<きちたび>マレーシアの旅2025🇲🇾 東南アジアの旅には欠かせない「世界最高のLCC」エアアジアと配車アプリ「Grab」、そして駅直結「Hotel Aloft」のお話

🇲🇾 マレーシア/クアラルンプール&コタバル 2025年2月14日~16日

ANAのマイレージ会員である私は海外旅行をする際に同じ「スターアライアンス」に加盟する航空会社を利用することが多い。

東南アジアで言えば、シンガポール航空やタイ航空などがこのアライアンスだ。

しかし今回の東南アジア旅行の計画を立てる際、ものすごい格安の航空券があることを知った。

たとえばシンガポールとクアラルンプール間で調べてみると、なんと1万円で往復できる激安フライトもあるではないか。

その航空会社はマレーシアのLCC(格安航空会社)「エアアジア」。

他にもシンガポールの「スクート」や「ジェットスター・アジア」、マレーシアの「バティックエア」など激安フライトが目白押しで、私が知らない間に東南アジアはLCC戦国時代に突入していることを知った。

果たしてこんな激安で大丈夫なのかと心配になり、スケジュール的に一番使いやすかったシンガポール航空で最終的に予約をしたが、料金は4万円台とエアアジアの4倍だった。

だが結局、今回私はこのエアアジア機に搭乗することになった。

2月15日、日帰りでクアラルンプールとマレーシア北東部のコタバルを往復することにしたため、その路線を飛ぶ唯一の航空会社がエアアジアだったのだ。

私がいつも予約に使うエクスペディアではその路線の設定がなく、仕方なくエアアジアのアプリをダウンロードして直接予約をしてみた。

するととてもスムーズで、予約方法も至ってわかりやすく迷うことなく往復チケットを予約することができた。

国内線とはいえ、往復で1万336円、お手頃価格だ。

このアプリの使いやすさで少し印象を良くしたため、翌16日のクアラルンプール発ブルネイの首都バンダル・スリ・ブガワン行きもエアアジアを利用することにした。

こちらは国際線だけれど、往復で1万6008円、圧倒的に安い。

ただ、問題がひとつ。

それはどちらも朝早いフライトを予約したため、クアラルンプール空港までのアクセスが課題として浮上した。

クアラルンプール空港は市内から南に40〜50キロ離れていて、東京で言うと成田空港ぐらいの距離にある。

だからタクシーだとかなりの料金となり、旅行者にとって一番便利なのは空港直通の高速鉄道「KLIAエクスプレス」だが、その始発時刻が午前5時なのだ。

コタバル行きは午前8時15分発なので問題ないが、ブルネイ行きの出発は午前6時30分、高速鉄道の始発に乗ってもかなり厳しい。

空港の近くにホテルを取ることも検討したものの、せっかくのクアラルンプール、街歩きもしたいと思い、最終的に「KLIAエクスプレス」が発着するターミナル駅「KLセントラル」直結のホテルを2泊予約することにした。

14日の正午、クアラルンプールで1泊目に泊まった中華街のホテルをチェックアウトし、「KLセントラル」駅近くのホテルに移る。

まずは中華街にあるセントラルマーケットで簡単なランチ。

それまで少しヘビーなエスニックフードが続いていたため、この日はお腹の調子を整えようと、おしゃれなスーパーマーケット「PASAR BESAR」で果物を物色する。

カットされたパイナップルを購入。

ちょうど手頃なサイズで値段も6リンギット(約200円)と手頃だ。

これでお昼を済ませようとレジで精算してスーパーを出ると、そこにあったジュースショップに声をかけられた。

「マンゴジュース美味しいよ」

その店にはテーブルもあって、ちょうどいいのでジュースを買ってそこでパイナップルを食べようと思ったら、なんとジュースは14.90リンギット(約500円)とパイナップルよりずっと高かった。

最寄りの駅から高架鉄道LRTに乗って多くの路線が集中する「KLセントラル」駅に移動する。

中華街からはわずか1駅、わずかな距離だが、歩くとそれなりの距離があり汗が噴き出るし、タクシーに乗れば激しい交通渋滞でものすごく時間がかかる。

やはり電車があるところでは、それを利用するのが一番賢い移動方法のようだ。

到着した「KLセントラル」駅は、日本のJRのターミナル駅に似ていた。

中心に広い通路があって、そこにいろいろな鉄道の改札が設けられている。

案内板には日本語の表記もあってわかりやすいのだが、肝心の路線図が頭に入っていないと案内板があっても案外混乱するものだということに気づく。

しかも少し厄介なのは、空港行きの直通電車は2種類あり、こちらの「KLIA Transit」は途中いくつかの駅に停車して空港に行く電車。

そしてこちらの「KLIA ekspres」は途中ノンストップで空港に直行する電車。

空港では同じホームを利用しているのに、「KLセントラル」駅では別々の改札になっている。

始発の時間を確認すると「KLIA ekspres」の方が少しだけ早いみたいなので、迷わずノンストップの電車を利用することにして、まずはホテルに荷物を置きに行こうと思った。

Googleマップを頼りにホテルの方向に歩いていくと、駅ビルなのだろうか、大きなショッピングセンターの中に迷い込んでしまった。

そして自分が今、何階にいるのかもわからない。

とりあえず外に出よう。

そう思ってエスカレーターで上がったり下ったりするものの、出口が見つからない。

これは困った、まるで迷路だ。

結局20分ほどショッピングセンターの中で右往左往した挙句、ようやく外に出ると、ホテルはすぐ近くにあった。

「アロフト・クアラルンプールセントラル」

これが今回私が予約したホテルで、マリオットホテルの系列ホテルだそうだ。

私がフロントに着いたのは午後1時半ごろだったけれど、部屋はすでに用意できていてそのままチェックインができた。

キングサイズのベッドが置かれた広々とした部屋。

アート・音楽・テクノロジーがコンセプトのホテルだそうで、インテリアもなかなかモダンだ。

窓際には革張りのソファーと大きめのデスク。

窓からは、真新しいビジネスビルとインド街の薄汚い雑居ビルが同居して見えた。

バスルームもゆったりしていて、シャワールームとトイレが1枚のガラス扉で使い分けるようになっている。

そしてクローゼットや金庫がバスルーム内に設置されているのも、このホテルの特徴だろう。

洗面台が広めなのはありがたく、早速溜まっていた洗濯物を手洗いする。

ホテルの最上階には眺めのいいプールがあった。

このホテルを選んだ最大の理由は駅直結ということだったが、このプールの存在も私の決断を後押しした。

夜遅くまで利用できるため、昼間歩き回って汗をかいても、夜このプールで体温を下げてから寝られると考えたのだ。

プールからは、マレーシアの一大ターミナル駅「KLセントラル」が見下ろせた。

駅の周辺には高級ホテルやビジネスビルが建ち並び、その背後には熱帯の植物に覆われた広々とした緑地が見える。

さらにぐるりと周囲を見渡すと、あちらこちらに超高層ビル。

東南アジアの経済発展をこのプールから感じることができる。

私のほかにお客さんがいなかったため、厚手の洗濯物をプールサイドで乾かしついでに、この日はゆっくりプールでくつろぐことにした。

やはり暑い国での旅行にはプールが欠かせない。

火照った体がクールダウンしていくのを感じる。

午後3時を回ると、チェックインした客たちが次々にプールの様子を見に来て、賑やかな子供たちがプールで大声で遊び始めたため、私は場所を譲ることにした。

夕方になって、駅への動線を再確認するためホテルを出た。

先ほど迷ったショッピングセンターに通じる通路がホテルの2階にあることを発見。

しかし、このショッピングモールを通らなくても、1階のホテル出口を出ると道を渡った反対側に「KLIAエクスプレス」の乗り場があることを知り、まずはひと安心。

これで翌朝、迷わずに電車に乗ることができる。

その日の夜は、ショッピングモール内で軽くごはんを済ませることに。

選んだお店はこちらのフライドチキンのお店だ。

「4 FINGERS CRISPY CHICKEN」

アジア風フライドチキンを専門とするシンガポールのチェーン店だそうで、クアラルンプールでもそれなりに人気がありそうだ。

メニューを見ると、「RICE BOX」というのがあり、ご飯とフライドチキンの組み合わせに興味を持ち「DRUMSTICKS」のコンボを注文してみた。

値段は21.90リンギット(約740円)ほどだ。

しかし・・・出てきたのはこちら。

メニューの写真とずいぶん印象が違う。

「これは失敗した」と思ったけれど、食べてみるとこれが案外美味い。

甘辛いタレがご飯にも合い、チキンの裏に隠れたピリ辛キャベツが味を引き締めてくれる。

見た目は悪いが、予想した以上に美味しいクリスピーチキン、日本に出店したらぜひまた食べたいと思える一品だった。

翌朝、午前5時40分発の「KLIAエクスプレス」に乗車してクアラルンプール第2ターミナル駅に向かう。

この時間はまだ乗客も少なくて、ゆったり座って行くことができた。

第1ターミナルまでの所要時間は30分弱、第2ターミナルだとおよそ34分かかる。

驚いたことに、第2ターミナルはすでに大混雑だった。

出発便の案内板を見ると、なんと表示されているフライトのほぼ全てがエアアジアである。

そう、2014年に完成したクアラルンプール国際空港第2ターミナルはエアアジアのために作られたと言っても過言ではない。

経緯はこうだ。

旧LCCターミナルが手狭になったため、エアアジアは独自で市内に近い用地を確保し専用の空港を建設することを計画した。

運輸大臣まで合意を取り付けていたが、最後で首相がひっくり返し、その代わりに既存の空港に第2ターミナルを建設することで合意したのだ。

そのため、エアアジアの運航する航空機は国際線も国内線も全てこのターミナルを離発着する。

こちらは、国際線の出発ゲート。

そして、少し離れたこちらが国内線の出発ゲート、この日私が利用するゲートとなる。

つまり、エアアジアを利用している限り、クアラルンプールでの乗り換えがとても簡単だということだ。

初めて搭乗するエアアジア。

定時運行するのか多少不安はあったが、出発時刻の20分前に搭乗が始まった。

空港に着いた時にはまだ真っ暗だったが、さすがに朝8時が近づくと太陽が昇ってきた。

エアアジアでは、使用する機体はほぼすべてが「エアバスA320」に統一されているという。

整備を効率化してコストを下げるためだ。

座席が全部革張りなのも、掃除を簡単にするためだそうだ。

飛行機は定刻を少しだけ回ってから動き出した。

第2ターミナルに駐機しているのはエアアジアの赤い機体ばかり。

LCCと言って馬鹿にするなかれ。

エアアジアは、航空業界の格付け会社「スカイトラックス」社が選ぶ「ワールド・ベスト・ローコスト・エアライン」に15年連続で選ばれた、言ってみれば「世界最高のLCC」なのだ。

飛行機はクアラルンプール空港の混雑の影響で離陸が遅れ、コタバル到着も10分ほど遅れたが無事に到着。

飛行機を降りると、搭乗を待つ乗客がすでに列をなしているのに気づいた。

これこそが大手の航空会社との大きな違いでで、1機の飛行機をいかに効率よく回転させて利益を上げるかが格安料金を提供するLCCの腕の見せ所なのである。

その日の午後、取材を終えてコタバル空港からクアラルンプールに戻ろうとしていた時、1通のメールが届いた。

見るとエアアジアからで、「URGENT」と書かれているのでドキッとした。

内容を読むと遅延の連絡だった。

「運航上の理由」で1時間半ほど出発が遅れるというのである。

私の経験で言えば、フライトスケジュールを極限まで詰め込んでいるLCCの場合、朝の便は比較的時間通りだけれど、時間が遅くなればなるほど遅れや運休が出やすくなる。

人間相手の仕事では何事も予定通りに進まないことがある。

わずかな誤差が積み重なっても、夕方になると大きな遅れにつながるのだ。

仕方がないので、空港のカフェで時間を潰す。

ドーナッツとハニーティーを注文すると、こんな爆発したような飲み物が運ばれてきた。

思わず「これがハニーティー?」と聞くと、若い店員はしれっとして「そうだ」と答えた。

しかし、こんな異様な姿のドリンクを飲んでいる人は他にはおらず、きっと失敗したに違いない。

この店では注文の時から若いスタッフたちが右往左往していて、仕事に慣れていないのは一目瞭然だった。

変更された出発時刻は午後6時45分。

しかし、飛行機が到着したのは午後6時20分すぎだった。

果たして定刻に出発できるのか、「世界最高のLCC」を言われるエアアジアの実力を拝見することにした。

飛行機が到着する頃には慣れた乗客はすでに搭乗口に並んでいる。

座席の位置ごとに3つのグループに分け、それぞれ並ぶ場所が決められていた。

そして、到着便の最初の乗客が降りてきたかと思ったら、出発便に乗る第1グループの乗客が搭乗を始めた。

日本では全ての乗客が降りてから出発のお客様の搭乗を始めるのが当たり前なので、これだけでかなり時間の短縮になりそうだ。

午後6時34分、私も搭乗の列に加わる。

まだ降りてきている人もいて、搭乗通路で乗客が交差する。

それでも、飛行機に乗り込んだのは午後6時47分。

すでに出発時刻は過ぎていた。

行きもそうだったが、さすがに格安のLCC、帰りも空席はほとんどなくローカル線でも満席での運航である。

午後6時54分。

予定の時刻よりも10分ほど遅れて機体が動き始め、動く機内でキャビンアテンダントによる救命胴衣の説明などが行われる。

エアアジアの特徴は、キャビンアテンダントの年齢が若く、男性の比率が高いことだ。

そのため、動きがとてもキビキビしていて、きめ細かいサービスを求めるのでなければ心地いい。

こうして飛行機は午後6時58分、コタバル空港を離陸した。

機体が到着してから出発までおよそ40分。

この間に荷物の積み下ろしや整備、機内の清掃を終わらせるのだ。

クアラルンプール到着は予定時刻よりも15分遅れの午後8時5分。

当初のフライトスケジュールを考えると2時間近い遅れになってしまったので、もし乗り継ぎの予定があったら相当厳しいことになっただろう。

ただ私はこの日ホテルに帰って寝るだけだったため、特段困ることもなく、まあLCCならこんなもんだろうと思いながら再び高速鉄道でホテルに戻った。

この日のディナーはこちら。

「KLセントラル」駅のショッピングモールに入っている「ヤマサキパン」で買ったパイナップルパンとあんぱん。

そしてその近くにあったジュース屋さんの特製フルーツジュースである。

「BOOST」という名のこのジュース屋さん。

さまざまなフルーツやアイスクリーム、ヨーグルトなどをブレンドしたフレッシュジュースをその場で作ってくれる。

私が注文したのは「Passion Mango」で、ミディアムサイズが11.5リンギット(約390円)。

すると、女性スタッフが奥で素材を調合して、カウンターの上に置かれたミキサーでかき混ぜる。

生のマンゴとパッションフルーツに加え、マンゴネクター、アップルジュース、ヨーグルト、シャーベット、氷。

ただ、出来上がったものにそれほどの驚きはなく、ヤマサキのあんぱんの方が美味しく感じた。

問題はここからだった。

翌日ブルネイ行きの飛行機に乗るために、空港まで行く手段を考えなければならない。

出発時刻は午前6時30分。

午前5時の始発電車に乗っても第2ターミナルに到着するのは5時35分ぐらいで、それから出発手続きをして搭乗口に辿り着くのはスムーズに行ったとしてもギリギリだ。

エアアジアの場合、離陸時刻のかなり前から搭乗を始めるようなので、間に合わない可能性も結構高い。

いろいろ考えて、やはり車で空港まで行くのが安全だと考えた。

まず試みたのが、東南アジアでは圧倒的なシェアを持つ配車アプリの「Grab」。

日本を出発する前にアプリをダウンロードし、登録を済ませ、クレジットカードも登録したあるので、これで盤石のはずだった。

しかし、シンガポールでは問題なく使えたのに、マレーシアに入った途端うまく使えなくなってしまった。

最初マラッカで使おうとして「問題が発生しました」とのメッセージが表示されうまくマッチングができなかったのが始まりで、その後クアラルンプールでも何度かトライしたが同じメッセージが表示されるばかり。

コタバルでは、「Grab」が使えないために酷い目にあった。

コタバル市内での取材を終えて、早めに空港に向かおうと再び「Grab」にトライしてみたが、相変わらず「問題が発生しました」の文字。

あいにく田舎町のため、流しのタクシーも走っていない。

どうしようと困っていると、1台の赤いタクシーがモスクの前に止まっているのを見つけた。

どうやらお昼のお祈りの時間で、運転手はモスクの中にいるらしい。

「よし、ここで運転手が出てくるのを待とう」

そう思って、モスクの前で30分ほど待っていたが一向にお祈りの時間は終わらず運転手は出てこない。

ここで待っていても埒が開かないと思い、バッグの中にあった「地球の歩き方」に出ていたバスターミナルまで歩いていくことにする。

Googleマップには出ていないけれど、「地球の歩き方」には載っているバスターミナル。

果たしてこの情報は役に立つのかと疑いながらも、他の手段もなく、不正確な地図を頼りに汗だくになりながらそれらしき場所まで歩いて行ってみると、何台かタクシーが止まっているのが見えるではないか。

その場所はちゃんとした建物のあるバスターミナルではないけれど、バスが何台か止まっている大きなバス停のような場所で、バスで到着する客を目当てに客待ちをするタクシーがいたということらしい。

おかげで、無事にタクシーで空港に行くことができたが、「Grab」で表示される料金よりは当然かなり割増となる。

なぜシンガポールで使えた「Grab」がマレーシアでは使えなかったのか、いまだに理由はわからない。

しかし理由はどうあれ「Grab」が使えない以上、割高でもタクシーでクアラルンプール空港まで行くしかないと判断した。

ホテルのフロントに行ってタクシーを呼んで欲しいと依頼すると、驚いたことに「ホテルの専用車ならあるけれどタクシーは呼べないのでGrabを使ってください」と言われてしまった。

ホテルでタクシーを頼むのは当たり前だと思っていたが、配車アプリの普及によってその常識はもはや過去のものとなったらしい。

「Grabがトラブってるから頼んでいる」と伝えると「inDrive」という別の配車アプリを紹介され、それを登録しようとしたら、今度は認証の段階で日本の携帯電話が使えず登録ができなかった。

「どうすればいい?」と聞いてもフロントは「I’m sorry」と謝るばかり。

もはや自力でタクシーを捕まえるしかないと考え始める。

「このあたりでタクシーを捕まえられる場所は?」とフロントに聞くと、駅の反対側にタクシー乗り場があると教えてくれた。

駅に行き、通路を反対側に歩いていくと確かに「タクシー」と書かれた案内が出ていた。

問題は午前4時ごろに、タクシーがいるかどうかということだ。

タクシー乗り場には何台かタクシーが止まっていたので、「朝4時にここにタクシーはいる?」と聞いてみた。

すると「朝4時?」と運転手たちは顔を見合わせるばかり。

どうやらそんな時間には普通タクシーはいないらしい。

しかし、私が困っている様子を見て、一人の運転手が「俺が乗せてやる」と言ってくれ「どこに泊まっているんだ」と聞いた。

私は駅の反対側の「アロフト」だと伝えると、「OK」と言って「まずは窓口で代金を払え」と言った。

運転手が教えてくれた通り、駅構内に「TAXI COUNTER」という窓口があって、そこにいた男に経緯を説明すると現金で150リンギットだと言われた。

現金の持ち合わせがなかったので、近くのATMで現金をおろし150リンギット(約5000円)を窓口で支払った。

直通電車に比べるとおよそ3倍の値段だが、ホテルの専用車と比べれば半額である。

私は運転手と電話番号を交換し、何度も4時だと念押ししてからホテルへと戻った。

翌朝、運転手は約束通り4時前に姿を現した。

これでひとまず安心だ。

タクシーはガラガラの高速道路を南に走るが、途中から下道になり、案外空港周辺は混雑していた。

この時間はみんな自動車で空港までやってくるのだろう。

空港に到着したのは午前4時35分。

高速道路をぶっ飛ばしても45分もかかった。

やっぱり成田空港と同じぐらいの距離、タクシーで5000円は決してぼったくりではないと思った。

第2ターミナルはこの日も早朝から混雑していた。

ちなみに2017年、北朝鮮の金正男氏がVXガスを使って暗殺されたのは、ここクアラルンプール空港第2ターミナルの出発ロビーだった。

金正男氏は、ここでベトナムとインドネシアの女の子から顔にクリームのようなものを塗られ、警察に被害を訴えている間に意識を失い亡くなった。

犯行を指示した北朝鮮の男たち4人は、その直後にここから出国している。

出国手続きは至ってスムーズで、4時50分にはラウンジで朝食を食べることができた。

結果的には高速鉄道の始発でもなんとか間に合ったかもしれないけれど、万一乗り遅れたら楽しみにしていたブルネイ旅行が無駄になるので、今回はタクシーを選んで正解だったと思った。

ブルネイ行きのエアアジア機は出発予定時刻よりも40分も早い午前5時50分前には搭乗が始まった。

もしも高速鉄道ならば今頃出発ロビーにたどり着いて、これから出国手続きといった頃だろう。

機内には前日のコタバル行きにも搭乗していた乗務員が乗っていた。

機体を効率よく運用する分、乗務員もかなりの密度で乗務しているに違いない。

この日のフライトではマレーシアが誇る希少生物の写真が機内のそこかしこに貼られていた。

「 MEET THE WILD SIDE OF MALAYSIA」

おそらくそうした政府のキャンペーンに連動してエアアジアはマレーシアの宣伝にも一役買っているのだろう。

午前6時16分。

出発予定時刻よりも15分も早く、飛行機はボーディングブリッジを離れ動き始めた。

やはり高速鉄道で来ていたら、マジでヤバかったかもしれない。

少しでも遅れを発生させないために、乗客全員の搭乗が確認できれば早めに出発する。

それがエアアジアの流儀のようだ。

この日の乗務員は女性1人に男性が3人。

機内食は事前予約のお客さんだけで、飲み物も有料だから私は乗務員から声をかけられることもない。

長時間のフライトならばいざ知らず、東南アジアの短距離フライトで機内食は全く無用だ。

早く出発すれば目的地に早く到着する。

エアアジア機は定刻よりも早くブルネイの空港に到着し、おかげでボーディングブリッジが空くのを待たねばならなかった。

しかし、事前の予想よりもエアアジアの機内は快適で、座席間隔は多少狭い印象もあるものの、腰をしっかり後ろに引けば膝がつっかえることもない。

しかし、ブルネイからの帰り、夕方4時30分の便はやはり遅れた。

エアアジアの遅いフライトは遅れると考えておいた方が良さそうだ。

この日はクアラルンプールでの乗り継ぎを予定しているため、ちょっと焦ることになる。

エアアジアが到着する第2ターミナルからシンガポール航空が出発する第1ターミナルへは無料のシャトルバスが運行しているらしいが、乗り場を探して右往左往するよりも、多少のお金を払っても勝手知ったる高速鉄道でターミナル間の移動をしようと考えた。

料金は6リンギット(約200円)である。

当初から遅れも想定してクアラルンプールでの乗り継ぎ時間は2時間50分を見ていたのだが、エアアジアの遅れのため実際には2時間弱になり、少し気持ちに余裕がなくなってしまったようだ。

結果的には出発の1時間前には第1ターミナルにたどり着き問題はなかったのだけれど、クアラルンプール空港のターミナルは結構離れていて、おまけに第1ターミナル内の移動もバスを使わないといけなかったりするため、思わぬ時間がかかってしまう。

いっそのことエアアジア同士の乗り換えにしておけば、もっと簡単だった気がする。

ある程度の遅延を計算に入れておけば、アプリでの予約の簡単さやオンラインチェックインのスムーズさ、さらに搭乗手続きなど通常のメジャーなキャリアと比べても特段エアアジアに不快な点は感じられなかった。

そして何よりも魅力的なのはその激安料金。

シニアの私にとって、今後エアアジアは旅行を計画する際の有効な選択肢になることは間違いないだろう。

最後にもう一つ、配車アプリ「Grab」の話を記録しておきたい。

マレーシアに入国以来、何が原因かわからないまま使用不能に陥っていた「Grab」だが、旅行の最後にもう一度だけ試してみることにした。

場所はシンガポールのホテル「mono」。

朝6時35分発の成田空港行き全日空機に搭乗するため、出発の前日にチャンギ国際空港に行く手段を検討していた際のことだ。

ダメ元で「Grab」で予約してみると、これまたなぜかうまく予約ができたのである。

それでもマレーシアで散々酷い目に遭わされたため、半信半疑で朝を迎え、もしも迎えの車が来なければその段階でもう一度「Grab」を試すか街中を歩いてタクシーを探さなければならないと考えていた。

しかし出発の朝、予約した午前4時よりも早い3時過ぎにドライバーからの連絡が入った。

もうホテルに向かっているがこちらの準備はどうかという連絡だった。

私は「こちらは準備OK」と返事を返すと、「Grab」の画面に車の位置が表示され、ホテルに向かって接近しているのが見える。

あと10分で到着という表示を確認して部屋を出てチェックアウトの手続きをして、車の到着を待つ。

すると、画面の表示通り1台の車がホテルの前に止まった。

時刻は午前3時43分。

予約した時間より少し早いが、遅れて来ないよりはずっとマシだ。

ホテルから空港までおよそ20分で、料金は40.17シンガポールドル(約4500円)。

やはり事前予約だと、リアルタイムで呼ぶよりも高くなるようだ。

でも、終わりよければすべてよし、やっぱり配車アプリは便利でありがたい。

いろいろ綱渡りの旅だったけれど、無事に日本に戻ることができた。

シンガポール発の全日空機に乗り込むと、周囲は日本人が多くて、搭乗にあたっての注意事項がやたらに細かかった。

日本人はどうしてこんなに細かいルールが好きなのかと半ば呆れながらも、日本の保護下に戻ったという安心感も感じた。

なんだかんだダメな点も多いけれど、それでも日本以上に平和で安全で清潔で暮らしやすい国は世界中どこを探してもないと私は思う。

ちなみに、帰国後なぜマレーシアで「Grab」が使えなかったのかを調べてみると、去年の秋ごろから国外で発行されたVISAカードでの支払いができなくなったとの情報を得た。

マスターカードやアメックスは海外で発行されたカードでも使えるらしく、VISAカードでもマレーシアで発行したカードは使えるのだそうだ。

これで謎が解けてスッキリした。

私のカードに問題があるのかと心配したが、そうではなかったらしい。

現地でちゃんと調べれば、無駄に焦ることなく、登録カードをマスターに変更すれば「Grab」が普通に利用できたかもしれない。

いずれにせよ、そうしたサービスの運用は随時変更になると思うので、今度東南アジアに行くときにはしっかり「Grab」が利用できるよう準備してから渡航したいと思う。

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