2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。
1月の第二弾に選んだのは、ジョギングの際に見つけたこれだ!
「サルノコシカケ(猿の腰掛け)」

私でも知っている「サルノコシカケ」。
菌類であることは確かだが、調べてみると専門家の間でも分類が分かれる中途半端な存在だということがわかった。
サルノコシカケという和名をもつ種は存在しないため、科名をサルノコシカケ科とするのは暫定的な処置である。タイプ種として、アミヒラタケを選択する説とタマチョレイタケを選択する説とがあり、前者の説をとるならアミヒラタケ科、後者の説に準じるのであればタマチョレイタケ科の和名を採用するのが妥当であるが、まだ国際藻類・菌類・植物命名規約上の決着をみていない。
出典:ウィキペディア

つまり、樹木の幹から直接生え、猿がちょこんと腰を掛けそうな形状をしたキノコの総称が「サルノコシカケ」ということなのだろう。
しかし、この牧歌的な印象を与える「サルノコシカケ」、実は恐ろしい生物だったのだ。
その正体は、樹木の幹や枝の傷口から胞子が侵入し、幹の中を腐らせる「木材腐朽菌」。
何年かすれば、木の内部が空洞になり倒れる可能性もあるという。
たとえ小さいうちに除去したとしても、一度サルノコシカケが生えた樹木は助からないのだ。
「サルノコシカケが幹に生えた」ということは、キノコ(子実体)は菌糸からつくられますから、幹の中は菌糸だらけということになります。
キノコから菌糸が生えるのではなく、菌糸からキノコが生えるのです。
もっと言うと、菌糸は木の中を食べつくしそうなので、この木から自分の子孫を脱出させるために、キノコを作って胞子を飛ばそうとしている、のです。
つまり、サルノコシカケを見たら、その木の中は腐ってスカスカになっているということです。
出典:竹内庭苑「サルノコシカケをみつけたら」

恐るべし、サルノコシカケ。
私がみつけたサルノコシカケは、人々が歩く公園内の通路脇に立っている樹高20mほどの大きな樹木に生えていたので、こんな木が倒れたら大変だと急に心配になってきた。
「カツラ(桂)」

「サルノコシカケ」に興味を持ったのがきっかけで、このキノコが生えた樹木のことが気になり出した。
これは一体、何という樹木なのだろう?
周囲に同じような樹木がたくさんあるが、どの木にも名札は貼られていない。
「公園案内所」で写真を見せて聞いてみたが、わからないと言われた。

しかし、重要なヒントをもらった。
「1本1本の樹木に番号がふられているので、それがわかれば調べられるかもしれない」と言うのだ。
戻って確認すると、「緑の44」が確認できた。
再び公園案内所に戻って調べてもらうと、樹木の名前が判明した。
この木の名前は「カツラ=桂」という。

カツラは、北海道から九州までの山地に育つ落葉樹で、樹高は10〜30mになる背の高い樹木だそうだ。
カツラの仲間は白亜紀や古第三紀から生き延びる原始的な樹木の一つであり、かつては北半球に広く分布していたが、今日では中国と日本にのみ残る。
出典:庭木図鑑 植木ペディア

新緑や黄葉が美しく、葉っぱがハート型をしているという。
しかし今はすっかり葉が落ちて、逆に樹形がよくわかる。
樹皮は深い縦線が少し捻れながら上に伸びている。
香りにも特徴があるらしい。
葉は直径3~8センチのハート型で、しおれるとキャラメル、綿あめ、あるいは醤油煎餅のような匂いがする。新緑の頃にも微かに香るが、秋の香りはかなり強く、少し離れた場所にいてもカツラの木があることが分かるほど。カツラの別名には「醤油の木」「コウノキ(香の木)」「抹香の木」などがあり、乾燥させた葉で抹香を作る。
出典:庭木図鑑 植木ペディア

サルノコシカケが生えてしまっているのが気になるが、一つ樹木の名前を覚えることができた。
そして何より、番号をチェックすると公園案内所で名前を教えてもらえることがわかったのは大きな収穫だった。
ハート型の葉っぱが出てきたら、またチェックすることにしよう。
「カツラ」 分類:カツラ科カツラ属 特徴:落葉広葉樹・高木 花が咲く時期:3〜5月 実がなる時期:10〜11月
井の頭公園のサルノコシカケが生えた「カツラ」はここ!

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