<吉祥寺残日録>テレビ討論会で露呈したバイデンの高齢問題!トランプ再登場と同時に世界中で進行する民主主義の崩壊 #240629

あの悪夢のようなトランプ大統領の復活はあるのか?

それを阻止できる唯一の候補者のはずだったバイデン大統領は、注目のテレビ討論会で支持者たちをがっかりさせた。

どんな討論会だったのか?

日本経済新聞から引用しておこう。

27日に開かれた米大統領選テレビ討論会の第1回は民主党のバイデン大統領が不明瞭な発言を繰り返し苦戦した。有権者からの高齢不安が一段と強まる可能性がある。

開始から10分ほどたった時だった。「我々はついにメディケア(高齢者向け公的医療保険)を破壊する」。バイデン氏は医療制度を拡充したと誇示するときに数秒言葉をつまらせ、言い間違えた。

すかさずトランプ氏は「彼は正しい。メディケアを破壊しようとしている」と責め立てた。不法移民を念頭に米国に「数百万、数千万の人が入ってきて社会保障を壊すだろう」との主張を展開した。

バイデン氏は序盤から声がかすれ、精彩を欠いた。CNNが討論直後に発表した世論調査によると、共和党のトランプ氏が勝利したとの回答は67%、バイデン氏は33%だった。

2期目を全うすれば86歳になるバイデン氏の年齢に焦点が当たった。司会者が世界でもっとも過酷な仕事に耐えられるかとただした。

バイデン氏は自身が連邦議会の上院議員に初当選した当時に触れ「当選したのは史上2番目の若さだったが、今は私が最年長だ」と直接答えず、雇用増などの実績に話題を変えた。

トランプ氏は自ら認知機能のテストを受けたと明かし「(バイデン氏も)受けてほしい。あなたは(クリア)できない」と断じた。78歳のトランプ氏は攻める姿勢を崩さなかった。

米大統領は世界最強の軍事力を持つ米軍の最高司令官で、戦争の遂行や核兵器を使う最終判断を下す立場にある。かねて失言や記憶違いを繰り返してきたバイデン氏の認知力に改めて懸念が広がる可能性がある。

引用:日本経済新聞

バイデン大統領は現在81歳。

過去に例のない高齢が当初から懸念されていたが、民主党はバイデンに代わる候補者を擁立できないままトランプとの一騎打ちになだれ込んだ。

バイデン大統領はこの日の討論会に備えるため、数日間キャンプデービッド山荘に籠り準備をしていると報じられていた。

ところが、いざ蓋を開けてみると現職の余裕を感じさせる場面は全くなく、むしろ頭に血が上った老人のような目つきでトランプを睨むシーンが目立った。

討論会終了後、英BBCは『民主党、追い込まれる 討論会でのバイデン氏の様子に懸念』という現場からのリポートを配信した。

ジョー・バイデン米大統領の陣営は、ドナルド・トランプ前大統領との討論会が終わったら、一気に攻勢に出るつもりでいた。

しかし実際には、むしろ追い込まれてしまった。

陣営を応援して代弁する民主党関係者たちは27日夜、討論会会場の近くに設けられた報道対応部屋の片隅で、多くの記者に取り囲まれた。報道陣は口々に、81歳のバイデン氏を大統領候補から外すべきではないのか、討論会での様子から大統領として適任なのかの懸念が前より高まったのではないかと、民主党関係者に矢継ぎ早に質問した。

90分間の討論会でバイデン氏は元気がなく、時に口ごもり、風邪のせいで声はしわがれていた。

そのため民主党関係者はただちにパニック状態に陥り、記者団はバイデン陣営が今後どうやって立ち直るのかとひっきりなしに尋ねた。

有権者はバイデン氏の年齢を気にしており、それはこの日の討論会の重要なポイントだった。そして、討論会での大統領の様子は、決してバイデン氏を助ける材料にはならないと、熱烈なバイデン支持者たちも認めている。

バラク・オバマ元大統領の2008年選挙運動を担当した民主党の戦略家デイヴィッド・プラフ氏は、「デフコン1状態」だと話した。「デフコン1」とは、最も深刻なレベルの核戦争の脅威を意味するアメリカの軍事用語だ。

「今夜のふたりはまるで、年齢差が30歳もあるみたいに見えた」と、プラフ氏は言う。実際には4歳と離れていないのだが。「この討論会を受けて、有権者はそこに本当に悩むと思う」。

しかし、民主党がバイデン氏以外の誰かを党の候補に指名する可能性は低い。現職大統領で、本選までに数カ月しかない。そして、別の候補を擁立する手続きは大混乱するはずで、そうすれば11月の本選での勝率がおぼつかなくなる。

引用:BBC

討論会から一夜明けた28日、バイデン大統領は支持者を前に「この選挙に勝利するつもりだ」と述べ、選挙戦を継続する意向を表明した。

しかし、バイデン氏が負った傷はそう簡単に癒えるものではないようだ。

反トランプの急先鋒でありリベラル派に大きな影響力を持つ有力紙「ニューヨークタイムズ」が、バイデン氏に大統領選からの撤退を促す社説を掲げたのだ。

見出しはズバリ「米国のためにバイデン氏は選挙戦から去るべきだ」。

バイデン氏が討論会で2期目の目標をうまく説明できず、トランプ氏のうそや失敗の責任を追及できなかっただけでなく、自身の話を終わらせることもできない場面があったと指摘したうえで、アメリカのため、自らの高齢による衰えを認め、共和党のトランプ前大統領に勝つために自分より有能な人物を民主党候補に選ぶ手続きを始めるべきだと主張した。

バイデン氏の失態により、討論会を優位に進めたトランプ氏だが、その発言は相変わらず嘘だらけで内容のない絶望的なものだった。

自身の大統領任期の最後に起きた議事堂襲撃事件についても自らの非を認めず、滔々と持論をまくし立てる姿は4年前と何も変わっていない。

民主主義の根幹である選挙結果を根拠なく否定し、過激な支持者たちを扇動し、違法な暴力によって自身の地位を守ろうとした人物が4年後に再び大統領選挙に出馬するとはまさに世も末である。

そして対抗馬が認知症で自滅して、再び超大国のトップに立つ可能性が高まったのだ。

そういえば、先日ちょっと面白い世界ランキングが発表された。

フィンランドの知能テスト機関「Wiqtcom(ウィクトコム)」が、世界109カ国でIQテストを実施し、「2024年世界で最も知的な国ランキング」を発表したのだ。

その結果、アメリカはなんと77位、平均以下という不名誉な順位となったのである。

世界一の超大国アメリカは陽気でパワフルな国ではあるが、確かに決して知的な印象はない。

ノーベル賞受賞者をたくさん輩出し、世界最高のIT技術を有しているように、知的な人材を多く抱えていることは否定できないものの、多くのアメリカ人はスポーツとジャンクフードをこよなく愛する楽観主義者というイメージが強い。

トランプさんを熱狂的に支持する岩盤支持層はまさにそうした人種が大半で、厄介なことに白人優越主義とキリスト原理主義が色濃く染みついている。

では、この調査で「世界で最も知的な国」1位に輝いた国はどこか?

ちょっと意外かもしれないが、私たちが住むここ日本である。

ヨーロッパの方が知的なイメージが強いとはいえ、日本人が平均的に頭がいいことはなんとなく感じていた。

飛び抜けて頭がいい人が多いわけではないが、明らかに理解力に欠ける頭がおかしい人というのも少なく、国家が強権で国民を縛らなくても一定の常識が機能している世界でも稀有な国だと私は思っている。

ところがである。

現在選挙戦が繰り広げられている東京都知事選挙は、そんな日本人の頭の良さを否定するような無惨な様相を呈している。

吉祥寺駅前に設置されたポスターの掲示板を見ると、周囲をぐるりと同じ政党のポスターが占領していた。

お騒がせ男、立花孝志氏率いる「NHKから国民を守る党」のポスターである。

選挙に出たい人を公募して都知事選に24人を立候補させた「NHK党」だが、ポスターに映るのは候補者ではない若い女性たち。

別の掲示板には犬の写真なども貼られているというから、当選が目的ではなく、最初から話題集めのために選挙を利用しているということらしい。

SNSや動画配信が普及して、アクセス数を稼げば金儲けができる仕組みができてからは、何でもいいからネットで話題になる目立つことをしようという輩が選挙を利用するようになった。

誰でも選挙に立候補できること自体はいいことではあるが、選挙の趣旨を逸脱した行為は迷惑以外の何者でもない。

落選した人は供託金300万円を没収されるが、その金額で世間にアピールできて注目を集められれば安いと考える人も増えているのだ。

選挙の供託金は本来、売名や泡沫候補を排除する目的で設けられているはずなのだが、もはや抑止効果は無くなってしまった。

おかげで選挙ポスターを貼る掲示板の枠が足りなくなるという前代未聞の事態となっていて、これが「世界で最も知的な国」日本の実態なのである。

今、世界中の民主主義国家で、同時多発的に民主主義が危機に瀕している。

フランスでは先に行われたヨーロッパ議会選挙で極右政党が躍進したが、危機感を感じたマクロン大統領はこのタイミングであえてフランス議会を解散し総選挙という賭けに出た。

フランス革命以来の民主主義の伝統を持つ国民の良識を呼び起こそうと考えたのだろうが、どうも大統領の思惑通りには行きそうにない。

若きリーダーとして颯爽と登場してから7年、マクロン大統領は年金の受給年齢引き上げなど国民に痛みを強いる改革も信念を持って断行してきた。

世論調査は与党の大敗を予想していて、英誌エコノミストは社説で次のように選挙結果を分析している。

「マクロン氏はフランスのために良い仕事を成し遂げたが、すべてをリスクにさらしてしまった。国民議会選後、右派と左派のポピュリストが中道の大統領の足かせになる恐れがある」

マクロン大統領が行った議会解散を受けて、フランスの株価は大きく下落、国債も売られた。

躍進が見込まれる極右も左派も、国民ウケのいいバラマキ政策を公約に掲げ、選挙後に財政の悪化が見込まれるからだ。

民主主義は独裁者が支配するが専制主義よりはいいけれど、有権者が賢くなければ危険なポピュリストが権力を握る危うさを宿命的に背負っている。

ヒトラーも民主的な選挙を経て権力を握ったし、独裁国家でも選挙の体裁をとりつつ独裁者が権力を維持していることが多い。

要するに、民主主義を正常に機能させるためには、知的な有権者と自分を律することのできる候補者が必要なのである。

バイデンさんには、民主主義の見本となる行動を取ってもらいたい。

周囲の説得を無視していつまでも運転免許を返納しない高齢ドライバーのように有権者から見られれば、民主主義を破壊しようとしたトランプ氏のことを批判できなくなってしまう。

アメリカには、民主主義陣営の盟主として、第一次大戦後に国際連盟の創設を提唱したウィルソン大統領のような新たなビジョンを持った高邁な大統領を選んでもらいたいものである。

そうでなければ、民主主義国家は目先の利益ばかりを追求するポピュリストたちに占領され、やがては強いリーダーを求める世論に推され、独裁者が支配する国家と国家が対立する危険な世界に舞い戻ることになるだろう。

とても重大な岐路に私たちは立っているのだ。

<吉祥寺残日録>トランプ氏に有罪評決!それでも揺るがぬ岩盤支持層の実態を描く戦慄のドキュメンタリー #240531

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