<ご当地グルメ>香川・高松「うどん 一福」の「かけ」&「ぶっかけ」

今月は農作業も暇なので、「香川にうどんでも食べに行かない?」と妻に尋ねた。

すると、小麦を使った料理を食べたがらない妻が珍しく「いいよ」と言う。

ではではと、早速お店探しをしてみると、さすが「うどん県」を標榜する讃岐うどんの本場だけあって高評価のうどん屋がこれでもかというぐらいにヒットする。

さて、どこに行こうかな?

こういう時は直感に頼るしかないだろう。

山陽自動車道から瀬戸大橋へ。

軽自動車のハスラーを購入してから今回が一番の遠出である。

「瀬戸大橋って渡ったことあったっけ?」

瀬戸内海にかかる巨大橋を渡りながら車内でそんな会話をした。

二人ともはっきりとした記憶がないので、おそらく今回初めて瀬戸大橋を渡っているのだと思う。

1988年に開通した瀬戸大橋は今年でもう35周年を迎えた。

開通した年に夜のニュース番組のディレクターをしていた私は、瀬戸大橋が見える丘の上から中継を行ったことがあるが、肉眼では綺麗に見える橋がカメラを通すと驚くほど光量が足りず苦労した記憶がある。

しかしあの時も瀬戸大橋は眺めただけで渡らなかった。

おそらく初めて渡る瀬戸大橋からの眺めは素晴らしかった。

やはり私は瀬戸内海が好きである。

ただ残念ながら橋の途中で車を止めることはできず、歩行者や自転車がこの橋を渡ることもできない。

せっかくの多島美を車窓から眺めるしかないというのは勿体無い話である。

こうして久しぶりにやってきた四国。

妻も妙にウキウキしているように見える。

高速を降りると国道沿いにたくさんのうどん屋がひしめいている。

そして私が直感で選んだお店も、瀬戸大橋の玄関口である坂出から高松に向かう途中、道路沿いに無造作に立っていた。

「うどん一福 国分寺本店」。

高松市の郊外、国分寺町にある人気のうどん店だそうだが、開業は2007年とそれほどの老舗というわけではない。

私がこの店を選んだのは、「奇跡の出汁」というカキコミが目に止まったからだ。

うどんはもちろん腰や喉ごしも大事だが、個人的にはやはり出汁が重要だ。

果たしてどんなうどんが待っているのだろう?

讃岐うどんの名店には行列がつきものと聞くが、私たちが着いたのは午前11時ごろ、予想に反して店内は空いていた。

平日の11時すぎだとこんなものか。

中央の大きなテーブル席を中心に小上がりも含めて40以上の席があるので、混雑しないだけなんだろうか?

とにかくすんなり店に入れたのはありがたい。

お店は讃岐うどんではポピュラーなセルフスタイル。

天ぷらやおでん、おにぎりなどがカウンターにずらりと並んでいて、客は好きなものをお盆に取ったうえでメインのうどんを注文する。

私は、ラップに包まれた「海老赤天」(130円)が気になって食べてみることにした。

合わせて店の一番人気だという大きな「とり天」(180円)も。

うどんは、ベーシックな「かけ」が1玉300円。

常連客はこれを「暖かいかけの小」という具合に注文する。

2玉の「大」が400円、3玉の「特大」は500円で、冷たい「かけ」もある。

香川でポピュラーな「ぶっかけ」は小が380円から、そのほか「醤油」「ざる」「釜揚げ」「釜玉」など讃岐うどんではお馴染みのメニューが揃っている。

私は、温かい「かけ」の小と冷たい「ぶっかけ」の小を選ぶ。

薬味はネギ、天かす、大根おろし、生姜が用意されていて、無料でトッピングして自分の好みのうどんを作る。

でも今日は「奇跡の出汁」を味わうのが目的なので、トッピングは控えめにして本場のうどんと出汁を楽しもう。

まずは温かい「かけ」からいただく。

ネギと天かすと生姜を少々トッピングしたが、まずはあまり混ぜずにうどんと出汁を味わう。

この店のうどんは讃岐うどんの中では細い部類に入るというが、ツルッとした食感の後適度な歯応えがあり、しっかりとした腰がある。

出汁も一切奇を衒わず、スッキリしていて上品な美味しさだ。

続いて、冷たい「ぶっかけ」を食べる。

レモンを搾ってうどんを啜ると濃口のタレの旨さが口中に広がった。

これも美味い。

どちらも正統派、うどんと出汁の美味さだけで勝負するシンプルな讃岐うどんである。

この店を選んで正解だったと確信する。

一方、天ぷらの方はというと、正直うどんほどの美味さは感じなかった。

名前に釣られて選んだ「海老赤天」は見た目ほどには特徴のない練り物であり、「とり天」もサイズは大きいのだが特段秀でた美味しさがあるわけではない。

高校時代、金がなかった私はよく大衆食堂で「うどん」を食っていたのだが、私の定番は何も具のない「素うどん」だった。

あれから50年経った今でも、私は「素うどん」が好きだということを改めて自覚した。

讃岐うどんというと、製麺所の直営だったり、客が自分でうどんを茹でる完全セルフスタイルの店も多いと聞く。

それに比べると「一福」は普通の大衆食堂といった家庭的な雰囲気で、とても居心地がいい。

とは言ってもうどんなので、あっという間に平らげてしまった。

でも、本当に美味しかったなあ。

わざわざ瀬戸大橋を渡って香川まで来た甲斐があったというものだ。

往復の高速代だけで1万円以上かかってしまったが、妻も大満足で、私も満腹、幸せなうどん旅であった。

また別の店にも行ってみたいと思っている。

食べログ評価3.95、私の評価は4.50。

「うどん一福 国分寺本店」
電話:087-874-5088(予約不可)
営業時間:[平日]10:00~14:00
               [土・日・祝]10:00~15:00
定休日:金曜
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うどん丸香

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