今日から二十四節気の『雨水(うすい)』。
「降る雪が雨に変わり、雪解けが始まる時期」というような季節ではあるが、東京では今年ほとんど雪は降らず、北海道では数年に一度の猛吹雪、日本海側は広範囲で大雪に見舞われた。
同じ季節といっても、場所場所でその進み方は大きく違う。

「雨水」の初候は『土脉潤起』。
にわかに読めない漢字だが、我が家のカレンダーには『どみゃくうるおいおこる』とルビがふられているものの、一般的には『つちのしょううるおいおこる』と読むらしい。
「暖かな雨に土が潤い活気づく頃」という意味で、昔から農耕の準備を始める目安とされてきたそうだ。
そこで、私も井の頭公園をひと回りして、何か活気づいているものはないかと探してみた。

若い時には、2月って一年で一番寒い季節という印象を持っていたが、こうしてぶらぶら公園を歩いていると、1月に比べて日差しが暖かくなっているのを感じる。
とはいえ、「土が潤い活気づく」というほどの変化は感じられない。
それでも、無理やり探してみると・・・

落ち葉の間からじわじわと草が生えてきている。
これも、「活気づく」に当てはまるだろうか?

「ジンチョウゲ」からは、赤い蕾が出てきていた。
春になれば、白い花が咲くだろう。

井の頭池の東端にある小さな「ひょうたん橋」。
橋桁に当たる日差しも、心なしかちょっと暖かそうに感じる。

そして、キャリーバッグを杖代わりに歩くお婆さんたち。
ゆっくり歩くその後ろ姿も、「活気づく」のうちに入れてもいいかもしれない。
さて、春の兆しということで言えば・・・
昨日から日本でも始まったコロナワクチンの接種。
いま最も「活気づく」ニュースと言ってもいいかもしれない。

ファイザー製のワクチンについては、まず最初に、医療従事者4万人に対して先行接種が実施される。
医療現場の安全性を高めるとともに、接種後の経過を報告してもらって日本人に対するワクチンの影響を確かめる狙いもあるそうだ。
医療機関の中でも最初に接種が行われたのが、東京目黒にある「国立病院機構東京医療センター」。
しかし、昼ニュースを見ていて、個人的にちょっと気になることがあった。

ワクチン接種の第1号が、なぜかこのおっさんだったのだ。
イギリスでは高齢のおばあちゃん、アメリカでは黒人の看護師さんが第1号だった。
このおっさんは医療センターの院長らしいのだが、「この人って重症患者の治療を行ってる人?」と思わずツッコミたくなってしまった。
この病院には800人のスタッフがいるそうだが、この日の接種はわずかに12人分だけ。
それならば現場でコロナと戦っている医師や看護師が最優先であり、第1号は重症患者の世話をしている看護師さんというのが常識的なイメージだろうと元テレビマンとしては思うのだ。
何と言っても、最初の接種者の映像は後々まで繰り返し使われるのだ。

病院では、ワクチンを接種する12人を、医師3人、看護師5人、検査技師2人、事務員2人に割り振ったという。
事務員2人というのも謎だが、院長はおそらく医師枠なのだろう。
私がもし院長だったら、12人全員を現場の医師や看護師にした上で、最初の接種者には第1号にふさわしいストーリーのある看護師さんを選んだだろう。
「まず、院長からどうぞ」と誰かに言われたのかもしれないが、限られたワクチン、お偉いさんは後回しでいい。
しかもこの院長さん、厚労省や文科省で課長を務めた厚労省の医系技官と同姓同名、これも個人的には気になっている。
単なる私の思い込みかもしれないが、何か怪しい!
森さん問題と同じ臭いを感じ、ちょっと嫌な気分になった。

とはいえ、ワクチンへの期待はやっぱり高い。
私も順番が回ってきたら、すぐにでも打ちたいと思う。
懸念されるのは、海外に頼らざるをえないワクチンの供給体制。
国内ワクチンの舞台裏を取材した番組も見たが、国内ワクチンはこれから臨床試験を始める段階であり、当面はまったく期待できそうもない。
ここは政府や自治体に頑張ってもらって、なるべくスムーズにワクチン接種が進むよう国民も協力するべきだろう。
メディアには、あまり無用な不安を煽らずに、国民が粛々と自分の順番を待てるようポジティブな報道を心がけて欲しいものだ。
ワクチンによってコロナが過去のものとなり、社会が1日も早く「活気づく」ことを願いたい。
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