<きちたび>北アイルランドの旅〜世界中から観光客が訪れる「タイタニック・ベルファスト博物館」

🇬🇧イギリス/ベルファスト 2019年8月6日

映画「タイタニック」でも有名な豪華客船タイタニック号。

100年以上前、このタイタニック号を建造した名門造船所「ハーランド・アンド・ウルフ(H&W)」社が、この夏、破綻しました。2019年8月6日のことです。

このニュースを帰国後に知り、私はものすごく驚きました。

なぜならこの8月6日に、私は偶然、北アイルランドの中心都市ベルファストにある「タイタニック博物館」を訪ねていたのです。この博物館はまさに、破綻したH&Wの造船所跡地に建てられたものです。

タイタニック・ベルファスト

アイルランドの首都ダブリンから鉄道に乗って、北アイルランドの中心都市ベルファストへの日帰り旅。

ベルファスト・ラニヨンプレイス駅に到着したのは、午前10時ごろでした。

ちなみに、北アイルランドはアイルランドではなくイギリスに属するため、通貨もポンドに変わります。

革張りシートの立派なタクシーに乗って、まず向かったのは「タイタニック・ベルファスト」。

あのタイタニック号沈没事故から100年に合わせて建設された「タイタニック博物館」です。

1912年、世界最大の豪華客船として就航したタイタニック号は、イギリス南部のサウサンプトンからニューヨークへの処女航海中、大西洋で氷山に衝突し沈没しました。

「あれ?」

ここで一つの疑問が浮かびます。

なぜ、タイタニック博物館がベルファストに作られたのか?

理由はズバリ、タイタニック号がここベルファストで建造されたからです。

タイタニック・ベルファストは、2012年3月、タイタニック号を建造した「ハーランド・アンド・ウルフ(H&W)」社の造船所跡地に建設されました。

建物の中に入ってみましょう。

1階のロビーには、ミュージアムショップの「TITANIC STORE」のほかレストランやカフェ、そしてチケット売り場があります。

料金は、以下の通りです。

基本的なチケットは、博物館の展示「タイタニック・エクスペリエンス」と博物館脇に係留されている「SS NOMADIC」という連絡船を見ることができる入場券です。

  • 大人 19ポンド(約2500円)
  • 子供(5−16歳) 8.50ポンド
  • 幼児(5歳未満) 無料
  • シニア(60歳以上/月-金限定) 15.50ポンド
  • 学生&失業者(月-金限定) 15.50ポンド

大人2人と子供2人の家族なら、ファミリーパック(46.50ポンド)というちょっとお得なチケットもあるそうです。

このほかに、ガイド付きで建物や敷地をめぐる「ディスカバリーツアー」もあり、大人は9ポンド。

さらに、タイタニック・ベルファストのすべてを体験したいというタイタニックフリークのためには、基本チケットとディスカバリーツアーにお土産の写真がセットになった「ホワイトスタープレミアムパス」もあります。

料金は、大人30ポンド、子供20ポンドです。

タイタニック・エクスペリエンス

チケットを購入したら、2階の展示スペースに進みましょう。

「マルチメディアガイド」という多言語のスマホサービスが用意されています。

利用には4ポンドが必要ですが、館内には表示されない情報が言語と映像で提供されるようです。

ただし対応言語は、英語、アイルランド語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、中国語、ポーランド語。残念ながら、日本語はありません。

展示はまず、タイタニック号が建造された20世紀初めのベルファストの説明から始まります。

当時のベルファストは、アイルランドで最も繁栄する工業都市でした。

特に繊維産業では世界一だったそうです。

そして19世紀は新大陸への移民が大量に生まれた時代で、高速の船と電信の発展が世界の距離を大きく縮めた時代でもありました。

活況を呈する大西洋航路に海運会社は競って高速客船を投入します。

そんな中、ベルファストの造船会社「ハーランド・アンド・ウルフ」は、イギリスの海運会社「ホワイトスターライン」にある提案を持ちかけます。

ただスピードが速いだけではなく、より豪華で設備が整った大型客船の建設です。

こうして「ホワイトスターライン」のために建造されることになったのが、オリンピック、ブリタニック、そしてタイタニックという3隻。当時、世界最大の豪華客船でした。

タイタニックは「ハーランド・アンド・ウルフ」のこの部屋で設計され・・・

大型船を建造するための専用のガントリー(鉄製の構造物)が造船所の敷地内に組まれました。

そして、1909年3月31日、タイタニックの建造が始まります。

面白いのは、これ。

当時、造船所で使われていたタイムカードのような機械です。労働者たちは仕事を始める前にこの機械で木の札を受け取り、終業時にその木の札を返すことで労働時間を管理されました。

館内には、ガントリーの実物大の模型が組まれています。

エレベーターでガントリーの上部に上がるように順路が組まれていて、タイタニック号の大きさを体感することができるのです。

タイタニック・ベルファストは、単なる博物館ではなく、最新の技術を導入してタイタニックの世界を感じることができるアミューズメント施設と言った方がいいかもしれません。

それが一番表れているのがこちらのブロック。

ゴンドラに乗って、造船所の中を探検するアトラクションです。

私も行列に並んだのですが、待ち時間がかなりありそうで、後の予定があったのでやむなく断念しました。

Titanic Belfast公式サイトより
Titanic Belfast公式サイトより

私も体験していないのでちゃんとした説明はできませんが、公式サイトにはこんな写真が載っていました。

そして1911年5月31日、タイタニックはいよいよガントリーを離れて海へ・・・。

ただ、この時点ではまだ客室部分やあの印象的な煙突は完成していなかったのは興味深いところです。

その後の作業を経て、見慣れた勇壮な船体が完成したのは、1912年3月31日。起工から、3年後のことでした。

船内に置かれた家具も再現されていました。

応接セットに・・・

ベッド・・・

さらには、食器類も・・・。

さらにここでは、大きな三面スクリーンを使い、精巧なCGでタイタニックの船内を再現する仕掛けも用意されていました。

時間は4分間です。

客室の真っ白な廊下・・・

こちらは優雅なダイニングルームでしょうか?

とてもよくできています。

CGが動いて艦内を巡っていくので、見る人はある種のVR体験をしているようにタイタニックの世界に没入していきます。

運命の1912年4月14日

そして、タイタニック号は完成から間がない1912年4月2日、ベルファストを出港し処女航海のためにイギリスのサウサンプトンへと向かいます。

タイタニックの処女航海は、1912年4月10日、イギリスのサウサンプトンを出発。

フランスのシェルブール、アイルランドのクイーンズタウンに寄港した後、ニューヨークへ向け、大西洋へと旅だったのです。

処女航海に参加した乗客乗員は2223人でした。

そして運命の4月14日。

北大西洋のニューファウンドランド沖を航行中のタイタニック号は、氷山と衝突し沈没します。

博物館ではこの有名な沈没のシーンをやはりCGで再現していました。

生々しさを避けるためでしょうか?

ここで使用されているCGは比較的簡略な説明的なものでした。

奇跡的に生き残った人たちと・・・

亡くなった方々。

それぞれの人生が語られます。

史上最大の海難事故となったタイタニック沈没事故の犠牲者は、1513人と言われています。

展示の最後には、大型のシアターがあります。

スクリーンには、海底に沈んだタイタニックの姿が映し出されていました。

静かに映し出される事故から100年後の船内。

ここで流されていたのは、2005年に初めて撮影されたタイタニックの映像です。

そして今年、14年ぶりの有人調査が行われ、4Kカメラによるより高精細な映像が撮影されました。このニュースが発表されたのは私が博物館を訪問した後。

CNNの記事をリンクしておきますので、ご興味があれば最新の映像をご覧ください。

H&Wの破綻

展示コーナーの出口には、「H&W」と書かれたクレーンの模型が置かれていました。

タイタニックを建造した「ハーランド・アンド・ウルフ」社のクレーンで、このクレーンは長年、ベルファストのシンボルでした。

タイタニックの事故後の「ハーランド・アンド・ウルフ」社に関する100年間の年表も展示されていました。

タイタニックと、H&Wは切っても切れない関係なのです。

そして、こんなパネルもありました。

『ハーランド・アンド・ウルフは、タイタニック後の何十年もの間、成功を続けた。それは今でも、ベルファストの重要な産業である。』

その時、私は何気なくその説明文を読みました。

特に何の感慨もありません。

その日、150年以上の歴史を持つ老舗の造船会社に何が起きているか、私は当然のことながらまったく知らなかったのです。

博物館の建物を出ると、目の前にあの「H&W」の黄色いクレーンが見えました。

博物館の前には、広々とした広場があります。

何本もの柱が立っていますが、ここはタイタニックが建造されたドックヤードです。

タイタニックの大きさがわかるよう、広場には船体をかたどった線が引かれています。

柱の高さは、建造時に作られたガントリーの高さを示していて、それでタイタニックの大きさを感じることができます。

このドックヤードで、H&Wのクレーンを撮影したこの日、タイタニックを建造した歴史ある造船会社「ハーランド・アンド・ウルフ」は破綻しました。

帰国後、こんな記事を目にして、あまりの偶然に唖然としたのです。

 英BBC放送は6日、1912年に氷山に衝突して沈没した英豪華客船タイタニック号を建造した英領北アイルランドの造船所「ハーランド・アンド・ウルフ」が破産を申請し、経営破綻したと報じた。競争の激化などで業況が悪化したとみられる。

 親会社が売却先を探していたが見つからなかったことなどから再建を断念。5日には、会計事務所が管財人に指名されたと発表していた。

 ハーランド社は1861年に創業。最盛期には3万人以上だった従業員も、現在は120~130人にまで減少。破綻に伴って解雇される恐れがある。

 タイタニックを題材にし、米俳優レオナルド・ディカプリオさんらが出演した映画は1990年代後半に日本を含む世界各地で大ヒットした。(共同)

150年の歴史を刻んだ名門企業も最後は社員数わずか100人あまりの中小企業になっていたことを知りました。

社員たちはその後、どうなっただろう?

そして、博物館のあの展示はどうなっただろうか?

もともとタイタニックにそれほど強い関心を持っていなかった私ですが、このニュースのおかげで、忘れられない訪問となりました。

ベルファストを代表する名門企業「ハーランド・アンド・ウルフ」の最後の日。

この日、ベルファストの空は終日厚い雲に覆われ、時折激しい雨が降ってきました。

「タイタニック・ベルファスト」
営業時間:
1月〜3月 午前10時〜午後5時
4月-5月 午前9時〜午後6時
月 午前8時30分〜午後7時
7月〜8月(日〜木) 午前8時30分〜午後7時
7月-8月(金-土) 午前8時30分〜午後8時
9月 午前8時30分〜午後6時
10月(月〜金) 午前10時〜午後5時
10月(土-日) 午前9時〜午後6時
11月12月  午前10時〜午後5時
休館日:12月24-26日
公式サイト(英語):https://www.titanicbelfast.com/

北アイルランド日帰り旅

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