2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。
秋も深まり、実をつける植物は多くても、この季節に花を咲かせる植物は少ない。
そんな中で私の目に止まった花がいつくかあった。
「チャノキ」「アスター」「ネリネ・ボーデニー」である。
「チャノキ(茶の木)」

神田川沿いに三角公園に向かって歩くと、左手に白い小さな花を咲かせたツバキに似た低木があった。
植物識別アプリ「Picture This」で調べると、「チャノキ」という名前が表示された。
漢字で書くと「茶の木」、すなわち私たちが飲んでいるお茶が成長するとこんな花を咲かせるのだ。

ツバキ科の常緑樹で、確かにツバキを小さくしたような花が咲く。
あまり馴染みのない「茶の花」は初冬の季語にもなっているそうだが、栽培農家にとって花は翌年の新芽に回すべき栄養を奪う厄介者で、だから茶畑で花が咲いている光景を見ることがないのだ。
「チャノキ」は中国原産とされ、奈良時代に日本にも伝わったとされる。
奈良時代、聖武天皇の天平元年(729年)に、宮中に100人の僧侶を集めて大般若経を講義し、その2日目に行茶と称して茶を賜ったと伝えられていることから、日本へはそれ以前に大陸から渡来したと考えられている。飲用される茶は、建久2年(1191年)に栄西が中国から持ち帰った種子の子孫にあたるといわれている。日本で現在栽培されている栽培品種は、「やぶきた」系統が約9割を占めている。やぶきたは1955年(昭和30年)に選抜されて静岡県登録品種になった栽培種である。鎌倉時代以降、喫茶の習慣や茶道が広まるとともに、各地に茶産地が形成された。
出典:ウィキペディア

テレビなどでよく見る茶畑は短くきれいに刈り込まれているが、野生の「チャノキ」は10メートルほどに成長することもあるという。
チャノキの主に新芽にアルカロイド(カフェイン、テオフィリン、カテキンを含むティアタンニンなど)、アミノ酸(アルギニン、テアニンなど)等が豊富に含まれており、飲用として利用されている。その他有効成分として、精油(ヘキサノール、イソブチルアルデヒドなど)、ビタミンC、フラボノイド(クエルセチンなど)が含まれている。アミノ酸は茶のこくや旨味、精油は香り成分の元になっている。
出典:ウィキペディア
しかし昔の人はどうして、この木の葉っぱを「お茶」にして飲もうと思ったのだろう?

よく見ると、花と同じくらいの大きさの実もついていた。
花が咲いた翌年の9月ごろに成熟するというこの実の中にある種子からは、ツバキ同様に油も取れるが、この種子を乾燥させて粉末にしたものは「茶子(チャシ)」と呼ばれる生薬となり、咳に薬効があるという。
花言葉は「追憶」。
「チャノキ」 分類:ツバキ科ツバキ属 特徴:常緑広葉樹・低木 花が咲く時期:10〜12月 実のなる時期:9〜10月
井の頭公園の「チャノキ」はここ!
「アスター」

ジブリ美術館の花壇で咲いていたこちらの花を植物識別アプリ「Picture This」で調べると、「アスター」と表示された。
「アスター」と呼ばれるキク科の植物は実にたくさんの種類があるそうで、この花が本当に「アスター」かどうかも含め、正確なことはよくわからない。
ネットで調べた感じでは、「エゾギク」に似ているようにも見えるが、花が咲く時期を考えると「宿根アスター」の一種かもしれない。

日本では「アスター」は仏花として利用されることが多いようだ。
個人的には特に好きな花ではないので、まあ「アスター」という名前だけは覚えておこう。
花言葉は「変化」。
「アスター」 分類:キク科シオン属 特徴:多年草 花が咲く時期:8〜11月
井の頭公園の「アスター」はここ!
「ネリネ・ボーデニー」

吉祥寺通り沿いの植え込みに、ちょっと個性的な花が咲いていた。
植物識別アプリ「Picture This」で調べると、「ボウデニー」という名前が表示された。
ネットで調べると、「ネリネ・ボーデニー」という名で紹介されているサイトが多いようだ。

この花は南アフリカ原産で、見た目の通り「ヒガンバナ」の仲間である。
日本ではこの彼岸花に似た姿が嫌われあまり人気がないが、欧米では「ダイヤモンドリリー」の名で親しまれ、育種が盛んに行われたそうだ。
道端に咲くこの花も誰かが植えたに違いない。
花言葉は「また会う日を楽しみに」。
「ネリネ・ボーデリー」 分類:ヒガンバナ科ネリネ属 特徴:多年草 花が咲く時期:10〜12月
井の頭公園の「ネリネ・ボーデリー」はここ!
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