<吉祥寺残日録>岡山二拠点生活🍇 ご先祖様が遺した掛け軸で古民家を飾る #230706

築100年の家にはご先祖様が遺したさまざまな「お宝」が眠っている。

「お宝」と言っても価値があるものではないが、遠い昔の暮らしぶりを今の私たちに伝えてくれる。

昨日、妻がどこからか掛け軸が入った箱を持ち出してきた。

以前、この古民家の片付けをしていた時に押し入れの奥から発見したもので、一応取っておくという判断をしたまますっかり記憶から消えてしまっていた。

もう何十年も使われないまま押し入れで眠っていたため、埃が溜まってすごいことになっている。

中身を確認しようと、掛け軸を納屋に持ち込み1本1本ぶら下げてみた。

山水画のようなものもあれば、鶴の絵が描かれたものや明治天皇の写真がプリントされたものもある。

お寺からもらったのか、仏画とお経が書かれた掛け軸も何本かあった。

古いものなのでそれなりに傷みはあるものの、思いのほかカビなどの被害は免れていて、床の間の掛け軸を掛け替えるのには使えそうである。

そうして掛け軸の状態を確認しつつ、ひらめいた。

薄汚れた古民家の玄関にかけると少し壁の汚さを隠してくれるのではないか。

そこで、玄関の柱に釘を打ち一番大きな掛け軸をかけてみた。

それは梅の絵が描かれた掛け軸で全く季節外れではあるが、狙い通り殺風景な玄関の土間に彩りを添えてくれた。

妻とその絵を見ながら「悪くないじゃないか」とほくそ笑んだ。

せっかくなら、別の掛け軸も使ってみよう。

そう思って、滝の絵が描かれた掛け軸を玄関のガラス戸の前にかけてみた。

この掛け軸は私が最も気に入ったもので、その爽快な構図からおそらく夏に使ったものと思われる。

「良いじゃないか」

ちょっと趣を変えた玄関の土間を眺めながら、私は一人悦にいる。

漢詩なのだろうか、崩した漢字で書かれた掛け軸は上り口の壁にかけることにした。

ここには古い箪笥も置いてあるので、書の掛け軸がとても調和し、以前からずっとここにかけてあったような錯覚を覚える。

良いじゃないか、良いじゃないか。

仏様が描かれた仏画の掛け軸は仏壇の脇、伯母の初盆のための祭壇にかけてみた。

中央のお坊さんを取り囲むようにたくさんの仏様が描かれている。

我が家は真言宗なので、おそらく中央のお坊さんは弘法大師空海なんだと思う。

信仰心に欠ける私にはその掛け軸のありがたみは伝わらないが、初盆の特別感を演出するという意味においてはあって悪くないと思った。

ついでに、床の間の掛け軸も別のものに架け替えてみた。

その色合いからおそらく秋に使用する掛け軸だと想像するが、茶と黒で構成されたその絵は黒い床の間の壁に合っているように見えた。

私が知る限り、もう何十年も同じ掛け軸がぶら下がっていた床の間の雰囲気が少し変わった。

こうして床の間の絵も時々変えると気分が変わるものだ。

築100年の古民家をどのようにリフォームするか?

それは私と妻の共通の課題であり楽しみでもある。

岡山には古民家再生を得意とする業者もいくつもあるようだし、リノベーションされた古民家を見ると素敵だなとも思う。

ただ業者に依頼すると楽しみは一時だけ、自分たちで試行錯誤すれば楽しみを長く味わえる気もする。

いずれプロの手で綺麗にしてもらうとして、それまでに自分たちなりのやり方で少しずつ住み心地を改善していきたい。

そうした妻の嗜好がいつの間にか私を洗脳し、二人でゆっくりと時間をかけながら納得のできる住まいを作っていくつもりである。

<吉祥寺残日録>岡山二拠点生活🍇 大型台風が通過した日、屋根裏に眠っていた祖父の手紙を読む #220919

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