今年の梅雨は早い。
もう近畿・東海まで梅雨入りし、東京も今週はずっと降ったり止んだりの天気が続いている。

いつ梅雨入りの発表があったもおかしくない状況なのだが、気象庁のような役所がなかった昔は、人々はその時期に応じて長雨の呼び名を変えていたらしい。
我が家のトイレにかけてある歳時記カレンダーに「卯の花腐(くた)し」という言葉を見つけた。
「卯の花腐し」とは・・・
『旧暦の四月にしとしとと降り続く雨。梅雨の走りになることも。”夏は来ぬ”と朗らかに咲いた盛りの卯の花を、この長雨が腐らせはしないかと人々は気を揉んだのだろう。ちなみに、この時季の曇天を「卯の花曇」などともいう。』
そんな説明書が添えられていた。

「卯の花腐し」について調べてみると、「ウェザーニュース」のサイトにこんなわかりやすい表が出ていた。
同じ長雨でも、3月下旬から4月上旬なら「なたね梅雨」、5月前半だと「たけのこ梅雨」、五月半ばから6月初めは「卯の花くたし」、そして6月中旬以降の長雨を「梅雨」と呼んだようだ。
これらの言葉は同じような天気現象を表現したものです。
出典:ウェザーニュース
しかし、昔の人たちはその時期に見られる植物を暦代わりに利用して、季節を敏感に感じ取ってきたのです。
まさに日本人特有の感性と生活の知恵であるといえるかもしれません。
当然今のような気象衛星もなく、日本列島全体の前線の位置もわからないわけで、その時々の植物に合わせて雨に名前をつけて呼んだ。
防災の面から言えば天気図は重要だが、「梅雨か梅雨じゃないか」の二者択一よりも昔の方が風流な気もする。

ちなみに、6月の雨がなぜ「梅雨」なのだろう?
「梅」というより「紫陽花」のイメージではないか?
調べてみると・・・
漢字表記「梅雨」の語源としては、この時期は梅の実が熟す頃であることからという説や、この時期は湿度が高くカビが生えやすいことから「黴雨(ばいう)」と呼ばれ、これが同じ音の「梅雨」に転じたという説、この時期は「毎」日のように雨が降るから「梅」という字が当てられたという説がある。普段の倍、雨が降るから「倍雨」というのはこじつけ(民間語源)である。
出典:ウィキペディア
要するに、「梅雨」の語源についてはよくわかっていないということのようだ。

「卯の花腐し」真っ只中の近頃、私は律儀に緊急事態宣言を守り、ほとんど家にいる。
午前中は大谷翔平が出るメジャーの試合を見て、夕方には決まって大相撲を見る毎日だ。
気になるテレビ番組を片っ端から録画し、禅の番組や海外ドキュメンタリー、Eテレの高校講座なども見るようになった。
この春は、連続ドラマも面白い作品が多くよく見ている。
今クールのお気に入りは、フジテレビの「大豆田とわ子と三人の元夫」と日本テレビの「コントが始まる」。
どちらも脚本がいい。
一時、各局とも刑事ものや医療ものばかりだったので見る気がしなかったが、最近は個人視聴率が重視され、恋愛ドラマや青春ドラマという王道が増えてきた。
とても良い傾向である。

そして1日1回は、井の頭公園に出かける。
ジョギングすることもあれば、カメラ片手に植物や鳥の観察を行う。
3月や4月に比べると、植物の変化は乏しくなって目を引く対象物に出会うことも少なくなったが、時には「お〜」と声を上げそうな瞬間に遭遇するのだ。
初めてカワセミを目撃したのはまさにそういう瞬間だった。

弁天橋を渡ろうとした時、数人の人が同じ方向にカメラを向けているのを見つけた。
「何だろう?」と思って近づくと、カメラの先に青い鳥がいた。
「カワセミ」だ!
閉園中の「井の頭自然文化園分園」から池の上に伸びた小枝の上に向こうを向いて止まっていた。
私はあわててカメラを取り出し、何枚かシャッターを押した。

カワセミが止まっている枝は橋からかなり離れていて、カワセミも大きな鳥ではないが、私のコンパクトカメラは40倍ズームが付いていることだけが取り柄であり、しっかりとアップでその姿を捉えた。
カワセミは一年中この井の頭公園にいる「留鳥」だというが、これまで一度もお目にかかったことはなかった。
それにしても何と鮮やかなブルーだろう・・・。
鋭いくちばしと相まって、他の鳥とは違う神々しさを感じる。
「渓流の宝石」と呼ばれる由縁が一目で理解できた。

中学生の頃、岡山まで新幹線が開通し、通学途上で新幹線を見ると意味もなくうれしかった記憶がある。
何かいいことがありそうな予感。
カワセミには、そんな中学時代の新幹線にも似た感動があった。
ちなみに500系新幹線のノーズデザインはカワセミをイメージして作られたというから、両者はまったく無関係というわけでもないようだ。

10枚ほど写真を撮ったところで、カワセミは軽やかに飛び去ってしまった。
採餌するときは水辺の石や枝の上から水中に飛び込んで、魚類や水生昆虫をくちばしでとらえる。エビやカエルなども捕食する。ときには空中でホバリング(滞空飛行)しながら飛び込むこともある。水中に潜るときは目からゴーグル状のもの(瞬膜)を出し水中でも的確に獲物を捕らえることが出来る。また、水中に深く潜るときはいったん高く飛び上がってから潜る個体も存在する。
出典:ウィキペディア
今度はぜひ、カワセミが水に飛び込む様子を見てみたいものだ。
次いつカワセミに出会えるか・・・
井の頭公園を歩く新たな楽しみが見つかった。