<吉祥寺残日録>トイレの歳時記🌸七十二候「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」、雨上がりの井の頭公園は極楽のようだった #210330

今日は七十二候の「雷乃発声」。

「かみなりすなわちこえをはっす」と読み、春の発雷が鳴り出す頃という意味だという。

東京は日曜の夜に大雨が降ったようだが、寝ている間のことなので雷が鳴ったかどうかは確認できていない。

でも、昨日の朝起きて外を眺めると、今年最初の「花筏」が井の頭池に浮かんでいた。

一晩のうちにこれだけの桜が散ったのだ。

この光景を見て、朝食後さっそく散歩に出かけることにした。

井の頭池の端っこ、「お茶の水」の泉付近に花びらが集まっていた。

井の頭公園の桜は先週満開を迎えたばかり、この雨で桜はどうなっただろう?

桜の海を1羽の水鳥が泳ぐ。

オオバンだろうか?

この日は5月並みの暖かさ、半袖の上に一枚はおる程度で寒くない。

3月としては異例の高温が続いた今年。

猛烈な勢いで春が通り過ぎていく。

日に日に変化する雨上がりの井の頭公園を一回りしてみた。

草の平面で、夜に降った雨粒が輝いていた。

この草は、「クサヨシ」というイネ科の植物らしいが、やっぱり雨上がりは気持ちがいい。

雨で散った桜の花びらに蝶が止まっているのを見た。

花びらの付け根に蜜があるのか、それとも水分を求めているのだろうか?

風雨によって地面に落とされた「オトメツバキ」の花。

枯れ葉の中で咲くピンクの花は、不思議な生命力を発していた。

この日、雨上がりの井の頭公園を歩きながら、まるで「極楽」のようだと私は感じた。

ソメイヨシノのピンクとイロハモミジの黄緑が絡み、そのバックに広がる青空。

それは私が一年で最も好きな季節だった。

公園内で一番早くソメイヨシノが満開を迎えた「ひょうたん橋」の周辺も散った桜の花で水面がピンクに染まっていた。

井の頭公園が極楽になる一瞬を私は楽しんでいると感じる。

1日経つごとに季節は進み、夢のような後継はあっという間に消えていくのだろう。

七井橋周辺のソメイヨシノはほとんど散っていない。

ボートからの桜はまだしばらく楽しめそうだ。

吉祥寺駅へとつながる階段はすっかり新緑に覆われていた。

ほんの1週間前にはまだ冬の装いだったのが嘘のようだ。

多くの人たちが桜の写真を撮る中、私は一人新緑の樹木や地面に芽生えた草花の写真を撮りながら歩く。

「井の頭公園の植物」を2021年のテーマに決めて調べ始めて3ヶ月。

今ではかなりの植物を見分けることができるようになった。

今のお気に入りは、こちらの葉っぱ。

「ミズキ」の若葉である。

井の頭弁財天の正面に立つ「ミズキ」の大木はまだ新緑が始まったばかり。

もう少し葉が成長した段階で、「井の頭公園の植物」で記録する予定だ。

極楽めぐりの最後として、西園の桜を見に行った。

19種類の桜が植えられた西園の「文化交流広場」で、今の旬はセンターに枝を広げたソメイヨシノ。

見事な桜だが、花見客は驚くほど少ない。

大きなソメイヨシノの裏側には、白いオオシマザクラ。

今が見頃の極楽がここにある。

一足先に花を散らした早咲きの桜には、すでに葉が茂り、小さな実もできていた。

葉にも実にも、生まれたばかりの瑞々しさがみなぎっている。

人間で言えば、無限の未来が広がる青少年のようだ。

その時、桜の上に飛行機が・・・。

青い空に一本の白い線がまっすぐ伸びていく。

井の頭公園が「極楽」に見えた春の1日。

雷雨が花を全部散らす前に、1日でも長くこんな「極楽」を楽しみたいと思う。

醍醐寺

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