<吉祥寺残日録>宮城・福島で震度6強!地震、戦争、そしてポストコロナ時代へ #220317

東北地方の沖合で再び大きな地震が起こった。

地震が起きたのは昨夜11時36分ごろで、宮城と福島で最大震度6強を記録した。

震源は福島県沖で深さは約57キロと深い。

マグニチュードは7.4と推定され、太平洋プレートの内部で発生した破壊が原因と見られている。

東日本大震災の震源域と重なるため、巨大地震によってたまった歪みが影響している可能性が高い。

この地震の影響で、東北新幹線下りのやまびこ223号が福島〜白石蔵王間で17両中16両が脱線した。

乗客80人にケガはなかったが、東北新幹線は一部区間で運休が続いている。

脱線だけでなく、新幹線の橋脚が強い揺れで破壊されているところもあり、東北新幹線の全面復旧までにはしばらく時間がかかるかもしれない。

東北自動車道も路面に亀裂が走ったり、法面が崩れている箇所もあり、11年前の東日本大震災の際、東京から送り出した取材チームが北陸経由の大回りで現地入りしたことを思い出した。

深夜に起きたこの地震、2分前にも最大震度5弱の地震が同じ場所で起きたらしく、東京でも震度3〜4の揺れを感じ、東京電力管内で210万戸という大規模な停電も起きたという。

私は岡山にいたため全く揺れを感じなかったが、私たちが住む吉祥寺のマンションも一時停電になったそうだ。

ちょうどマンションの耐震診断をおこなっているところなので、住民の防災意識も一段と高まることだろう。

この地震によって、すっかりすっ飛んでしまったが、昨夜は重要なニュースが目白押しだった。

地震が起きる4時間半前、岸田総理が記者会見を行い、いくつかの重要な発表を行った。

一つは、ウクライナ侵略に対する日本政府としての新たな措置の発表だった。

その柱となるのが、ロシアに対する最恵国待遇を撤回するという内容である。

アメリカがいち早く打ち出した最恵国待遇の撤回にG7諸国と共に追従する形だが、これによってロシア製品には高い輸入関税がかけられることになる。

岸田総理は、「ロシアの暴挙は歴史に刻むべき非道な行為だ。断固糾弾する」といつもよりも強い口調で市民への攻撃を続けるロシアを非難した。

連日トップニュースだったウクライナ情勢も、地震の影に隠れる形になった。

ゼレンスキー首相がNATO加盟を断念する考えを表明し、停戦交渉の進展に期待が高まってきた。

ウクライナ側の交渉団は「ロシアの姿勢が軟化してきた」と明かにしているが、そう簡単には進まないのではないかと私は考えている。

南部のマリウポリから送られてくる写真を見ていると、日に日に悲惨さが増している印象で、表面的な和平の動きとは裏腹にロシア側に手を緩める気配は全く感じられない。

軍事侵攻から3週間となる16日には、マリウポリ中心部の劇場をロシア軍が空爆。

この施設にはおよそ1200人の市民が避難していたという。

ウクライナから国外に逃れた避難民の数もついに300万人を超えた。

そのうちの半数は子供たちだ。

隣国だけでは対応できず、日本を含めて多くの国がウクライナからの難民受け入れを表明している。

市民たちが発信する戦争の惨禍を目の当たりにして各国の世論がいつになく難民受け入れに寛容になっていることが背景にあるのだろう。

それは大変結構なことではあるが、個人的にはシリアやミャンマーの難民との待遇の違いが気になって仕方がない。

こうした中、ウクライナのゼレンスキー大統領が、アメリカ議会でオンライン演説を行った。

イギリス、カナダなどで議員たちに直接訴えてきたゼレンスキー大統領は、アメリカの議員たちに対して「真珠湾を思い出してください」と語りかけた。

一国のリーダーがオンラインで議会演説を行うというのもまさにコロナ禍がもたらした世界の変化と言えるだろう。

ウクライナが仕掛けるデジタル戦争の新たな手法だ。

ゼレンスキー大統領は今日ドイツ議会でもオンライン演説を行い、日本に対しても同様の議会演説を行うことを求めているという。

果たして、ゼレンスキー大統領の直接の訴えがアメリカの世論を変えるだろうか?

バイデン大統領は、ウクライナの求める飛行禁止区域の設定には応じないものの、8億ドルの追加軍事支援を発表。

地対空ミサイルの「スティンガー」のほか、「神風ドローン」とも呼ばれる「戦術的無人航空機システム」の供与も含まれるという。

これに対しロシア側は、残虐さで知られるチェチェン共和国の独裁者ラムザン・カディロフ首長と彼の私兵をウクライナに送り込んだ。

プーチン大統領に忠誠を誓うカディロフ首長は、力でチェチェンの独立運動を抑え込み、ロシアからの全面的なバックアップを受けて独裁体制を築き上げた。

この市街戦やテロに精通したチェチェンの部隊はシリアの内戦でも活躍、反プーチンの活動家の暗殺にも関与したという荒くれどもだ。

ロシアは、内戦で疲弊したシリアでも志願兵を募集していて、市街戦に長けたシリア兵もウクライナに送り込まれようとしている。

リビアの内戦では、ロシアとトルコが共にシリア兵を前線に送り込み、シリア人同士が敵味方に分かれて戦うという悲劇を演じたばかりだ。

こんな状況で、とても停戦などあり得そうにない。

私はそう考えている。

岸田総理の会見のもう一つの柱は、新型コロナ対策について。

21日が期限となっている「まん延防止等重点措置」を一律で解除する方針を発表したのだ。

さらに・・・

「今後しばらくは平時への移行期間とし、最大限警戒しつつ、可能な限り日常生活を取り戻す期間とする」

と述べ、ポストコロナ時代への移行を進める考えを表明した。

据え置きとなってきた「GO TO トラベル」事業については、4月1日から「県民割」を地域ブロックに拡大する方針を明らかにし、全国展開についても検討していくと述べた。

地域ブロックということは、私の場合は関東地方の旅行については「GO TO」が使えるようになるということだと思うが、やはり全国でないと利用価値はそれほど高くはない。

それでもコロナとの付き合いももう3年目を迎え、みんなそれなりに付き合い方も身についてきているので、そろそろインフルエンザ並みの扱いに変わってくれることは歓迎だ。

ただお隣の韓国では1日の感染者数が60万人を超え、「ゼロコロナ政策」を続ける中国でも深圳が都市封鎖されるなど感染が拡大しているということなので、まだしばらくは思いっきり羽を伸ばすわけには行かなそうだ。

ポストコロナということで言うと、アメリカのFRBがコロナ後初となる金利引き上げをおこなった。

コロナ禍による異例のゼロ金利政策から脱却する大きな転換点である。

市場の予想通り、政策金利を0.25%引き上げ、今年は7回、来年は3〜4回引き上げるとのシナリオを明らかにした。

コロナバブルと呼ばれる金余りで値上がりを続けてきた世界のマーケットが、今後は徐々に引き締めに向かっていく。

すでにコロナ後を見据えてインフレが始まっているが、ロシアによるウクライナ侵攻によって、エネルギーや食糧を中心にさらなるインフレ圧力が高まる中での利上げ開始となった。

果たしてどんなポストコロナ時代がやってくるんだろう?

この複雑な状況を受けて、いつもながらに能天気なマーケットは大きく値を上げた。

つい数日前まで2万5000円を割り込んでいた日経平均は890円の急騰。

ウクライナで停戦が実現しそうだというのが買いの材料だというのだが、果たして思惑通りになるのだろうか?

アメリカの利上げが続いていけば、新興国からマネーがアメリカに逆流するのではないか?

バブル崩壊を免れて、世界経済を軟着陸できるとは私には信じられないのだが、果たして・・・。

<吉祥寺残日録>2997ドルNY大暴落 #200317

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