今日は、東京でも岡山でも観測史上最も遅い猛暑日を記録した。
そんな暑い夏、驚くべき出来事が・・・。
夜中、眠りについて2時間ほどした頃、突然の痛みで目が覚めたのだ。
左手の手首から手のひらにかけて、これまで経験したことのない痛みを感じた。
ビリビリとした神経の痛み、激痛と言ってもいいほどの痛みが左手の内部を動き回っているように感じる。
何かの病気か?
一瞬何が起きたのか理解できず、暗闇で手を動かしてみる。
指は普通に動くし、動かしたことで痛みが激化するわけでもない。
ムカデか?
私の脳裏に、あの気持ちの悪い毒虫が犯人ではないかとの疑いが浮上した。
今回の滞在中、妻がやはり寝ていてムカデに咬まれたと騒いでいたからだ。
とりあえず明るいところで確認した方がいいと判断し、妻を起こさないよう洗面所に行って電気をつけ左手を丹念に観察する。
しかし、ムカデの犯行を決定づけるような傷跡や痕跡は見つからなかった。
手首あたりが全体的に腫れているようにも見えるが、右手と比べて特別腫れ上がった箇所も見当たらない。
その間も、痛みはおさまるどころかますます強くなっている。
とりあえず水で左手を洗い、寝室に戻って電気をつけた。
犯人がまだ布団の周囲に潜んでいるかもしれないと考えたからだ。
マットレスをはがし、タオルケットや枕の下も恐る恐る確認する。
しかしムカデの姿はもうなかった。
その代わりに、夜中に電気をつけ私が何やらゴソゴソしている気配を感じたらしく、妻が起きて来て開口一番、「ムカデ?」と聞いた。
相変わらず、妻の直感は鋭い。
私が事情を話すと、妻は私の左手を確認し、「これでも塗っておけば」とドルマイシン軟膏をくれた。
妻もムカデに咬まれた後、この軟膏を塗ったのだと言う。
本当は、ムカデの毒にはステロイド系の薬が効くらしいが我が家にはないので、一般的な傷薬で代用すると言うことだろう。
幸い、朝になると痛みも和らぎ、大事には至らずに済んだようだ。
再び左手を観察すると、手首の皺のあたりに小さな2つの点を見つけた。
やっぱり、犯人はムカデだったようだ。
ムカデには2本の「顎肢」と呼ばれる毒牙があり、咬むと同時に毒を分泌するという。
ムカデに咬まれると帯状に跡が残り腫れるんだろうと漠然と思っていたが、どうやらそうではないらしい。
それにしても、ムカデが手の上を這ったのだとすると寝ていても気がつきそうなものだが、全くそのような記憶はないのも想定外であった。
古民家暮らしを始めて3年、これまであまり真面目に考えてこなかったムカデ対策を本格的に考えないといけない。
生まれて初めて、ムカデについて調べてみた。
アース製薬のホームページにはムカデの生態について、次のように書いてあった。
ムカデは、よく間違えられるヤスデとは異なり、1つの体節には1対の脚しかないのが特徴。多くの体節を持ち、漢字で「百足」と書くように脚の数が多く、15、30、170対など種類により様々です。
目が退化しているため、ほとんど触覚に頼って生活しています。そのため、動いているものに触れると瞬時に反応します。
ムカデは捕食性の虫で、エサとなるのは生きている小さな昆虫、クモやミミズなど。死んでいるものには反応しません。
ムカデは普段じっとしていますが、動くときはとてもすばやいです。暖かいところを好み、温度が18℃以上になると特に活発になります。一方で、冷たいところでは活動が鈍化し、10℃以下になると動きを停止します。昼間は草むらや石垣の中、落葉や石や植木鉢の下などに潜んでいますが、夜になると餌を求めて屋内に侵入することもあります。
ムカデは攻撃性が強く接触した瞬間に牙で咬みつき、咬まれると毒が出て咬まれた箇所が炎症を起こします。成虫に比べれば少ないですが、ムカデの赤ちゃんや子供も毒を持っているので注意しましょう。また、生命力が強く、頭部がちぎれた状態でもしばらく生きていることがあるので、死んでいるように見える場合でも絶対に素手では触らないでください。咬まれた場合、直後に激しい痛みがあり、赤くなり腫れてきます。痛みは激しいですが、重篤となることはほとんどありません。
万一咬まれた場合は、流水の下でできるだけ毒を絞り出し、抗ヒスタミン含有ステロイド軟膏を塗る等し、腫れがひかない場合は病院へ行くようにしてください。
ムカデの好物はゴキブリだそうで、餌を求めて夜になると家の中に侵入してくるらしい。
ムカデの毒には、神経毒であるヒスタミンやセロトニンなどの成分が含まれているため、私が感じたようなビリビリした激痛を引き起こすのだ。
素人考えではあるが、あの痛みは自分の免疫機能が体内に侵入した毒と戦っている証拠なのだと思う。
とりあえずのムカデ対策として、「ムカデコロリ 1プッシュ式スプレー」という薬剤を買ってきた。
空間に噴射するだけで、すき間の奥まで薬剤が広がり、家中のムカデを駆除できるという商品だそうだ。
縁側の外側にはムカデ除けの粉末剤を撒いているが、それだけではムカデの侵入は防げていない。
果たしてこのスプレーにどの程度の効果があるのか、一つ一つ使ってみて我が家のムカデ対策を見つけ出したいものである。
実際にムカデに咬まれた痛みを知った今、古民家生活の悩みの種である害虫対策に本腰をいれる覚悟が決まった。
虫と言っても、ムカデだけではない。
夜になると、突然カサカサという音と共に大きな蜘蛛が部屋の中に出現する。
足を広げると体長は10〜15センチにもなり、気がつくと壁に張り付いていたり寝床のすぐ近くにいたりしてギョッとしてしまう。
この蜘蛛の名前は「アシダカグモ」。
蜘蛛の巣を張って獲物を待ち伏せする蜘蛛と違い、アシダカグモは長い脚で素早く動き獲物を捕まえる。
ムカデと違ってアシダカグモが人間に害を加えることはなく、狙うのは主にゴキブリ、だから人間にとっては益虫なんだとか。
築100年の古民家であまりゴキブリを見かけないのは、蜘蛛とムカデのおかげかもしれない。
とはいえ、部屋の中をこんな蜘蛛が歩いているのをみるのは気持ちがいいものではない。
畑仕事にも慣れ、少しずつ軌道に乗ってきた古民家暮らしだが、ムカデの存在は私たち夫婦にとって新たな重要問題に浮上した。
こんな家では孫たちに遊びにくればと誘うのも難しいだろう。
そもそも安心して眠れなければ、私たちだって体調を崩すことになり、楽しい田舎暮らしが続けられなくなる。
でも畳の下は土で、至る所に虫たちが通れる隙間がある古民家から害虫を追い出すことなど可能なのだろうか?
二人とも絶望的な気分を抱えながら、近いうちにダメもとで専門家に相談してみようと話し始めた。
たかがムカデとはいえ、安心して古民家暮らしを続けられるかどうか、重要な分岐点に立っている気がしている。
