🇨🇳中国/南京 2017年5月 3泊4日
ゴールデンウィークを利用して3泊4日で出かけた中国の古都、南京の旅。
成田からの直行便や空港から市内に向かう地下鉄の乗り方、そして南京のオススメの観光スポットをご紹介します。
戦争の記憶から日本人が訪れることの少ない町ですが、実に見所の多い魅力的な旅行先です。
中国東方航空
南京には成田空港から週3便、直行便が飛んでいます。中国東方航空の飛行機で、日本航空とのコードシェア便です。
中国東方航空は、上海に本社を置く中国の大手航空会社ですが、私にとっては40年ぶりに乗る中国キャリアの航空機でした。
40年前の中国民航は、本当にひどかった。機体もひどいし、サービスも最低。それに比べて今回は、基本的に快適でした。
ただ、機体の到着遅れで出発が遅れました。
おまけに、共同運行便とは言いながら、JALのマイルはつきません。
機内食も、ちょっと病院食のような雰囲気でした。
開けると素朴な感じですが、味は悪くありません。
細かな課題はありますが、やはり直行便はありがたいもので、飛行時間は、往路が3時間半、復路は3時間です。
近い。日本との時差は1時間です。
上空から見た南京は、もやっていました。
揚子江流域ということもあり、水の都という印象です。
村落はちょっとヨーロッパの趣もあり、水郷地帯の中に浮かんだように点在していました。
南京国際空港
到着した南京空港は、ピカピカでした。
ネットで調べると開港は1997年と出ていますが、リニューアル工事でもしたのでしょうか?
ただそれ以上に印象的だったのは、日本の感覚で言えば不必要に通路が広いということです。
これは、中国の公共施設では常に感じることですが、南京空港もとにかく大きく作られています。
入国審査はあっけないくらいスムーズでした。もちろん入国ビザも不要です。
入管職員の対応について評価するボタンが設置されていて、入国する旅行者がボタンを押して職員を評価する仕組みが導入されています。役人天国だった昔の中国ではとても考えられないことです。
中国も変わろうとしていることを、こうした細かいことからも強く感じます。
空港の案内板は中国語と英語。
でも漢字があるだけで感覚的に理解しやすく、迷わず「地鉄」と書かれた方向に進みます。
地下鉄の入口もまた不必要に巨大な施設でした。
とても中国らしい、とも言えます。
地下鉄に乗る
券売機で地下鉄のチケットを購入します。
路線図が表示されるので、ガイドブックの地図で目的地を確認しながらタッチパネルを操作し、無事に買うことができました。
さほど難しくはありません。
日本の地下鉄と大きく違うのは、改札の前に手荷物検査場があることです。これは南京に限らず、中国の鉄道に乗る時には必ず通らなければなりません。
面倒だなと思いましたが、慣れると大して苦になりませんでした。テロが頻発する時代だけに、日本でもそのうち導入されるかもしれません。
この丸いプラスチックが「クートン」と呼ばれるチケットです。自動改札機にこのクートンをかざしてゲートを通過します。
地下鉄の最低運賃は2元(約36円)。空港から市の中心部までは10元です。
ホームには次に電車到着までの時間が表示され、便利です。
サイネージ画面には政府の広報CMが流されていました。
南京の地下鉄は私が訪れた段階で7路線が開業していて、総延長は中華圏で4位、世界でも11位の規模だといいます。そして5路線が建設中で、2020年代前半にかけて次々に開業する予定です。
(※2018年段階では、10路線が開業しているようです)
まだ新しかったので、車両はとても綺麗でした。
ドア上には駅名が表示された電光表示板があり、今電車がどこを走っているのか一目でわかります。
外国人旅行者にはありがたいシムテムです。
列車内でのマナーを呼びかける注意書きも、すべての車両に掲示されていました。
マナーということで一番印象に残ったのは、車内でみんな大声で電話をかけることです。
これはどうやらルール違反ではないようです。もちろん友人同士の会話も賑やかでした。
だから、日本と比べれば、南京の地下鉄はものすごくうるさいです。
スローガン
もう一つ印象的だったのは、駅に貼られたポスターです。
もちろん上のような美しい女性を起用した普通のコマーシャルポスターもあるのですが、圧倒的に多く目にするのは、下のようなポスターです。
富強、民主、文明、和諧、自由、平等、公正、法治、愛国、敬業、誠信、友善。
その上には「社会主義 核心价直視」と書かれています。
これはズバリ、当局による啓蒙ポスターです。
このレトロなポスターも政府のスローガン。
町中あちらこちらに貼られていました。
地下鉄の乗り換え時、こんな掲示も目にしました。
「南京市民楷模」
つまり南京の模範市民が顔写真付きで張り出されています。
習近平政権が推し進めている綱紀粛正。
官僚たちの腐敗を摘発し、庶民からの告発も奨励しています。
しかし、こうした当局の掲示板を真剣に見ている人はいませんでした。これが今の中国の姿なのでしょう。
南京の観光地ランキング
さて、南京に行って何をすればいいのか?
イメージがわかないという方も多いでしょう。
3泊4日で市内を駆け回った私の体験から、オススメのスポットをランキングしてみました。
1.明孝陵
モンゴル人の帝国「元」を滅ぼして、漢民族の王朝を開いた「明」の初代皇帝が眠る巨大なお墓です。南京唯一の世界遺産で、とにかく広大。そのスケールの大きさに中国を実感できます。しかも、比較的人が少ないです。
象や獅子などの神獣の石像が並ぶ「石象路神道」も有名で、そのゆるキャラ的な姿に癒されてください。
関連記事:「<世界遺産>南京での私の一押し!「明孝陵」で、ゆるキャラ的神獣に癒される」
2.中華門
南京の歴史は戦いの歴史。南京防衛のため街を取り囲むように築かれた全周34kmの巨大な城壁の一部で残っています。夜はライトアップされ、赤い提灯が異国情緒を感じさせます。
城壁の上では、古代の兵器を見ることもできます。涼しくなる夕方がオススメです。
関連記事:「<穴場>人の多さに疲れたら夕暮れの中華門へ!古代の武器と漢詩の世界に浸る」
3.新街口
新街口は、地下鉄1号線と2号線が交わる南京一の繁華街。林立する超高層ビルを丸ごとキャンパスに見立てた巨大デジタルアートは圧巻です。日本では規制で許されない最先端の世界を、中国では実際に見ることができる。
世界的なブランドショップから昔ながらの飲食街まで、中国の過去と未来が混在する面白い街。ぜひ夜に訪ねてください。
関連記事:「<街歩き>新街口から夫子廟へ・・・美味しい中華料理を求め夜の南京を歩く」
4.南京大虐殺記念館
中国側が30万人が犠牲になったと主張する南京事件を展示した資料館で、正式には「侵華日軍南京大虐殺遭難同胞紀念館」といいます。展示には日本語の説明が付いているので、日本人にもよく理解できます。日本人には気が重い施設ですが、南京を訪れるならぜひ見てきていただきたいと思います。
日本側の研究とはかなり解釈が違いますので、事前に勉強してから見学することをオススメします。
関連記事:「<歴史>過去を知り、未来に目を向ける!南京大虐殺記念館と南京の日本」
5.南京博物院
中国三大博物館の一つで、中国4000年の歴史を一気に体感することができます。日本語の説明がないのが残念ですが、古代中国の工芸品の質の高さには驚かされます。
日本文化も様々な時代の中国の影響を受けており、日本と比較しながら見ていくのも面白いと思います。すごい施設ですが、入場無料です。
関連記事:「<歴史>中国三大博物館の一つ「南京博物院」で中国四千年の歴史を体感する」
6.中山陵
辛亥革命で中華民国を建国した孫文は、台湾だけでなく中国でも国父と呼ばれ尊敬されています。その孫文のお墓が南京郊外にある「中山陵」です。ここに行くと、笑っちゃうぐらい多くの人が見られます。
7.総統府
でも孫文に興味があれば、市内にある「総統府」の方がオススメです。
孫文が中華民国臨時大統領に就任した場所で、当時の居室なども残っています。日本とも深い縁があった孫文のことを勉強するにはいい機会かもしれません。
関連記事:「<歴史>南京の「中山陵」と「総統府」を巡り、中国の国父・孫文を知る」
南京駅もオススメ
実際に南京を旅行していて、日本人だからといって不快な思いをしたことは一度もありませんでした。基本的に、外国人にはあまり関心がないようです。
ただ南京を歩き回っていて、人のあまりの多さに疲れるかもしれません。
そんな時にオススメの場所をご紹介します。
湖の対岸に高層ビル群を望むまるでシカゴのような光景。
こんな素敵なスポットが、南京にあります。
それは意外なことに、長距離列車が発着する南京駅。
その南口広場をまっすぐ進むと、程なく玄武湖という大きな湖に出ます。
湖畔は板張りのデッキになっていて、市民たちがのんびり座って夕日が沈むのを眺めていました。
街中に比べて人の数がグッと少なく、ゆっくり静かな時間を過ごすことができます。
望遠レンズで撮影した超高層ビル。
南京で一番高い「紫峰大厦(南京グリーンランド金融センター)」です。
地上89階、高さは450mあるそうです。
まもなく夕日が沈みます。
中国らしい「悠久の時」が流れる、はずでした。
ところが・・・
突然、一人の男が爆音とともにラジコン飛行機を飛ばし始めたのです。
飛行機は急上昇、急旋回、宙返りを繰り返します。見事な操縦ぶりで、彼の周りにはあっという間に人垣ができました。
せっかく静かな時間を楽しんでいたのに・・・やはり、中国人の欠点はうるさいことです。
ついでに南京駅からタクシーを拾って、近くを流れる揚子江も見に行きたかったのですが、残念ながらうまく行きませんでした。
タクシーの運転手にGoogle翻訳アプリを示し、揚子江に行きたいと告げると、「ダメだ。降りろ」といった風に首を降ります。理由はよくわかりませんが、意思の疎通ができなかったことは確かなようです。
私はまだ揚子江を見たことがないので、今後のテーマとして残った形です。
空港の四書五経
最終日、タクシーで空港に向かいました。
4車線の高速道路を不必要にぶっとばす運転手。以前、蘇州で乗ったタクシーも怖かったが、南京のタクシーも死ぬかと思いました。
空港のチェックインカウンターは長蛇の列でした。
しかし、タクシーが爆走してくれたおかげで、時間には余裕がありました。
空港の免税店は朝7時にオープン。
お土産屋をのぞくと、「四書五経」の本も売られていました。
このあたりも、さすが中国です。
そして、帰国便の機内食は饅頭。さすが中国です。
中国は面白い
南京から帰国して、「やはり日本の方がいいな」と正直思いました。
中国で生きるのはものすごくエネルギーが必要です。
ただ、最近日本で聞く中国関連の情報は、先入観で歪められているものが不必要に多い気がして仕方ありません。
急に超大国にのし上がった中国に恐怖を抱く気持ちも理解できるし、中国の体制や中国人の態度が信頼できないという気持ちもよくわかります。
でも、日本人はどこまで中国のことを知っているのでしょうか?
少なくとも私はほとんど知りませんでした。これまでも何度か中国に行ったことはあります。しかし、今回も数日旅しただけで知らない中国を次々に発見できます。ちょっと旅した程度ではとても理解できないほど大きな国なのです。
しかし、日本人は地政学的に、巨大国家・中国を隣人として生きていくことを運命付けられているのです。好き嫌いを超越して、もっとフラットに中国を知る必要がある。少なくとも私は、そう考えています。
そして、「やはり中国は面白い」、私はそう思うのです。