昨日から降り続いた大雨がようやく上がった。
台風2号から吹き込む湿った空気が梅雨前線を刺激して、四国から近畿、東海、関東と相次いで線状降水帯が発生、各地に記録的な大雨をもたらした。

線状降水帯が東海道新幹線に沿って居座ったため、東京〜名古屋間では今日の正午まで運転見合わせが続き、途中駅で身動きが取れなくなって列車内で夜を明かした人も多かったようだ。
幸い私はこの2日間全く予定がなかったので、家でのんびりと過ごすことができた。
これも隠居の特権。
働く皆さんにはご苦労様と声をかけたいと思う。

さて、3月に伯母が亡くなり私が相続することになった岡山の古民家と農地だが、木曜日のゴルフ中に法務局から電話がかかってきて不動産登記が無事に終わったと伝えられた。
今日はこの相続にまつわる不動産登記の経緯を書いておくことにする。
相続の登記というと通常司法書士などの専門家にお願いすることが多いのだが、今回は妻が妙に張り切って自分で手続きをしてみたいと言い出した。
人一倍ケチな妻のことなので、司法書士さんに支払うお金がもったいなかったのだろうが、もともとこうした細かな作業が好きなのかもしれない。

まず最初に行ったのは裁判所での遺言書の検認。
2通の遺言書が残っていたという特殊な事情については以前このブログで書いた通りだ。
その結果、伯母が長年住んでいた家と耕作していた農地については私が単独で相続することが確定し、その翌日には岡山市の法務局を訪ねて登記に必要な手続きを教えてもらった。
提出する書類は以下の通り。
- 登記申請書
- 伯母の遺言書
- 相続関係説明図
- 所有不動産の住所地目などが掲載された書類(納税通知書)
- 伯母の除票
- 伯母の生まれてから死ぬまでの戸籍謄本
- 私の住民票
- 私の戸籍謄本
- 収入印紙
妻はこれらの書類を全部揃え、わからないことがあれば電話で問い合わせながら、わずか数日で準備を整え郵送した。
私がしたことといえば、署名と妻が作った書類のチェックぐらいだ。

登記費用は相続する不動産の価値によって決まるらしく、法務局に相談に行った際、担当の職員の人が丁寧に計算してくれた。
土地の用途によって計算式が異なるらしく、私の場合は合計で3万5000円だった。
郵便局で金額分の収入印紙を購入しそれを白紙に貼り付けて提出したのだが、一体いつまで収入印紙というものが使われるのだろうと時代錯誤の印象を受けた。
「ChatGPT」などのAIやデジタルトランスフォーメーションという言葉が日常的に使われる昨今だが、行政手続きをしようとすると昔と変わらぬ紙とFAXの世界である。
とはいえ、デジタルが得意とはいえない妻にとってはそうしたアナログ的な手続きの方がやりやすかったようで、郵送した書類は間違いを指摘されることもなく受け付けられ無事に登記が終了したのだから文句を言ってはバチが当たる。

こうして伯母が長年暮らした築100年の古民家は晴れて私の所有物となった。
伯母が残してくれたお金を使って、畳や襖、障子の張り替えを業者さんにお願いすることにした。
本当は伯母がまだ元気だった頃にやってあげたかったのだが、頑固な伯母は私たちの申し出を拒み続けて結局生きている間に家をきれいにしてあげることができなかった。
今更ながらではあるが、残された子孫が気持ちよく泊まれる家に整えておけば、みんなが別荘のようにこの家を利用してくれるかもしれない。
子孫はみんな岡山から離れているが、時々でもこの家に帰ってきてくれれば、この家を守ってくれた伯母の供養にもなるだろう。
親族を代表して私が相続したものの、ここはみんなの故郷なのだ。

張り替えのために襖を全部外してみると、4つの部屋が一つにつながり、広々して明るい印象に変わった。
普段は薄暗い奥の部屋にまで光が差し込み、このままにしていた方が気持ち良く暮らせるようにも思える。
とはいえ、今の季節はいいが夏は暑くて冬は寒い。
せっかく付けたエアコンを効かそうと思ったら、元のように襖で仕切るほかはないだろう。
伯母から受け継いだ築100年の古民家をどのように今の時代に合わせていくのか?
いろいろアイデアは浮かぶのだが、まだこれだというほどの決定的なプランは決まらない。
でも、焦ることはない。
時間をかけて楽しみながら、妻と二人で少しずつ居心地の良い家に変えていければいい。
相続を終えた今、私はそう思っている。
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