相棒だった水原通訳の突然解雇後、沈黙を守っていた大谷翔平が記者会見に臨んだ。
日本時間の26日午前6時45分。
私は岡山に向かうため羽田空港へ出発する直前だったが、テレビ画面に釘付けとなった。
当局や大リーグ機構(MLB)が調査中のためという理由で、記者会見は大谷が声明を読み上げるだけで質疑応答は無しという条件のもとで行われた。
日米の約100人の報道陣が集まったが、ドジャーズスタジアムの会見室に用意された椅子は20席ほど、大半のメディアは立ち見で会場に入れない人もいた。
事前の予想では、大谷が弁護士が用意した声明を事務的に読み上げるだけのそっけない会見になるのではと思っていたが、いざ始まると、大谷は落ち着いた口調で用意された紙に目を落とすものの、比較的自然な自分の言葉で経緯を語った。
まずは、注目の会見で大谷が語った声明の全文をNHKのサイトから引用しておきたい。
「悲しくショック」
僕自身も信頼していた方の過ちというのを悲しいというか、ショックですし、いまはそういうふうに感じています。現在進行中の調査もありますので、きょう話せることに限りがあるということをご理解いただきたいということと、詳細をわかりやすく皆さんにお伝えするためにまとめたメモがありますので、こちらに従って、何があったのか、説明させて頂きたいなと思います。
「僕自身は賭けたり送金依頼をしたりはない」
まず始めに、僕自身は、何かに賭けたりとか、誰かに代わってスポーツイベントに賭けたりとか、それをまた頼んだりということはないですし、僕の口座からブックメーカーに対して、誰かに送金を依頼したことなどはまったくありません。本当に数日前まで、彼がそういうことをしていたということも全く知りませんでした。彼が僕の口座からお金を盗んで、なおかつ、僕の周りにもみんなにうそをついていたというのが、結論からいうとそういうことになります。
「水原氏の話まったくのうそ」
先週末、韓国ですね、僕の代理人に対して、メディアの方からスポーツ賭博について関与しているのではないかという連絡がありました。水原氏は、僕にこういった取材の依頼があるということは、僕には話していなかったし、僕の方にそういう連絡はきていなかったので、水原氏は僕と話して分かったのは「某友人の借金の肩代わりとして支払った」というふうに、僕の代理人を含めて、みんなに話していました。
その翌日にさらに尋問で水原氏は代理人に対して、借金は自分のもの、つまり、水原氏自身がつくったものだということを説明しました。それを僕が肩代わりしたという話を、その時に代理人に話したそうです。そしてこれらはまったくすべてがうそでした。
そして僕がこのギャンブルに関しての問題を初めて知ったのは韓国での第1戦が終わったあとのチームミーティングです。そのミーティングで彼は全部英語で話していたので、僕に通訳はもちろんついていなくて完全には理解できていなくて、何となくこういう内容だろうなというのは理解できていましたけど、その時、何となく違和感を感じていました。“送金してくれと頼んだことも許可したこともない”
彼は僕に対してホテルに帰ったあとで2人でより詳しいことを話したいのでいまは待ってくれということで、まずホテルまで待つことにしました。ミーティングの時に水原氏がギャンブル依存症だということは僕はもちろん知らなかったですし、彼が借金をしていることはミーティングの時は知りませんでした。
僕は彼の借金返済にもちろん同意していませんし、ブックメーカーに対して送金をしてくれと頼んだことも許可したことももちろんないです。そのあと、試合後ホテルに戻って初めて水原氏と話して、彼に巨額の借金があることを知りました。彼はその時私に僕の口座を勝手にアクセスしてブックメーカーに送金していたということを伝えてきました。「きょうお話しできてよかった」
僕はやっぱりおかしいなと思って代理人に話したいということで、代理人たちを呼んでそこで話し合いました。話し終わって、代理人も彼にうそをつかれていたと初めて知って、すぐにドジャースの皆さんと弁護士の人たちに連絡しました。ドジャースの皆さんも代理人の人たちもその時初めて自分たちがうそをつかれていたと知りました。そして、弁護士の人たちがこれは窃盗と詐欺なので警察の当局に引き渡すという報告をしました。
これがそこまでの流れなので、僕はもちろんスポーツ賭博には関与していないですし、ブックメーカーに送金したという事実はまったくありません。正直ショックということばが正しいとは思わないですし、それ以上のことばでは表せないような感覚でこの1週間ぐらいはずっと過ごしてきたので、いまはそれをことばにするのは難しいなと思っています。ただ、今シーズンも本格的にスタートするのでここからは弁護士の方にお任せしますし、僕自身も警察当局の捜査に全面的に協力したいなと思います。
気持ちを切り替えるのは難しいですけど、今シーズンに向けて精いっぱい、きょうお話しできてよかったなと思っているので、きょうはこれがお話しできるすべてなので質疑応答はしませんが、これからさらに進んでいくと思います。以上です。ありがとうございました。
引用:NHK
私が予想したよりはずっと誠実な記者会見だったと思う。
少なくとも、大谷本人がスポーツ賭博を行なっていたという可能性は非常に薄いものとなった。
もしもこれで大谷翔平の説明が嘘だったら、彼は野球だけではなく印象操作でも超一流ということになるだろう。

大谷の会見を見終わった私は、すぐに準備をして羽田行きのバスに乗った。
今日は発達した低気圧が日本列島を横断するため、私が乗る予定の岡山行きの飛行機に関しても「天候調査のお知らせ」と題したメールが早朝に送られてきた。
天気次第では欠航の可能性もある状況で羽田に着いて待っていると、今度は「条件付き運航のお知らせ」というメールが届いた。
飛行機は定刻に羽田を出発するが、岡山空港が視界不良の場合には伊丹空港に着陸する可能性があるというのだ。

羽田空港を離陸した直後から岡山に到着するまで、今日の日本列島はびっしりと厚い雲に覆われていた。
果たして無事に岡山空港に着陸できるのだろうか?
先が見えないというのはやはり不安なものである。

およそ1時間後、飛行機は着陸態勢に入った。
雲の下に出ると、岡山平野はまるで田植えの季節のように、田畑に水が溜まっているのが見えた。
岡山でも昨夜警報級の大雨が降ったようだ。
それでも心配された視界不良はなく、定刻よりも少し遅れただけで無事に岡山空港に着陸できた。
めでたし、めでたし。

大谷翔平を取り巻く状況も、今日の私のフライトのように「めでたし、めでたし」となるだろうか?
今日の会見は上出来だったが、核心部分での重大な疑問に大谷は答えなかった。
水原通訳はどのようにして大谷の口座にアクセスし、多額の預金を送金したのか?
私に限らず、全てのメディア関係者が疑問を抱くポイントであろう。
水原通訳への聴取が進む中で、そのカラクリがいずれ明らかになるだろうが、完全にシロと認定されるまで大谷翔平といえども野球に専念することはできないに違いない。

今週末には、アメリカでの開幕戦となるカージナルスとの試合が予定されている。
今のところ、大谷の出場停止という最悪の事態は避けられるようだが、もしも大谷の説明に嘘があればアメリカのメディアに追い詰められて、試合に出たくても出られない状況に陥る可能性もまだゼロではない。
今日の会見で大谷が見せた落ち着きが、彼の潔白の証であることを祈るばかりである。
<吉祥寺残日録>山本由伸1回5失点のメジャーデビュー!私は野球・サッカー・水泳・大相撲でスポーツ漬けの日々 #240322