今日1月20日は、二十四節気の「大寒」。
暦の上では、一年で一番寒い季節ということになる。

そして、最初の5日間は七十二候の「款冬華」に当たる。
我が家のトイレのカレンダーでは、「款冬華」に「かんとうはなさく」というルビがふられていたが、一般的には「ふきのはなさく」と読むみたいだ。
要するに、「フキノトウが出始める頃」ということらしい。

そんな「大寒」で「款冬華」の朝、井の頭公園に写真を撮りに行った。
今日は暦通りの寒い日で、多摩地方の最低気温は氷点下、昼間に最高気温も一桁台という予報で、実際冷たい風が公園を吹き抜けていく。

井の頭池の一角にある水草が茂ったあたりを見ると、浅瀬に氷が張っているのがわかる。
でも、「大寒」とは「極寒に見舞われるが、春の兆しあり」とカレンダーに書かれていたように、公園内では密かに春への歩みが始まっていた。

梅の花を見つけた。
井の頭公園の西側に小さな梅園があり、ほとんどの木はまだ蕾も硬いままだが、数本だけ早々と花を咲かせているものがある。

白梅だけでなく、紅梅も。
紅白並んで咲いているのを見ると、ちょっとめでたい気分になるのはやはり日本人だからだろうか?

蝋梅(ロウバイ)も咲いていた。
蝋梅は中国原産だが、まさに晩冬のこの季節の植物で、小寒から立春の季語とされている。

水仙もこの季節の花。
白と黄色の花は「ニホンズイセン」という品種で、地中海原産だが古い時代に日本に帰化して野生化したのだという。
もちろん井の頭公園の水仙は、人が植えたものだろうが・・・。

この時期に赤い実をつける植物もある。
これは「万両」か「千両」か、それとも「南天」か?
葉っぱの形や実のつき方から判断すると「万両」だと思う。

コーヒー豆のような少し大きな赤い実も見つけた。
ネットで調べると、「アオキ」という常緑の低木のようだ。
実がなるのはメスの木のみで、オスの木は「バカ」と呼ばれるらしい。
オスの「アオキ 」はバカ、ちょっと可哀想な気がする。

この季節、植物だけではなく、越冬のために井の頭池に渡ってくる「冬鳥」たちの姿を楽しむこともできる。
公園内に置いてある「秋冬の水鳥」というチラシをもらってきたのでそれを参考にすると、上の写真の黒っぽい鳥は「キンクロハジロ」のオスのようだ。
シベリアなどユーラシア大陸北部で繁殖し、冬になると越冬のために日本列島にやってくる。

こちらも黒いが、「オオバン」という鳥のようだ。
夏場は大陸や北海道などで繁殖し、冬になると本州以南に飛んでくる。

こちらは「ホシハジロ」のおそらくオス。
この鳥もシベリアなどで繁殖して冬に井の頭公園にやってくる鳥だという。

よくわからなかったのが、こちら。
「カルガモ」ならば「留鳥」と呼ばれ一年中井の頭公園に生息している鳥だが、「オナガガモ」や「マガモ」「ハシビロガモ」のメスにも似ている気がする。
もしこれらの鳥ならば、こいつも海を渡ってやってきたということになるようだ。

今日私の関心を一番引いた植物は、小鳥たちが遊んでいるこの樹木だった。
「コブシ(辛夷)」だ。

井の頭池の周辺に点々と植えられていて、中にはかなり大きく育って、池に向かって長い枝を伸ばしているものもある。

この季節、枝の先端に綿毛に覆われた蕾を付ける。
逆光で撮影すると、表面の綿毛が白く輝いてなかなか可愛らしい。
早春にはこの蕾から、白い大きな花を咲かせるのだ。

本当は、「款冬華」に合わせてフキノトウを探したかったのだが、水辺を眺めてみてもそれらしいものは見つからなかった。
それでも、地下水の排出口あたりには瑞々しい草が茂っていて、朝日を浴びてキラキラ輝いていた。

この冬、日本海側は大雪が続き、高速道路で大規模な玉突き事故も起きたようだが、東京は快晴の日が多くてありがたい。
太陽が昇れば、真冬でも命の息吹を至る所で感じることができる。
あまりにコロナ待機が長期化しているので、さすがに体がなまって気力が失われていくように感じるが、そんな時にはこうして公園を散歩しながら季節の移ろいを感じたり、植物の名前を覚えたりしているだけで自然から元気をもらえるように感じる。

今年1年で、井の頭公園の植物の名前をどれだけ覚えることができるのか?
記憶力は衰えたが、時間だけはたっぷりある。
まあ、気長に努力を続けよう。
6件のコメント 追加