2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。
井の頭公園の7月はあまり冴えない。
池は水草の「ツツイトモ」が繁茂し、名物のボートも漕ぎにくくなる。
春から入れ替わり咲き誇っていた花たちの数もめっきり減り、植物の葉も暑さと虫によって傷みが目立つようになってくる。
多種類の植物が勢力争いを続けてきた山野草のエリアも下の写真の通り、もはや美しさとは無縁の場所になってしまった。
そんな季節にも広い園内のところどころにひっそり咲く花を見つけることができる。
7月に私の目に留まった植物を列挙しておこうと思う。
「ミズヒキ」「ヘクソカズラ」「ギボウシ」「ツユクサ」「ムクゲ」である。
「ミズヒキ(水引)」
井の頭弁財天の池のほとりにヒョロヒョロと細い花序を伸ばしている草花が目についた。
植物識別アプリ「Picture This」で調べると「ミズヒキ」という名前が出た。
細く長い蔓に小さな赤い花がたくさん付いている。
気をつけて見ると、公園内のあちらこちらにこの「ミズヒキ」の花が咲いていることに気づく。
名前の由来はこの細い蔓が紅白に見える様子が祝儀袋などに使う水引に似ていることから来ている。
この赤く見えるのが蕾で、これが順番に咲いていく。
花の色は上半分が赤で、下半分は白くなるのだという。
花言葉は「慶事」。
「ミズヒキ」 分類:タデ科イヌタデ属 特徴:多年草 花が咲く時期:8〜10月
井の頭公園の「ミズヒキ」はここ!
「ヘクソカズラ(屁糞葛)」
白い筒状の花で中が赤い。
これも「Picture This」で調べると「ヘクソカズラ」という変な名前が表示された。
和名ヘクソカズラの由来は、葉などをつぶすと、強い悪臭を放つことから「屁糞かずら」の意味で名付けられたもので、元々は「屁臭(へくさ)」だったものが転訛したともいわれている。カズラ(葛・蔓)は、つるで伸びる植物につけられる語である。日本最古の和歌集である『万葉集』の中にも「屎葛(くそかずら)」の名で詠まれている。
出典:ウィキペディア
変な名前なのに、「万葉集」にも登場する雑草なのだそうだ。
葉や果実を揉むと大便のような悪臭がするというこの雑草。
しかし薬として人間のお役にも立ってきた。
干して水分を飛ばした果実、または熟した生の実を薬用とする。生の果実はかなりの臭気を放つのに対して、乾燥したものは不思議と臭いが消えるため、乾燥したものを使うことのほうが多い。しもやけ、ひび、あかぎれなどの外用民間薬として、生の果実をすりつぶした汁を皮膚につけて使われる。民間では、腎臓病、脚気に煎じた液を内服する用法が知られている。
また、全草を開花期に採取して天日乾燥して調製したものは、鶏屎藤(けいしとう)と称する生薬になる。下痢、黄疸に効果があるといわれ、1日量5グラムの乾燥した全草を、600ccの水で半量になるまで煎じて、3回に分けて服用する用法が知られている。
出典:ウィキペディア
さらには、この臭い雑草を美肌化粧料としても利用してきたというから、人間という生き物は本当にたくましい。
花言葉は「人嫌い」。
「ヘクソカズラ」 分類:アカネ科ヘクソカズラ属 特徴:つる性多年草 花が咲く時期:7〜9月
井の頭公園の「ヘクソカズラ」はここ!
「オオバギボウシ(大葉擬宝珠)」
艶やかな葉っぱが美しいこちらの植物は「オオバギボウシ」。
美しい植物が減ったこの季節の園内で、その群生したエリアだけは実に瑞々しく気持ちがいい。
和名の由来は、つぼみの形が橋の欄干の装飾などに見られる「擬宝珠」に似ていることから来ているのだという。
日本列島に広く分布し、春には山菜として貴重な食材ともなってきた。
オオバギボウシの若葉はウルイと呼ばれ、山菜として賞味される。春先の若葉が丸まって立つように生え、葉の色がうり類の皮に似ているので、瓜菜(うりな)が転化したと言われている。
出典:ウィキペディア
漏斗型の薄紫色の花は下から上へと咲いていく。
花言葉は「沈静」。
「オオバギボウシ」 分類:キジカクシ科ギボウシ属 特徴:多年草 花が咲く時期:6〜8月
井の頭公園の「オオバギボウシ」はここ!
「ツユクサ(露草)」
梅雨の季節に道端に咲いている小さな青い花。
「ツユクサ」である。
朝咲いた花が午後には萎むため、朝露を連想させこの名がついたとも言われる。
「万葉集」にも「月草」などの名で登場し、露草を詠んだ歌だけで9首も収録されているという。
背の高い夏草が生い茂るこの季節に足元でチラッと見える小さな花に心惹かれた万葉の歌人たちの気持ちはよくわかる気がする。
日本人は昔から、小さくて儚いものが好きなのだろう。
花言葉は「尊敬」。
「ツユクサ」 分類:ツユクサ科 ツユクサ属 特徴:一年草 花が咲く時期:6〜9月
井の頭公園の「ツユクサ」はここ!
「ムクゲ(木槿)」
三角公園の一角に咲いているのが「ムクゲ」。
庭木としてこの季節よく見かける低木である。
中国が原産で、日本には平安時代に渡来し、今も観賞用として庭木や公園などに植えられる。
花の大きさは5〜10センチ。
ハイビスカスの仲間で白やピンクの大きな花を咲かせるが、1日か2日で散り、また次が咲く。
「ムクゲ」は韓国の国花でもある。
「ムクゲ」にはいろいろの種類があるようで、三角公園には白い一重の株とピンクの八重の株が植えられている。
個人的にはさほど好きな花ではないが、花の少ないこの季節には欠かせない季節の花に違いない。
花言葉は「信念」。
「ムクゲ」 分類:アオイ科フヨウ属 特徴:落葉広葉樹・低木 花が咲く時期:7〜9月 実のなる時期:10〜11月
井の頭公園の「ムクゲ」はここ!
井の頭公園の植物2021
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