ってきた「いぶりがっこのタルタルソース」を添える。

パン粉をこれでもかというぐらいまぶした結果、いつもよりもカラッとしたカキフライになっている。

悪くない。

図書館で借りた「そば屋の新しいおつまみ137品」という本に出ていた「新じゃがの唐揚げ」も自分で作り、マルイで買い求めた安物のオーガニックワインと一緒にいただく。

自分が食べたいものを自分で作れるようになると、時間に余裕のあるシニアには料理もいい趣味になりそうだ。

ついでに、岡山から持ち帰った自作の白菜の残りを使って、白菜の漬物にも挑戦してみた。

切った白菜を1日天日干ししてから塩をまぶし、小さな漬物容器に収めた。

その際、唐辛子と昆布、そして岡山で収穫した自作の柚子を散らしておいた。

これで2〜3日すれば水が出てくるので、白菜をひっくり返してさらに数日待つのだそうだ。

果たしてどんな白菜漬けができるのか、理科の実験のようでちょっと楽しい。

一夜明けて、クリスマス当日。

東京は今日も快晴だ。

特に予定がなかったが、妻と一緒に外出することにした。

行き先は多磨霊園。

去年夫婦で生前申し込みをした合同墓を見に行くことにしたのだ。

中央線で2つ先の武蔵境駅まで行き、そこで西武多摩川線に乗り換えて2駅目の多磨駅で降りる。

申し込みをした時にはまだ植物を植えたばかりといった感じだったが、1年余りが経ち、墳丘のようなお墓は緑に覆われていた。

献花台にはいくつかのお花が手向けられている。

すでにここで眠っている方がいるのだろう。

私たちも死んだら粉になってこの墓に撒かれることになっている。

もともと樹木葬は妻の希望だったが、家からも近い都立の多磨霊園の一隅に合同墓とはいえ自分たちの墓を用意できたことは実に合理的な判断だったと感じている。

この合同墓のある場所は、たくさんの有名人が眠る多磨霊園の中でも最も格式が高い「名誉霊域」と呼ばれるエリアで、向かいには西郷隆盛の弟で陸軍大臣や海軍大臣などを務めた西郷従道のでっかいお墓が立っていた。

別に私は有名人好きではないが、墓参りに来た子孫たちがこうした有名人の墓を見て歴史に興味を持ってもらえれば願ってもないことだ。

今では到底このエリアに墓を立てることなど叶わないだろう。

もしも抽選で当たったとしても昔の1区画をいくつもに分割して小さなお墓が立つだけだ。

その墓代は相当な高額になる。

その点、霊園が用意した合同墓に入れば1人の負担は数万円と破格の安さなのだ。

合同墓を確認した後、その周辺をぶらぶら散歩していると、雑草に覆い尽くされたお墓をいくつも目にした。

どんなに立派な墓を立てたところで、こうなっては台無しである。

昔なら先祖の墓を綺麗に維持するのは子孫の務めだったのだろうが、今時子供に墓守りを命じる親も多くはないだろう。

その点、合同墓は霊園が綺麗に管理してくれるので、たとえ子孫が参ってくれなくても荒れ果てることはない。

墓参りは義務ではなく、墓に来て報告したいことがある時だけ来ればいいのだ。

クリスマスに自分たちの墓参りをするというのも妙なものだが、妻は改めて自分が入るはずのお墓の場所を確認して安心したらしい。

どちらが先に入るにしても、ここならば自宅からタクシーで来るのも容易である。

武蔵小金井駅からのバスも霊園内の比較的近い場所に停まることを確認し、再び多磨駅から電車で家路についた。

クリスマスの吉祥寺は人でごった返しているが、多磨霊園には静かで穏やかな時間が流れていた。

60代でもう死ぬことを考えるのはちょっと早い気もするが、正直、混雑する吉祥寺よりも静かな多磨霊園の方が今の私たちには居心地が良い感じがした。

不思議なクリスマス、死を恐れる気持ちは私にはもうほとんどないようである。

<吉祥寺残日録>定年後を考える😄 当選した都立多磨霊園の「樹林型合葬埋蔵施設」を見に行く #210908

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