🇫🇷 フランス/パリ 2024年10月22日~23日
とにかく円安が続いている。
お手頃価格で海外の見聞を広めたいと思っている者にとって、この円安はとても厳しい。
旅先を決めるに当たって、インフレが進んだアメリカやヨーロッパの先進国は宿探しの段階で断念せざるをえないケースが増えているのだ。
今回バルカン半島を旅先に選んだ大きな理由の一つが、ホテル代が比較的リーズナブルだったことがある。

しかし、バルカン半島に入るルートをあれこれ検討する中で、中国国際航空のパリ行きのフライトを見つけた。
せっかくならば、久しぶりにかつて暮らしたパリに寄ってみるかと思い、この便を選んだのだ。
パリに来るのは何年振りだろう?
パリ勤務を終えて帰国した後、一度サンジェルマン界隈に宿泊したかすかな記憶があるのだが、私の渡航履歴を見てもその記録が残っていない。
おそらく20年は来ていないに違いないのだが、降り立ったシャルル・ド・ゴール空港はパリで過ごした30年前から何も変わっていなかった。
変なトンネルを長いベルトコンベアーで運ばれて、入国審査にたどり着く。
日本人はEU入国に際しビザも書類も求められないが、来年からはアメリカと同様に「ETIAS(エティアス)」という事前の渡航認証が必要になるらしい。

中国と違って何のストレスもなく入国すると、翌日のアルバニア行きフライトのオンラインチェックインを済ませる。
日本で購入したeSIMがうまく起動しないので、とりあえず空港のWi-Fiに接続してルフトハンザのアプリから手続きをした。
eSIMの方も設定を少しいじったら使えるようになったので、ミネラルウォーターを1本買ってホテルに向かうことにする。
宿が運営するシャトル便もあるが、別のターミナルまで行かなければならないためバス。
フランスでもUberが使えるようだが、とりあえずホテルで早く休みたいのでタクシーに乗った。
Uberだと12€ぐらいで行ける距離だが、タクシーの運転手はメーターも倒さず20€を請求してきた。
長旅の後は、値切る気力も湧いてこない。

タクシーは10分も走らないうちに目的地のホテルに到着した。
「Eklo Hotel Restaurant Paris Roissy CDG」
パリでも問題となったのは、やはり宿の確保であった。
パリ市内まで出るとたくさんのホテルがあるが、値段は信じられないほど高い。
昔からパリのホテルは質に見合わない高額ではあったけれど、今はインフレと円安のせいで、庶民的なプチホテルでも1泊5万円は下らない。
乗り換えの1泊のために市内まで行くのももったいないと思い空港近くで探したら、破格の安さのこのホテルが見つかったのだ。
なんと1泊6975円。
ただし、複数人で一つの部屋を使うドミトリーだった。
夜中のトイレは気になるが、どうせ夜に着いて早朝出発するだけだ。
ということで、パリでのトランジットはこのドミトリーを利用してみることにしたのだ。

建物に入ると、そこは洒落たレストランバーになっていて、多くの客が賑やかに食事を楽しんでいた。
格安料金のドミトリーとはいえ、怖さや薄汚さは微塵も感じられない。
宿泊客はここで寝るまでの時間を過ごして、寝る時だけ自分の部屋に帰るという仕組みのようだ。

レストランのバーカウンターが、ホテルのフロントにもなっている。
なんだか、モダンで格好いい。
宿泊代は事前に払っているので、パリの宿泊税2.60€だけ払って部屋のカードキーを受け取った。
ドミトリーは1階に何室かあり、カードキーには部屋番号と一緒にベッドの番号が書いてあった。

こちらが私が泊まった男性用ドミトリー。
木で作られた二段ベットが6つあり、それぞれに専用のロッカーが付いている。
鍵をかける金具はあるが鍵はなく、必要ならば自前で鍵を用意するということだろう。
部屋には先客はおらず、電気も消えて真っ暗だった。
私はリュックに付けている南京錠を使ってとりあえず荷物を仕舞い、もう一度受付のあるレストランに戻る。

長旅と不味い機内食のせいで全く食欲はない。
喉が乾いたのでビールを1杯注文した。
スモールサイズでチップ込み5€、およそ800円である。
スマホをWi-Fiに繋いで忘れないうちに旅の記録などつけ始める。
大勢人がいて、静まり返ったホテルのロビーよりも心地よい。

午後9時半ごろまでレストランで過ごしてから、部屋に戻って、シャワーを浴び歯を磨いて髭を剃った。
タオル1枚以外にコップもシャンプーも何もないが、清潔でお湯もスムーズに出るので特に問題はない。
翌朝は他の客が寝ている時間に出発するため、ロッカーから荷物を取り出して自分のベッドに置くことにした。
部屋の電気をつけるのがためらわれるかもと思ったからだ。

私に割り振られたベッドは上の段。
久しぶりに二段ベッドに登ったが、若い頃と違ってこれがなかなか大変である。
しっかりと取っ手を握っていなければ、落ちてケガをしかねない。
ハシゴをのぼると寝るのには十分な広さがある。
足元に多少のスペースがあったので、荷物を置いてもさほど気にはならなかった。
この感じ、日本のいたれつくせりのカプセルホテルというよりも、若い頃夜勤の時によく泊まった会社の宿直室を思い出す。

それぞれのベッドには小さな照明とコンセントが1個あり、ここでスマホを充電する。
カーテンを閉めれば狭いながらもプライベートな空間が確保できるのだが、問題はいつもの時差ボケであまり眠れなかったことだ。
室温が少し寒くてフリースを着て寝るが、すぐに目が覚めてしまい、予想した通りはしご段を降りて3度もトイレに通う羽目になった。
やはりシニアには、他の客に迷惑をかけない個室の方が気が楽である。

結局、1〜2時間うとうとしただけで、ずっとブログを書いて過ごした。
おそらく立派なホテルに泊まっても結果は同じだったと思うので、ドミトリーという選択もまんざら間違いではなかったかもしれない。
時計が4時をまわったのを確認して、ベッドの中で服を着替えて静かに部屋を出た。
私がベッドに入った後2人の客がやってきたが、みんな声を出すこともなく、静かに自分のベッドに入りカーテンを閉じた。
知らない旅人同士がワイワイやる安宿というイメージだったドミトリーの印象が今回の体験で少し変わった気がする。

賑やかだったレストランは午後10時には閉まるらしく、午前4時すぎには当然誰もいなかった。
フロントにいた男性スタッフにカードキーを渡してチェックアウトは完了。
「タクシーを呼ぶか?」と聞かれたが、前の日にぼったくられたのでUberを使ってみることにした。

Uberアプリを立ち上げると、すぐに車が見つかって、10分も待たずにホテルまで迎えに来てくれた。
黒人男性が運転する車はテスラのモデルYだった。

初めて乗ったテスラ車は、天井が透明で大きなモニターが特徴的だった。
音は静かだが、それ以外はエンジン車とさしたる違いはないように感じた。
初テスラに乗って、料金は12€。
前日のタクシーより全然安いので、2€のチップをつけておいた。
今後もシャルル・ド・ゴール空港で乗り換えることがあれば、「Eklo Hotel Restaurant Paris Roissy CDG」に泊まってUberを利用する。
これが物価の高いパリでの定番になるかもしれない。