<きちたび>京都の旅2024🇯🇵 これからの住まいを考えて衝動的に嵯峨嵐山の中古マンションを見に行った

🇯🇵 京都府/京都市 2024年12月8日~9日

それは突然の思いつきだった。

毎月東京と岡山を往復する二拠点生活を始めてだいぶ経つが、私は今の暮らしに大いに満足している一方、妻にはかなり負担になっていたらしい。

飛行機が苦手な妻は片道3時間以上かけて新幹線で往復したいるのだけれど、いっそ吉祥寺のマンションを引き払って岡山に定住する方がいいかもと口にするようになった。

岡山で土と触れ合って過ごす日々の方が、子供や孫が暮らす都会での生活よりも魅力的になりつつあるようなのだ。

ただ、岡山の田舎暮らしにどっぷり浸かってしまうと嫌な面も見えてきてしまうだろうから、宙ぶらりんな二拠点生活の魅力も捨てがたい。

そこで二人の間で出てきた折衷案が、東京から京都に引っ越して京都と岡山の二拠点生活をするというアイデアである。

京都からなら岡山まで新幹線でわずか1時間、移動の負担はずっと軽くなるし、一生に一度くらい京都暮らしを経験するのも悪くないと思った。

そこで私はすぐにネットで京都の不動産について調べ始めた。

京都の中心部はさすがに高いが、郊外であれば東京に比べるとリーズナブルな価格でマンションが買えることがわかった。

今のマンションと同じくらいの広さは欲しい、地震のことも心配なので住み替えるなら築年数の浅い物件にしたい、そしてせっかく京都に住むならやはり京都らしい風情のあるエリアがいい。

そんな条件に合う物件は案外少ないものだ。

そしてJRの嵯峨嵐山駅近くに1軒のマンションを見つけた。

翌朝妻に話すと、予想以上にいつも慎重な妻が乗ってきた。

マジで引越しを考えていたんだと、その時妻の反応を見て気づかされた。

「じゃあ、これから京都に行ってこのマンション見てみる?」

軽い気持ちでそう尋ねると、「行く!」と妻は即答した。

そこからバタバタと荷物をまとめ、タクシーを呼んで、最寄駅から電車に乗って岡山駅へ。

そして岡山から京都に行く一番早い新幹線に飛び乗ったのは午前11時半過ぎのことだった。

私はこういう衝動的な旅は大好きだが、たいてい妻が待ったをかけるのが我が家のパターン。

そういう意味では、なかなか新鮮な旅立ちだったよう

京都駅に到着すると、休む間もなく山陰本線(嵯峨野線)の快速電車に乗り継ぐ。

嵐山には何度か行ったことがあるが、京都駅から直接JRで行ったことはなく、何事も初めての体験はワクワクする。

運良く快速電車に乗れれば、京都から嵯峨嵐山までは3駅およそ10分余り。

これなら岡山に行くのにとても便利だ。

こうして嵯峨嵐山駅に降り立ったのは午後1時半前。

朝、妻にマンションの話をしてからまだ5時間ほどしか経っていない。

吉祥寺のマンションを購入した時も衝動的だったことを思い出しながら、これはひょっとすると人生の転機になるかもと思いながら地図を見ながらマンションを探した。

ネットで見つけたマンションはすぐに見つかった。

駅から歩いてわずか3分、とても便利な立地だ。

「ライオンズ嵯峨天龍寺若宮西の邸」

築7年の高級感のあるマンション、これで82平米4LDKの家賃が16万5000円は悪くないかもと思った。

賃貸で借りて荷物を移し、吉祥寺のマンションを売りに出す。

実際京都暮らしが性に合えば、京都でマンションを購入することを検討してもいいし、妻が言うように岡山に移住することも考えられる。

東京に子供や孫たちはいるが、大切なのは私と妻が健康で充実した隠居生活を過ごせることである。

とりあえず昼メシでも食べながら検討しようということになり、お店を探して近所をぶらぶらする。

さすが人気観光地の嵐山、とにかくやたらに外国人観光客が目につく。

ネットで評判の店はどこも行列なので、待たずに入れそうな喫茶店に入った。

「カフェ・ド・ロゼ」

私たちが入店した時には席に余裕があったけれど、その後次々に客が来て満席になった。

客の大半が外国人である。

特段期待もしていなかったが、この店のハヤシライスはめちゃ美味しかった。

とりあえず、マンションの内覧ができるようなら見てみたいと妻が言うので、仲介の不動産屋に電話して午後3時から部屋を見せてもらうことになった。

こうしてとんとん拍子に事が進むと、いつの間にか私の心に京都暮らしのイメージが膨らみ、ものすごく京都に住んでみたいという気持ちが強くなってくる。

私は昔からそういう人間なのである。

喫茶店を出て再びマンションに向かう。

私たちが嵐山に着いた頃から弱い雨が降り出した。

建物は5階建、巨大マンションが嫌いな妻にはちょうど良い規模感である。

部屋は4階の角部屋。

西向きの窓からは嵐山の紅葉した山が見える。

小さな部屋が4つもある間取りは私たちの好みではないが、賃貸物件なので理想通りというわけにはいかない。

部屋を見て回っていると、北の空に虹がかかっているのが見えた。

やっぱりこれが運命、京都に引っ越すことになるのかなと感じた。

吉祥寺に比べるとお店も少なく生活は不便になるだろう。

かかりつけの医者も一から探さなければならない。

ゴルフ会員権は少し値上がりしているので、このあたりで売却するのも悪くないかもしれない。

いろいろなことが頭の中を駆け巡る。

やはり引越しは人生にとって重大な決断である。

せっかくなので、もう1軒賃貸に出ている物件も見せてもらう。

最上階の5階で西向き、3LDKのオーソドックスな間取りだが、西の窓からの眺めは先ほどの物件より優れていて、この部屋も悪くないと思う。

昔から私は、不動産のいいところばかり見て前のめりになる悪い癖があるのだ。

その点妻は冷静で、午前中の日当たりが気になると言い出して、翌日改めて午前中に部屋を見せてもらうことになった。

翌朝ホテルを出て、路線バスに乗って嵐山にやってきた。

不動産屋との待ち合わせ時間までは少し時間があったので、渡月橋界隈をぶらぶら散歩する。

この日はいい天気に恵まれ、もみじが真っ赤に燃えていた。

通常、嵐山の紅葉は11月下旬だと思っていたが、今年は全国的に葉の色づきが遅れている関係で12月になってもまだ美しい紅葉が楽しめる。

マンションから渡月橋まではぶらぶら歩いて10分ほどだろうか。

世界中の観光客がやってくる人気スポットに暮らすというのは少し贅沢な気分だけれど、前日に比べてもうワクワク感は薄れてきている。

いかんせん、ちょっと人が多すぎて歩道が歩きにくい。

嵯峨野の竹林も観光客でごった返し、まともに歩くこともままならない。

徐々にここで暮らす気持ちが失せていくのを感じた。

結局、このマンションを借りて京都に住むというプランは白紙になった。

旅行するのと生活するのではやはり求めるものが違ってくる。

吉祥寺のマンションは古いけれど、やはり最高に暮らしやすいのだ。

京都に住むという思いつきは実現しなかったが、吉祥寺のマンションをリフォームする案も凍結して、しばらくじっくり考えることになった。

二人にとって望ましい暮らしとは何か?

特に妻にとっては、体の調子を整えるうえでもとても重要なことだ。

京都に暮らす夢が完全に潰えたわけではない。

また気になる物件が見つかったら、観光を兼ねて京都に来よう。

子育ても終え、仕事も辞め、もはや縛られるものはない。

どこでどんな暮らしをするのか、その決定権は私たちの手の中にあるのだから。

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