<きちたび>映画「シンドラーのリスト」の舞台クラクフで「シンドラーの工場」を訪ねる

スティーヴン・スピルバーグ監督の名作「シンドラーのリスト」を帰国後DVDで見た。

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これまで何度も見る機会があったのに、何となく見ないままここまですぎていた。やはり気が重かったのだろう。しかし、この夏アウシュヴィッツを訪問したのを受けて、ちゃんと見ようと決めた。

現場で見聞きした過去の忌まわしい記憶が、見事に映像化されていた。

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あえて白黒で描かれた映画の中に登場する赤い服を着た少女。ゲットー解体の日にたまたま見かけた少女が後日遺体として運ばれているのを見たシンドラー。それまでの金儲けから人命救助に心を入れ替える変化のきっかけをスピルバーグはこの少女で表現した。

アカデミー賞12部門にノミネートされ、作品賞、監督賞など7部門で受賞した。ユダヤ系アメリカ人であるスピルバーグが描いたホロコーストは非常にリアルだ。

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この映画の舞台となった「シンドラーの工場」がクラクフにある。中心部からトラムに乗ってやってきた。今では博物館になっている。

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工場跡の窓ガラスには、シンドラーに命を救われた人たちの写真。オスカー・シンドラーは合わせて1100人のユダヤ人の命を救った。

町外れの人通りも少ない再開発地域に「工場」はある。

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予想もしなかった大行列。これも映画の威力だろう。

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列はロビーいっぱいに伸びて、シンドラーの写真の前には呆然とする観光客がたたずむ。

「人を救う限り、人生は意味がある」 by オスカー・シンドラー

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ロビーに展示された工作機械。

ナチ党員だったシンドラーは無一文でクラクフにやってきて、ユダヤ人から接収したホーロー工場の払い下げを受けた。ユダヤ人の囚人を安く雇い、軍需物資を製造、大金を稼いだ。決して、清廉潔白な人物ではない。

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30分ほど並んでようやく館内に入れた。入場料は21ズウォティ(約600円)だ。

戦争前のクラクフの様子から展示は始まった。

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全体的に解説は丁寧でないので、ちょっとわかりにくい。英語の解説はあるが、日本語はない。

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併設の映像ホールでは、シンドラーの工場で働き戦禍を逃れたユダヤ人たちの証言が流されている。

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ポーランドの古都クラクフは、1939年から1945年までナチス・ドイツに占領された。

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ユダヤ人たちは、突如悪夢に突き落とされる。

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ユダヤ人男性のヒゲを剃るドイツ兵。

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クラクフの中央広場を埋めつくるドイツ軍。

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1942年6月26日に撮影された囚人たちの処刑。

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ユダヤ人はクラクフの一角ゲットーに集められた。そして1941年4月、ゲットーの周辺に塀が築かれた。

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完成したゲットー。しかし1942年には、このゲットーで「選別」が始まった。

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1942年5月末から身分証明書のチェックが始まり、持っていない者はゲットーから追放された。6月6日には、「ブルーカード」の支給が始まり、2日の間にこのカードを得られなかった者はゲットーから追われた。この措置により、7000人のユダヤ人がガス室に送られた。

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このドイツ軍の決定を受けて、シンドラーはユダヤ人にブルーカードを取得させ、自らの工場で働かせる。彼に雇われたユダヤ人たちは命を繋いだ。

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シンドラーの工場では、ホーローの容器を製造し、戦争の拡大とともに軍に製品を出荷した。「軍需工場」としての地位が、シンドラーにユダヤ人雇用の特例を認めさせた。

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1943年3月、クラクフのゲットーが突如廃止される。そこに暮らしていたユダヤ人は強制収容所に送られる。「シンドラーのリスト」では、このあたりの状況が衝撃的に描かれる。

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シンドラーはゲシュタポに賄賂を送り、自らの工場内にユダヤ人労働者たちの収容所建設を認めさせる。

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シンドラーのリストに名前が刻まれたユダヤ人たちは、その後も続く苦難の道を生き延びた。最初はユダヤ人を金儲けの道具に使ったシンドラーは、次第に人命を救うことに自らの全財産を投じる人間に変わった。

戦争は人間を悪魔に変える。同時に、天使に変わった男もいた。

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展示を見終わって窓から工場の建物が見えた。

博物館としての完成度は高くない。しかし、単なる美談ではない一人の野心家の人生は、私たちに何かを感じさせるだろう。

ぜひ映画を見た上で、この工場跡を訪ねた方がいいと思う。

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「シンドラーの工場」の帰り、途中でトラムを降り、クラクフのユダヤ人地区を訪ねた。プラハ同様、クラクフのユダヤ人地区も今では街で有数の観光地だ。

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ユダヤ人墓地の近くには、とても洒落た中庭のカフェがある。

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歴史を感じさせる平和な街。この街で70年前、非人道的な大虐殺が起きた。

個人個人を見るのではなく、人種や民族という集団で人間を判断する世界は、今も完全にはなくなっていない。日本でもいつ何時、どんなきっかけで復活しないとも限らない。

悲劇は人間の心の中から発する。

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立派な人間でなくても、人を助けることができる。これが、シンドラーの教訓かもしれない。

 

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<参考情報>

私がよく利用する予約サイトのリンクを貼っておきます。



 

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