今日午前、ヨーロッパから帰国した。
今月1日に出発してアイスランド、グリーンランド、リヒテンシュタインを回った今回の旅、とても充実して楽しい12日間だった。
唯一の問題は、アイスランドに到着してすぐから始まった咳である。
気管支のあたりがイガイガして、ベッドに横になると激しく咳き込んだ。
最初は、サウジアラビアの時のように発熱騒ぎで緊急帰国になるのではと心配したが、結局旅行中熱は出ず、食欲も衰えることはなかった。
ただ咳の方は一向に治らず、帰国の日まで良くも悪くもならないままダラダラと続いたのだ。
おかげで、夜ゆっくりと睡眠をとることができず、持ち前の時差ボケと相まって私の睡眠スケジュールはぐちゃぐちゃになってしまった。
こんな状態で、長時間のフライトに耐えられるのだろうか?
そんな心配を胸に、11日の早朝5時前にチューリッヒのホテルをチャックアウトし、空港へと向かった。
路面は濡れていたが、幸いなことにその時間には雨は降っていなかった。
ロンドン経由羽田空港行きの英国航空便。
午前7時10分出発の便に乗るのは結構大変だが、睡眠時間がぐちゃぐちゃになっている分、早朝に起きることはまったく苦にはならなかった。
早朝のチューリッヒ中央駅は、立錐の余地もないほどに多くの人で賑わっていたのが嘘のように、ほとんど人の気配がなかった。
とりあえず、この駅から出る列車に乗ってチューリッヒ国際空港まで行かねばならない。
券売機でなんとかチケットを購入し、地下のホームに行く。
ワイモバイルの国際ローミングサービスがスイスではなぜか全然つながらないので、調べたいことを調べることができず、どうも前日からいろいろと不安が続いている。
チューリッヒ中央駅から国際空港までは、鉄道で10分あまり。
本数もそこそこあるものの、さまざまな行き先の列車が途中空港駅に停車するということで、東京モノレールのような専用線と比べると、この列車で本当にいいのか不安もつきまとう。
チューリッヒの空港もガラガラだった。
ここでも、チェックインカウンターの案内が不親切で、英国航空のカウンターを見つけるのにちょっと手間取った。
日本からヨーロッパに来ると、空港や駅にいるスタッフの数が少ないと感じる。
特に早朝はほとんど人がおらず、何か聞こうと思っても聞く相手を見つけられないのだ。
羽田空港に戻ってきて、到着した荷物を受け取るターンテーブルのところで、出てくるスーツケースを一つ一つ整頓しているスタッフを見た時、確かに乗客には優しいけれどこれでは労働生産性が低いと言われても仕方がないと感じてしまった。
こうして無事にスーツケースの預け入れも終わり、手荷物検査を終え、まだ出発までには1時間半ほどあったので、ラウンジで朝食でも食べようと立ち寄った時のことだ。
受付の女性から、「搭乗口まで25分くらいかかるので、そちらのラウンジを使った方がいい」と言われた。
搭乗口まで25分もかかるとは、どういうことだろうと思いながら、女性のアドバイスに従って先に進む。
私の乗る英国航空便の搭乗口は「E62」。
この「E」だけ、他のアルファベットの搭乗口とは違い、地下に進むようになっていた。
そこで「E」搭乗口へと向かう「スカイメトロ」と呼ばれる電車に乗り込む。
エクスペディアのブッキング情報では、羽田やヒースローなどの巨大空港のようにターミナル名が記されていなかったので、チューリッヒ空港ではターミナルが分かれていないのかと思っていたが、「A」「B」「E」の3つのターミナルに分かれていて、中でも「E」は他の2つのターミナルから離れていることがわかった。
しかも、「E」はシェンゲン圏外の国際線専用のターミナルらしく、「スカイメトロ」を降りた後にパスポートコントロールが待ち受けているのである。
こうした空港の仕組みを知らないまま搭乗時間直前までラウンジでのんびりしていたら確実に乗り遅れるところであった。
ターミナルEのラウンジは早朝開いておらず、結局待合室で時間を潰すことになったが、なんとか無事に午前6時50分発の飛行機に乗り込むことができた。
いつの間にか、外は雨が降っている。
ホテルから駅まで濡れずに行けてラッキーだったと思った。
しかし、出発時刻になっても飛行機は搭乗口から動こうとしない。
諸々の事情で出発が遅れるとのアナウンスがあり、結果的に30分以上遅れてチューリッヒを飛び立った。
眼下には、チューリッヒ湖を取り囲むように広がるチューリッヒの夜景が広がる。
飛行機はすぐに雲の中に入り、下界の様子は窓から見えなくなった。
しかし、チューリッヒでの出発の遅れ、ロンドンでの乗り継ぎが少し心配になった。
ロンドン・ヒースロー空港での乗り継ぎはもともと1時間15分しかないのだ。
2つのフライトはどちらも英国航空で、ターミナル5に到着し、ターミナル5に出発するので多少到着時間が遅くなってもなんとかなるだろうと自分に言い聞かせる。
ところがヒースロー空港に到着してみると、同じターミナル5でも、到着と出発の搭乗口がすごく離れていることがわかった。
到着後トランジットレーンに進んで、搭乗券のチェックと厳重な手荷物検査を受ける。
ここを通過するともう出発時刻の25分前になっていた。
登場の最終締め切り時刻は出発の20分前と書かれていて、「これはやばい」と私は走り出した。
しかし同じターミナル5でも、実は本体とは別に「Bゲート」「Cゲート」という2つの離れた建物があり、その間は徒歩ではなく電車で移動する仕組みになっていた。
あいにく、私が乗る予定便の搭乗口は「C64」。
一番通り「Cゲート」だ。
分厚いダウンコートを着てリュックを背負って走って電車に飛び乗る。
全身から汗が噴き出した。
「Cゲート」に着くと、電車を飛び降り一目散に搭乗口に走る。
すでに搭乗最終締め切りの出発20分前は過ぎている。
やばい、やばい。
最後の最後で帰国便に乗り遅れたのでは洒落にならない。
こういう時に限って、私の搭乗口は一番離れた位置にあるのだ。
ようやく私が搭乗口に辿り着いた時、まだ最後の乗客が飛行機に乗り込むために列を作っていた。
よかった、間に合った。
私はダウンコートも長袖シャツも脱いで、半袖姿で息を切らせながら乗客の列に並んだ。
こうしてギリギリで乗り込んだ羽田行きの便だったが、なんのことはない、またまた諸々の事情でロンドン出発が50分も遅れたのだった。
諸々の事情の中には、私のスーツケースの積み換え作業も含まれていたかもしれない。
こうして私は綱渡りで帰国便に滑り込むことができた。
羽田〜ヒースロー間は、往路はアラスカ、グリーンランド、アイスランドの上空を飛んだが、復路はまったくルートが違って、ルーマニア、ジョージア、中央アジア、中国の上空を飛び、行きよりも1時間半ほど短い13時間30分ほどのフライトである。
往路は、日本でダウンロードした連続ドラマを見て時間を潰したが、復路は基本的に英国航空が用意した映画の中から日本映画3本と「ミッション・インポシブル」の最新作を見て過ごした。
どうも睡眠時間がぐちゃぐちゃになっている関係で、機内でもほとんど眠たくならず、結局ほとんど寝ることなく東京に戻ってきた。
今回の旅行から長時間フライトに関しては、これまでの窓際席ではなく内側シートの通路側を取るようにしたのだが、これはいい選択のようである。
好きな時に自由に立てるので、足のむくみがひどくならなかった。
咳も出るには出たが心配したほどではなく、水を飲んだりのど飴を舐めたりしながら、なんとかやり過ごした。
無事に吉祥寺に帰り着き、妻に咳のことを話した。
「早めに診て貰えば。今日ならお医者さんやってるよ」と妻が言った。
昼食を食べ、ひと眠りした後、吉祥寺市内の呼吸器のクリニックに行ってみることにする。
呼吸器系ではまだかかりつけの医者を見つけられておらず、とりあえずネットで探し、比較的良さそうなクリニックを訪ねた。
「木下循環器呼吸器内科クリニック」
弁天通りにある小さなクリニックだった。
診察を待っている患者さんはほとんどいなくて、すぐにレントゲンと呼吸中一酸化窒素濃度検査をやってくれた。
結果は、肺には目立った炎症はなく、少し喘息の症状が出ているということで吸入の薬を処方された。
とりあえず、大ごとではなさそうで安心する。
吉祥寺の街もすでにクリスマスモードだ。
しばらく自宅でゆっくりして、旅の記録をまとめなければならない。
クリニックの帰り、図書館に寄って2月のカリブ海旅行の関連本を借りてきた。
早く咳を治して、次の旅行に備えて体調を整えなければと思っている。
