🇭🇷クロアチア/ツァブタット 2024年10月27日~28日
世界遺産ドゥブロブニクからボートに揺られておよそ1時間。
ツァブタットはアドリア海を挟んで遠くにドゥブロブニク旧市街を望むリゾートタウンである。

船着場から海辺の小道を歩いて10分ほどで予約していたホテルに着いた。
「ホテル・ツァブタット」
迂闊にも外観を撮り忘れてしまったが、1階にはいかにも気持ちの良さそうなソファーが置かれたテラスがあり、第一印象は悪くない。

フロントは、エレベーターで上がった4階にある。
ホテルは急斜面に立っていて、メインエントランスもこのフロアのようである。
チェックインの際に、男性スタッフが「最高の部屋をご用意しました」と言った。

彼の言葉は、まんざら嘘ではなかった。
最上階8階の部屋は、去年リニューアルしたばかりというモダンできれいな部屋だった。
これまでに泊まった伝統的な作りのホテルとは真逆の、今風のリゾートホテルというのが第一印象である。

そしてカーテンを開けると、目の前に海と山の絶景が広がった。
正直、全く予想していなかったので驚く。

すぐにベランダに飛び出す。
先ほど渡し船の中から見えた私好みの岩山が青い海の向こうに広がっているではないか。
そして入江には、たくさんのプレジャーボートが停泊している。

今回はドゥブロブニクのホテルが高すぎて、手の届く宿ということでここを選んだだけだったので、まさかこんな絶景が迎えてくれようとは思いもしなかった。
なんだかちょっと得した気分だ。

バスルームもモダンなデザインでオシャレな感じ。
ただ、全体的にデザインを優先しすぎて、実用性に欠ける面もある。
カードキーをかざしてもドアノブが回らず、フロントまで聞きに行くと、ドアノブは回さずにただ扉を押して開けるだけだったり、エアコンの温度調整がうまくできず寒かったり・・・。

でもまあ、この眺めを楽しめるのならば文句はない。
ちなみに宿泊代は朝食付きで1万5121円。
パリのホテルを別にすれば、今回の旅行で一番高額なホテルである。

白人の宿泊客はバカンス気分で海やプールで泳いでいたが、夕方になると結構冷えてくるのでとてもそういう気分じゃない。
その代わり、この景色を眺めながらベランダでくつろいでいると、あっという間に日が暮れてしまった。
今の季節、5時前には夕日が沈んでしまうのだ。

夕方6時、晩ごはんを食べるお店を探しつつ、ツァブタットの町を少し散策してみる。
と言っても小さな町なので、結局迷った末にホテルに戻って、海辺のカフェレストランで食べることにした。

このレストラン、大きな木を丸ごと組み込んだようなユニークな作り。
ホテルの部屋同様に、レストランのテーブルや椅子にもセンスとこだわりが感じられる。

海に面したテラスを利用したレストランなので、屋根はあるが屋外になり、厚着はしてきたがそれなりに寒い。
でも、この大木が気に入ったので、木のすぐそばの席に座った。
夕食にはまだ早いと見えて私の他には誰も客はいなかった。

さしてお腹も空いていなかったので、この日はスープとパンだけで済ませることにする。
「フィッシュスープ」2杯分とパン、それにクロアチア産の白ワインを注文した。

スプーンですくうと、スープの中から魚がゴロゴロ。
味の方は、フランスの「スープ・ド・ポワソン」に似ている気がした。
魚を食べ慣れた日本人には、まあこんなものねという感じだが、旅の疲れが溜まってきた身体には優しいスープである。

スープとワインで25ユーロ。
やっぱりホテルは少し割高なようだ。

翌朝、朝日がツァブタットの岬に当たる様子を見て、あそこにお散歩に出かけようと思い立った。
岬には教会のようなものも見える。

前の晩に歩いた交差点を突っ切り、岬の反対側まで回ると、小さな港があり、「Cavtat」と書いてある。
そうか、ここが私が乗ったボートの終着点だったのかとその時理解した。

港に面して教会が建っていた。
「聖ニコラス教会」
実はこの町、単なるドゥブロブニク近郊のリゾート地ではなく、古代から続く長い歴史を持つらしい。

調べてみると、紀元前6世紀ギリシャ人によってその基礎が作られたという。
その後、ローマ帝国やスラブ人の支配を受けたツァブタットは、中世はラグーサ共和国の影響下に入った。

岬の方に歩いて行くと、教会をバックに座る男性の銅像があった。
誰がモデルかはわからないけれど、平和で可愛らしいモニュメントである。

集落の中に通じる路地があったので入ってみる。
壁も通りも石でできている。

道をまっすぐ進んで行くと、岬の一番高い場所に石造りの建物が立っていた。
なんだろうと思って近づいていくと、そこは海を見下ろす墓地であった。

なかなか立派なお墓。
日本で一般的な切り花ではなくて、鉢植えの花を備えるというのはちょっと真似してもいいかもと思う。

その後は別の路地を通ってホテルに戻る。
どこも石造りの塀に囲まれ、バルカン半島はつくづく石の国だなあと感じる。

ドゥブロブニクで見つけた丸い穴が開いた突起物をここでも発見。こうして近くで見ると、やはり物干し竿を通す物に違いない。

ホテルに戻る途中、町の中心部にあるバス停に寄ってみた。
さっきは開いていなかった切符売り場がオープンしていて、チケットを買い求める客がいた。
ドゥブロブニクのバスターミナルまで行くバスはあるかと尋ねてみると、1時間に1本出るドゥブロブニク行きのバスに乗ればバスターミナルまで行くという。
この日もとりあえずボートで旧市街まで行って、そこでバスかタクシーに乗り換えるしかないと思っていたが、この一言で旧市街に行く気が一気になくなり、ツァブタットで時間を過ごして、バスで直接ターミナルまで行くことに決めた。

ホテルに戻ると午前8時を回っていた。
そのままレストランに行くと、朝食の客で混み合う時間帯だったようだ。

それでもこの日は急ぐ理由もなくなったので、ゆっくりと朝ごはんをいただく。
豆を多めに。
これまでのホテルよりはきれいなレストランだけれど、ビッフェの品揃えにさしたる違いはない。

一番の違いと言えば、フルーツが多かったこと。
旅行中はビタミン不足になりがちなので、ここでしっかりと果物を食べておく。

朝食のレストランからも海と山がよく見える。
もうそれだけでバカンス気分になれるのが、このホテルの最高の利点だろう。

食後は再び部屋に戻り、ベランダでブログなどを書いて過ごす。
チェックアウトは午前11時。
それまでしっかりホテル代の元を取るのだ。

朝はまだ寒いので、私はダウンジャケットを着てベランダにいるのだが、寒さに強い白人の皆さんはもうプールサイドで日光浴。
中には海に浸かって遊んでいる人たちもいる。
やはり違う人種なのだと実感する。

チェックアウトした後は、またホテル前にある海辺のカフェに陣取り紅茶を注文してソファーでくつろぐ。
動き回るばかりが旅ではない。
時にはこうしてのんびり過ごす時間も必要なのだ。

ランチは海辺のレストラン「Local Cuisine Dalmatino」へ。
バス停のすぐ目の前にあるので、ここなら万が一にも乗り遅れる心配はないだろう。

「Local Cuisine」と謳いながらもメニューにはピザが多いので「マルゲリータ」とローカルビールを注文する。
しかし、残念ながら、このピザはかなりイマイチだった。

ツァブタット始発ドゥブロブニク行きの路線バスは全部10番。
バスターミナルまでの料金は4ユーロだった。
途中、旧市街の近くに停車するが、前日に私が利用した8番のバスよりもバス停から旧市街までの距離は離れているようである。

そしてバスは切符売り場のおばさんが言った通り、45分でバスターミナルに到着。
私は1時間あまり、ここでエスプレッソを飲みながら時間を潰さなければならなかった。
本当ならば1時間後のバスで十分に間に合っていたわけだが、旅先では何事も早め早めにが鉄則。
まあ、仕方なかっただろう。

絶景の宿「ホテル・ツァブタット」を選んだのは間違いではなかったけれど、絶景は飽きるのも早い。
無理にドゥブロブニクに泊まらずに、旧市街を少し見たらすぐ、その日のうちにボスニアに向かってもよかったと思わなくもなかった。