2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。
今回は井の頭池の南岸で見つけた大きな落葉樹を2つ。
「ムクノキ(椋)」

ボート場に渡る狛江橋の南端、遊歩道脇に1本の巨木がそびえている。
名札は付けられていないが、とても目立つ気になる木だった。

周囲に他の樹木がないため、のびのびと枝を伸ばして悠然と立っている。
この木の名は、「ムクノキ」。
同じく巨木となる「エノキ」や「ケヤキ」と同じ「ニレ科」の落葉高木だそうだ。

その幹はとても太く、「いのけん」という井の頭公園の検定本によれば、「公園内で最も太い樹木」なのだそうだ。
幹周りが3メートル59センチあるという。

根元はひだの様になっていて、四方に張り出した根は「板根」状となり、不思議な力強さを感じさせる。
『その雄大な樹形や異形となりがちな幹の様子から天然記念物や御神木とされることも多い』というのも納得だ。

葉っぱが落ちた冬場に、この木を見分ける目印となるのが樹皮。
「ムクノキ」は短冊状に樹皮が剥ける。
「エノキ」は剥けず、「ケヤキ」は円形に樹皮が剥けるのだ。

狛江橋から遊歩道を西に歩くと、池のほとりに何本も「ムクノキ」が並んでいる。
グリーンアドベンチャーのプレートも設置されていて、『葉の表面はいちじるしくざらつく』と書いてあった。
「椋」の葉は、表面がざらざらしていて、昔は乾燥させて紙やすりの様に使ったらしい。

個人的には、やっぱり「ムクノキ」のたくましい根が好きである。
「ムクノキ」 分類:アサ科ムクノキ属 特徴:落葉広葉樹・高木 花が咲く時期:4〜5月 実がなる時期:10月
井の頭公園の「ムクノキ」はここ!

「トチノキ(橡)」

こちらは、井の頭公園駅の方向に歩いた遊歩道脇にそびえている立派な樹木。
幹が真っ直ぐに伸びる樹形の美しい高木である。

この木には、しっかりと名札がついていた。
『トチノキ』は、日本固有の落葉高木で、「栃の木」とも表記され栃木県の県の木ともなっている。
パリの街路樹として有名な「マロニエ」は『セイヨウトチノキ』とも呼ばれる近縁種である。

成長した「トチノキ」は、ゴツゴツとした樹皮を持つ。
材木としては柔らかくて加工しやすく、「栃杢(トチモク)」と呼ばれる美しい木目が人気で、家具や臼、特にそば粉を練る木鉢として愛用されてきた。

またこの季節には、枝の先に1センチほどの大きな冬芽が出るのが特徴で、冬芽を覆う粘液は生薬にも使われたそうだ。

晩夏から初秋にかけて、栗に似た大きな実をつける。
「トチノキ」の実は、タンパク質が豊富で、縄文人たちの重要な食料となっていたと考えられており、大昔から日本人の暮らしを支えた大切な樹木だったのだ。
「トチノキ」 分類:ムクロジ科トチノキ属 特徴:落葉広葉樹・高木 花が咲く時期:5〜6月 実がなる時期:10月
井の頭公園の「トチノキ」はここ!

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