今年の夏は、とにかくクソ暑い!
今月4日に岡山に来てからは嫌になるくらいずっと猛暑日が続き、聞けば先月の25日以降1日も掛けることなく35度以上の猛暑日が続いているというではないか。
「晴れの国」を自称する岡山でもこんなことは過去に例のない異常事態である。

ところが昨日19日、ついに猛暑日の連続記録がストップした。
宮古島の南方で発生した台風9号から湿った空気が日本列島に流れ込み、四国の太平洋岸に大雨をもたらすとともに、その残党が岡山も雲で覆ったため最高気温が32度に届かなかったのだ。
7月25日から8月18日まで続いた岡山市における猛暑日の連続記録は25日でストップすることとなった。
これまでは岡山県高梁市で記録した24日間というのが日本記録だったらしいので、その記録を更新したわけだ。
ただ何事も上には上がいるもので、今年は全国各地で高梁市の日本記録はとっくに破られていて、福岡県の太宰府市では32日も猛暑日が連続していて今も記録更新中だという。
文句なく、今年の夏は日本人がこれまで経験したことのないクソ暑い夏ということになるのだ。

このクソ暑い夏、岡山での私の日常はといえば、限りなく単調なものだった。
朝6時前後には畑に行き、伸び放題の雑草を少しずつ草刈機で刈る毎日。
熱帯夜とはいえ朝のうちはまだ多少涼しく感じるものの、1時間も作業すると全身汗びっしょり、無理しない程度で草刈りを切り上げて、家に戻ると風呂場に直行し水風呂に飛び込む。
もうこんなに暑くては、熱いお湯をバスタブに入れる気にもならず、夕方限りなく水に近いぬるま湯を風呂に溜めておくと翌日には適度な水風呂になっているというわけである。
水風呂から上がり朝食を済ませると、冷房を効かした部屋で横になり、録画したオリンピックやドラマ、大リーグ中継などを見て過ごす。

夕方になると、畑を回って作物に水やり。
それぞれの畑には容量90リットルのポリバケツやもっと大きなバスタブを水桶として置いてあるので、通常であれば家からそう頻繁に水を運ぶ必要もないのだが、なんせ1滴の雨も降らず、連日雲ひとつないかんかん照りが続いたのでは、こんなポリバケツではどうしようもない。
朝たっぷり水を撒いても、夕方になればもうカラッカラ。
ナスもサツマイモも葉がだらりと萎れてしまい、そのまま放っておけば枯れてしまうほどの惨状を目にすることになる。
仕方なく20リットル入りのポリタンク4つに水道水を満たし、車で畑に運ぶ作業を強いられた。
20リットルの水といえば重さにすると20キロ、それを毎日のように運ぶ仕事はそれなりに骨が折れる。

こうして毎日朝晩欠かさずせっせと水を与えたため、我が家の夏野菜たちはとりあえずこの猛暑を生き延びて、たくさんの果実を私たちにもたらしてくれた。
スイカ、カボチャ、ゴーヤ、ナス、パプリカ、シシトウ、大葉、バジル、そしてトマトとキュウリ。
これに備蓄しているタマネギやジャガイモ、ニンニク、さらに冷凍しておいたエダマメを加えると、滞在中ほとんど野菜を買うことなく日々の食事を賄うことができた。
しかも自家製の野菜は無農薬で味が濃く美味しいのだ。

中でも上出来だったのが、去年まで失敗続きだった大玉トマト。
ブドウ棚の下に植えたのが良かったのか成功の理由は定かではないが、今年植えた4株とも順調に育ち、適度な周期で真っ赤な実を与えてくれた。
特に岡山に到着した日には熟した実がいっぺんに10個以上も採れたので、完熟トマトを使った自家製トマトソースを作ってみることにする。

私も調理に参加するつもりだったが、テレビを見ている間に妻はさっさとトマトソースを作ってしまい、私が台所に行った時には鍋の中に綺麗な色のソースがすでに出来上がっていた。
水は一切入れず、トマトとニンニクだけで仕上げた自家製のトマトソースである。
これだけの完熟トマトはなかなかスーパーでも手に入らないだろう。

早速パスタにトマトソースをかけて食べてみる。
調味料はそれぞれの好みで。
私はフランス製の塩とオリーブオイルを加えて自分好みの味に整える。
食べると爽やかな酸味が口の中に広がった。
実に美味い。
余ったトマトソースは冷凍して後日いただいたが、嬉しいことに爽やかな酸味は失われてはいなかった。

カボチャも思いのほか美味しく出来上がっていた。
放っておくと一つの苗から四方八方に蔓を伸ばし気がついた頃には畑いっぱいに成長していたカボチャ。
マニュアル的には脇芽を摘んで蔓や実の管理をしなければならないようだが、カボチャは生命力が旺盛なので人間様が水やりなどしなくても自分で水分を吸い上げて枯れることもなく所々に大きな実をつけているのだ。

しかも、この実が想像以上にきめが細やかで味が良い。
カボチャ好きの妻は早速、収穫したばかりのカボチャを使って煮物を作ったりポタージュを作ったりした。
とても美味しいと喜んでいる。
自家製のカボチャが大いに気に入ったらしい。

ただし、今年はあまりに放置していたため、カボチャの周囲は背の高い雑草に覆われてしまい、どこに実があるのかわからなくなってしまった。
そのため大きく育ったカボチャを見つけて収穫しようと思ったら、すでに先客に半分食べられていたということもあった。
おそらくイノシシの仕業だろう。
硬い皮を食い破られたカボチャは虫たちの格好の餌になっていた。
これではとても食べる気にはなれない。
それ以降、カボチャを見つけたらネットで覆いをして獣から守るようにしていたのだが、私が発見できないまま草の茂みに隠れていたカボチャは例外なく何者かによって齧られてしまった。

しかし、こんな暑く短調な夏も盛りを過ぎようとしている。
夏野菜のシーズンも終わり、そろそろ秋冬野菜の準備を始めなければならない。
ずっと放置してあったカボチャの周りの草を刈り、収穫を終えたカボチャは根元から抜き取った。
雑草に覆われていた畝も草刈りをした上で、ビニールのマルチを外す。
これが案外厄介な仕事で、何ヶ月にもわたって成長した雑草の根がマルチの薄いビニールを突き破り、コンクリートのように硬くなった土とほとんど一体化してしまっており、なかなかマルチを剥ぎ取ることができないのだ。
比較的剥がしやすい畝の中央部を最初に破いた上で、周辺の土に埋まったマルチの端っこは大きなスコップで掘り起こしながら少しずつ取り除いていく。
マルチごと耕耘機で耕してしまえば簡単なのだが、人工物であるビニールは雑草と違って土に帰ることはない。

こうして一つの畝からマルチを除去して、耕耘機を入れられる程度に土を掘り起こしただけでもう息も絶え絶え。
とても日雇いの野外作業などできたものではない。
知らぬ間に私の基礎体力も相当衰えているらしい。

そして、昨夜から今朝にかけて待望の雨が降った。
庭で咲き誇っていたサルスベリが雨に打たれて下を向いている。
この雨で少し畑の土も柔らかくなればいいのだけれど・・・。
猛暑日が終わり気温が30度ぐらいに下がれば、日々の作業ももう少し捗るようになるだろうと、久しぶりに太陽のいない曇り空を眺めながらぼんやりそんなことを考えた。