<吉祥寺残日録>岡山二拠点生活🍇 マイナンバーカードのミス続発の最中、農地の相続を農業委員会に届け出る #230620

政府が普及を急ぐマイナンバーカードで相次いでミスが発覚している。

野党はもちろんメディアも連日この問題を大々的に報道していて、岸田政権の支持率にも大きな影響が出ているようだ。

しかし、マイナンバーカードの問題はこうしたミスの問題ばかりを報道していていいのだろうかと私は疑問を抱いている。

全ての国民に番号を振り当てて行政を効率化しようという試みは世界中の先進国で導入されている。

たとえば、福祉先進国として知られる北欧を見ると、スウェーデンでは1947年、フィンランドで1962年、デンマークで1968年、ノルウェーで1970年に国民識別番号が導入された。

この番号をもとに住民登録や税務、社会保障が行われ世界トップクラスの福祉サービスを提供してきたのだ。

もちろん北欧だけではない。

アメリカでは1936年に社会保障番号が、イギリスでも1948年に国民保険番号が導入され、お隣の韓国でも1962年には住民登録番号制度が始まった。

ところが日本ではどういうわけか国民識別番号の導入が進まなかった。

1960年代、佐藤政権時代から行政の効率化や脱税防止の観点から研究が始まっていたが、「国民総背番号制度」と呼ばれて各方面から反対の声が巻き起こり、何度も導入が見送られてきた。

そんな日本でようやくマイナンバーの導入が決まったのは2016年のことである。

国民1人1人に番号を割り当てるという単純な政策が先送りされた結果、日本の役所はいつまで経っても紙と印鑑の世界に留まり、世界で進むデジタル化の流れから完全に取り残された。

それによって生き残った非効率で縦割りの官僚組織の問題が誰の目にも明らかになったのがコロナ禍だった。

今日相次いで明るみに出ているマイナンバーカードに関する誤登録などのミスも、システムを作った業者の問題は確かにあるとはいえ、その原因の大半は人力に頼った旧来型のお役所仕事に起因するものである。

野党やメディアの中には政府が掲げる紙の保険証の廃止に異議を唱える向きもあるようだが、いつまでこの非効率な行政機能を維持するつもりなのだろうか?

日本のお役所仕事でミスが出るのは当たり前、期限を決めてそれまでのミスを正していき職員の技量を高めていく以外に道はないのだ。

高齢者の不満を理由に、これ以上、日本国民をアナログの世界に押しとどめるような促す報道は言語道断、あまりにも無責任だと元テレビマンとして強く言いたい。

さて、そんな世界の潮流から取り残されたような日本国内の議論の中、私は相続の関係でこのところ役所にたびたび出入りするようになった。

妻がとにかく几帳面でせっかちなものだから、昨日も農地の相続を届けるため農業委員会というところに初めて行った。

岡山市の農業委員会は岡山市役所の7階にある。

エレベーターを降りると省エネのため電気を消しているのだろう、廊下が妙に暗い。

日本のお役所ではこうして電灯を暗くしていかにも省エネに努めていることをアピールしているのをよく見るが、そんなことをするよりも無駄な公務員を削減した方がずっと経費削減になるだろうと私はいつも思う。

農業委員会の部屋に入り、農地の相続をしたので届出に来たことを伝える。

妻はあらかじめ電話をかけて、届出が必要だと言われて私を引っ張ってきたのである。

しかし対応した職員は実にのんびりしていて、結果から言えば農業委員会に届けても届けなくても、不動産登記をちゃんと行っていれば次の年には名義変更が反映される仕組みになっていることがわかった。

農業委員会というところは、農地が勝手に転売されたり地目が変更されていつの間にか農地で無くなってしまうことを防ぐことを重要なミッションにしているらしい。

だから、私のように農地を相続してそのまま農地として管理する人間にはほとんど関心が払われないのだ。

農地の乱開発は困るけど、そもそも農業委員会という組織、本当に必要なのかと疑う。

日本には無駄な行政機関があまりに多い気がする。

役所の窓口に行くたびに、驚くほど能力の低い公務員に遭遇する。

彼らはどうでもいいような瑣末なことにだけ精通し、社会常識に著しく欠ける印象を受ける。

マイナンバーカードをめぐる混乱は、変化を嫌い長年ぬるま湯に浸かってきた日本の行政機構の無能ぶりを白日の下に晒しているのだ。

デジタル弱者の高齢者がマイナンバーカードに困惑するのは理解できるが、彼らの意見に引きずられて遅ればせながら一歩を踏み出した国民識別番号の取り組みがストップしてはならない。

マイナンバー制度を入り口に行政改革が進んでいけば、今回のようなお粗末なミスも減り、公務員の質もきっと向上していくことだろう。

<吉祥寺残日録>岡山二拠点生活🍇 法務局に行って伯母の不動産の相続登記を自分たちで行なった話 #230603

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