<吉祥寺残日録>【東京五輪8日目】緊急事態宣言拡大決定!この日私を興奮させた若き異次元アスリートたち #210731

デルタ株と夏休みが重なり感染者の急増が止まらない新型コロナウイルス。

政府は正式に緊急事態宣言地域の拡大を決めた。

しかし、対策としては目新しいものはなく、国民がどれだけ自分の行動を律するかに今後の推移はかかっている。

東京オリンピックが始まってから、私はほとんど外出せず、1日中テレビを見ているのだが、ある意味政府が期待している理想的な行動ということになるのだろう。

ただ、緊急事態宣言が拡大される8月2日からは再び伯母の介護のため岡山に帰省する予定で、可能な限り他者とは接しないように心がけるつもりだ。

昨夜会見に臨んだ菅総理は、8月下旬には国民の4割がワクチン接種を終えるという目標を掲げた。

お願いベースでの緊急事態宣言にはもはや効果はなく、頼れるのはワクチンだけというメッセージである。

もう一つ、軽症・中等症患者向けの「抗体カクテル療法」を「50代以上の患者や基礎疾患のある人に積極的に供給して重症化を抑える」とも述べた。

「抗体カクテル療法」とは、軽症患者など向けに新たに承認された新型コロナの治療薬「カシリビマブ」と「イムデビマブ」を同時に投与することで、2種類の抗体が作用してウイルスの働きを抑え、海外での治験では入院や死亡のリスクをおよそ70%減らすことが確認されたという。

政府は、これらの薬を中外製薬から約7万回分確保し、医療機関に無償提供する。

高齢者へのワクチン接種が進んだ結果、新規感染者の大半を若い人たちが占めるようになり、何かというと若者たちの無自覚が指摘される。

しかし、若者というものはいつの時代も無自覚である。

無自覚で分別がないからこそ、異次元の世界に飛び出す人間が現れるのだ。

そのことは、オリンピックを見ているとものすごくよくわかる。

今大会ではスケートボードで13歳の金メダリストが誕生するなど、まったく無名だった選手たちの活躍が目立つ。

大会8日目となる昨日もそうだった。

サプライズの第一はフェンシング。

北京とロンドンで銀メダルに輝いた太田雄貴はフルーレの選手だったが、後輩たちは最も競技人口の多いエペで団体金メダルを勝ち取った。

世界ランキング8位の日本は一回戦でアメリカに8点差をつけられたところから大逆転、準々決勝では世界ランク1位のフランスを大接戦の末に撃破した。

準決勝で韓国を破り決勝に進んだ日本チームは、世界ランキング2位の選手を擁するロシアと堂々と渡り合い、一度のリードを許すことなく圧勝した。

エペ団体は3人の選手が総当たりで9試合を戦い、最高45点を獲得すると勝利が決まる。

日本の3選手はいずれも20代、アンカーを務めた23歳の加納虹輝が最後ロシアのエースから得点を連取したシーンでは爽快感すら感じた。

柔道では、女子78キロ超級の素根輝が自分よりも大きな外国人選手たちを次々に倒し金メダルを獲得した。

素根はまだ21歳。

パワーが求められる重量級で日本柔道は長く苦戦を強いられ、この階級での金メダルは2004年のアテネ大会以来となった。

素根は阿部詩と同じ2000年生まれ、2人はとても仲がいい。

体重110キロとこのクラスとしては最も軽量の選手だが、その分大きな外国人選手よりも動きが機敏だ。

「誰よりも3倍練習する」ことで世界の頂点を掴んだ素根。

小さな選手が大きな選手を倒す柔道の真髄を体現した彼女は、阿部詩とともに今後しばらく日本柔道のアイドルとなるだろう。

今大会で見つけた私の贔屓の一人となった。

しかし、この日私が最も衝撃を受けた選手は素根輝ではなかった。

日本人が苦手な陸上長距離に突如現れた新星、男子3000メートル障害の三浦龍司である。

三浦は2002年島根県生まれの19歳。

アフリカ選手と比べても引けをとらない軽快な走りで、終始先頭グループで走りきった。

ラスト1周で自ら先行するアフリカ人選手に勝負を挑み、見事予選2位で決勝に進んだ姿を私は信じられない思いで眺めていた。

タイムは自らが持つ日本記録を大きく上回る8分9秒92。

レース後、他の選手たちがトラックに倒れ込むのをよそに、ケロッとした顔でインタビューに臨んでいたところを見るとまだまだ伸びしろがありそうに感じる。

それにしても、異次元の日本人が出てきたものだ。

中国のように国家によって選抜され、国家のために戦っているのではない。

自らの意思と人の出会いによって、多様な日本人が育っている。

それこそ、私たちが誇るべきではないだろうか。

不振の日本バドミントンチームの中にあって、あまり期待されていなかった混合ダブルス渡辺勇大・東野有紗組が銅メダルを獲った。

日本の若者たちは本当に頑張っている。

やはり今大会苦しんだ競泳の瀬戸大也、萩野公介も、200メートル個人メドレーで一緒に決勝に進み、メダルには届かなかったが充実した笑顔を見せた。

たとえ敗者になろうとも、それぞれの目標を持って努力する若者たちが生き生きと輝ける社会であって欲しい。

年寄りは応援することしかできないかもしれないが、せめて若者たちの邪魔だけはしたくないものだ。

オリンピックを見ながら、そんなことを感じた。

<吉祥寺残日録>【東京五輪3日目】金メダルラッシュ!競泳大橋とスケボー堀米、そして柔道の阿部兄妹も史上初の快挙 #210726

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