<きちたび>パナマの旅2024🇵🇦 Uber、地下鉄、バス、タクシーを使ってパナマシティを巡ってみた

いつものことながら、今回も完璧な時差ボケで、夜中の0時過ぎにパナマシティのホテルでブログを書き始めた。

ロサンゼルスからパナマに入ったのは、4日の午前中。

パナマの航空会社「コパ航空」の飛行機に乗るのは初めてだが、機体は思いのほか新しい。

しかしスタッフも乗客も大半がラテン系の人たちなので、深夜の出発は大幅に遅れ、乗り込む乗客たちもなかなか座らないので機内への乗り込みもすごく時間がかかった。

ラテンの人たちは昔から変わらない。

イライラしても馬鹿らしいだけである。

でも朝食に出たチュロスがめちゃくちゃ美味しくて、一気にコパ航空の株が上がった。

日本ではほとんど知られていないこの航空会社もラテンアメリカでは中核的なエアラインらしく、ハブ空港としてパナマを経由することは今後もあるかもしれない。

しかし、コパ航空の欠点は出発24時間前のオンラインチェックイン開始がいい加減で、しかもその段階でも座席指定が有料だということだ。

所詮数十ドルのことだがそのセコイ姿勢に共感できず、取りたかった窓際の席を断念した。

その結果として、パナマ地峡と呼ばれ古くからカリブ海と太平洋を繋ぐルートとして栄えたパナマの地形を上空から確認することが叶わなかったのは残念だった。

それでもパナマ到着の直前、には左右の窓から海がちらりと見えて、この場所に世界の大動脈パナマ運河が建設された意味を理解した。

パナマの玄関口である「パナマ•トクメン国際空港」に到着したのは、予定より10分遅れの午前10時半ごろだった。

出発の遅れを途中でかなり取り戻したらしい。

いかにも結果オーライのラテン流である。

パナマを訪れるのは45年ほど前、学生時代に休学してラテンアメリカをぐるりと回った時以来だ。

あの時の印象は最悪で、治安が悪くて街を歩くのもちょっとヤバい感じ、やっぱりアメリカの影響下にあるとこんなになってしまうのかと、他の中南米諸国とは少し違う空気を感じたことを覚えている。

だから降り立った空港がとても綺麗で、明るい印象だったのは意外だった。

もうあれからほぼ半世紀が経っていることを実感する。

パナマ入国は日本とのビザ免除協定はないものの、入国税5ドルが航空券に含まれる形で、観光で訪れる日本人は事実上ビザなしで入国が認められる。

しかし荷物は全てX線検査を受ける必要があり、入国手続きには結構時間がかかった。

パナマにはバルボアという自前の通貨単位があるのだけれど、1ドル=1バルボアの固定制で、実質的には米ドルが流通している。

だから空港で両替する必要はない。

カリブ海共通のeSIMがありがたいことにパナマでも繋がった。

ホテルのチェックインには早いので、荷物を持ったままパナマ運河に行くことを考えてGoogleマップで検索すると、バスを乗り継いで1時間半もかかるらしい。

車の3倍時間がかかるのも面倒だが、全ての荷物を抱えたまま歩き回るのは治安的な心配もある。

試しにUberを試したところ、パナマでも使えるみたいなので、一旦ホテルに荷物を預けてから、公共交通機関を使って運河見物に出かけることにした。

Uberで予約したホテルを指定して配車を依頼すると、スズキの小型車に乗ったいかにもラテン系のおじさんがやってきた。

タクシーだとホテルの場所を伝えるにも一苦労、さらに料金交渉で無駄なエネルギーを割かなければならないので、やっぱり配車アプリはありがたい。

高速道路を10分余り突っ走ると、予想もしない高層ビル群が見えてきた。

ここがパナマシティの中心部のようだ。

半世紀の間にすっかり街並みも変わってしまったようである。

私が予約していたホテルに到着したのは、午前11時45分ごろ。

空港から約25分ほど走って、代金は20ドルほどだった。

幸いすぐに部屋を用意してもらえて、部屋で一休みしてから出かけることができたのはラッキーだった。

寄り道せずにホテルに直行したのは大正解だったということだろう。

貴重品を金庫に入れて部屋を出たのは1時間後。ま

ずはホテルから歩いて数分の地下鉄の駅に向かった。

地下鉄「パナマメトロ」は2014年に最初の区間が営業を開始した後、少しずつ駅や路線を増やしているみたいで、路線図にはトクメン空港という駅が書かれているけど、そんな表示、空港では見かけなかった。

パナマでは地下鉄やバスに乗る時、こんな交通カードが必要らしいのだが、ここで思わぬ問題が発生した。

最寄りの駅でカードを買おうと思ったら、駅員さんが誰もおらず、設置されている券売機はスペイン語のみ。

他の乗客に聞こうとしても英語が全然通じなくて要領を得ない。

やっと英語を話す若者を見つけるとなんとモンゴル人だった。

4年前に家族と一緒にパナマには来たという17歳の青年はとても親切で、私のために券売機と格闘してくれたのだが、1台は壊れていて、もう1台は新しいカードが買えないチャージ専門の機械だという。

じゃあ仕方ないから地下鉄を諦めようと思っていると、カードが買える別の駅まで自分のカードを使って一緒に行こうと言ってくれた。

あまりに熱心に言ってくれるので、お言葉に甘えて地下鉄の終点で私の目的地でもある「アルブロオク駅」まで付き合ってもらう。

車両はバルセロナメトロと同じものが導入されているらしく、ヨーロッパの洗練されたデザインを感じさせる車両だ。

渋滞がひどいパナマでは多少値段が高くても地下鉄を利用する人も多いようで、ちゃんと空港や運河に繋がれば観光がしやすくなるだろう。

ターミナル駅である「アルブロオク駅」にはさすがにカードを買える機械が置かれていた。

でもたった1台だけ、その他のチャージ専用機も半分は故障している。

でも、怒る人もおらず、みんなそんなもんだと思って暮らしているのだろう。

この青と黒の機械がカードが買える奴で、2ドル入れてカードを買い、あとは好きな金額をチャージして利用する。

ドル紙幣が使えることになっているが、受け付けてくれないお札も多くて、機械のせいなのかお札のせいなのか、何から何まで日本とは違う。

こうして無事にカードをゲットした私は、親切な若者にここまでの料金を渡して別れた。

パナマ運河の代表的な観光スポット「ミラフローレス・ビジターセンター」は、カードを購入した地下鉄の駅から陸橋で繋がれたバスターミナルから出発する。

ミラフローレス行きのバスはいくつかの路線で運行されているようだが、代表的なバス乗り場は「Bahia D」と書かれた場所だ。

この路線は外国人の利用が多いため、はっきりと「Miraflores」と買いてあるので、そのバスが来るまで気長に待つしかない。

このバスでまた不可解な出来事に遭遇した。

バス停でだいぶ待ってようやくミラフローレス行きのバスに乗り込んだのだが、ターミナルを出発してまもなく運転手が急にスピードを緩めて路肩にバスを停めた。

どうしたのかと思ったら、誰かと電話している。

これまた、ラテンあるあるだと思って笑っていると、バスはなんとUターンしてまた元のターミナルに戻ってしまったのだ。

何の説明もないままに再び同じバス乗り場で客を乗せ始める。

中には降りていく客もいるが、ほとんどの客は慣れた様子でそのまま座って出発を待っている。

最初はバスが壊れたのかと思ったが、どうやらそういう緊急事態ではないらしい。

しかし日本人からすれば、緊急事態でもないのにバスが客を乗せたままUターンしてターミナルに戻る方が異常だと感じてしまう。

でもこうして日本では経験できない珍事と遭遇するのもまた、海外旅行の醍醐味なのである。

こうして結局40分ほどバスターミナルで待ったのち、ようやく目的地であるパナマ運河に向かった。

途中、車窓からコンテナやクレーンが見えてきた。

あの向こうに運河が通っているのだろう。

走り出してしまうと、なんということもなく15分ほどでビジターセンターに到着した。

この建物は、運河の水位を調整する「ミラフローレス閘門」を間近に見られるように作られた比較的新そうな施設で、壁には「IMAX」の文字。

運河を見る目的で来たのに映画館じゃないかと一瞬迷ってしまう。

でもここがビジターセンターの入口だと確認できて、今度は入場するための長い行列に並ぶことになった。

ビジターセンターの入場料は大人17.22ドル(約2550円)とちょっと高めだが、この入場料にはIMAXの料金が含まれていることを後で知った。

ちなみに、パナマの市民だと大人料金が3ドルになるそうで、私は現地人にも見えるらしく、執拗に国籍を尋ねられた。

入場料を買ってエスカレーターを上がると、そこはまるでTOHOシネマズのようだった。

先にIMAXを見てから実物の運河を見るという流れらしい。

しかしすでにいろいろあってお疲れモードだったので、IMAXはパスしてミラフローレス閘門だけを見ることにする。

ところが、運河が見下ろせる観覧スペースに行って驚いた。

真正面にひな壇が設けられ、そこで座って閘門が開閉したり船がゆっくり通過する様子が見られるはずなのだが、もう展望スペース全体に人が溢れて身動きできないほどの混雑になっていたのである。

まじ? 嘘だろう?

予想もしなかった状況だった。

人の頭越しにようやく運河と船が見えた。

みんな閘門が開く瞬間を見に来ているのだから、最前列の人たちは動く気配はなく、1時間半という工程をこの状態で眺めるのはキツいと感じた。

昔パナマに来た時にパナマ運河に来たかどうか記憶が定かではないが、高低差を越えて船を通行させる閘門の仕組みはこれまでにも見たことがある。

わざわざこんな混雑した日に見なくてもいいだろうと判断し、写真だけさっさと撮ってこの場を後にすることに決めた。

人をかき分け、場所を変えながら何枚か写真を撮ったが、この日一番面白かったのは、運河そのものではなく、運河を見に訪れる人がこんなにいるんだという発見であった。

私は一般に人混みが嫌いだけれど、こういう予想外の場所にできた人混みには面白さを感じてしまう。

ただ、旅はまだ始まったばかり、こんなところで長居は禁物である。

ビジターセンターから逃げるように出てきた私を見つけてタクシーの運転手たちが声をかけてきた。

最初はバスに乗るつもりで無視していたのだが、この後行くつもりのパナマ旧市街「カスコ・ピアへ」に行くならタクシーの方がいいかもと思い直した。

バスだとまた途中で乗り換えて、最寄りのバス停からもかなり歩かないといけないらしい。

しかも周辺には治安の悪い地区が広がっていて大使館からの注意を出国前に目にしていたからだ。

15ドルという運転手を10ドルに値切りタクシーに乗り込む。

タクシーといっても白いオンボロなワゴン車で、明らかに白タクのようである。

おそらく正規料金は5〜6ドルといったところなんだと思うが、疲れてくるとそんなことをケチって疲れを出すのは馬鹿らしくなる。

こうして10ドル払って連れてきてもらった旧市街は、予想よりずっと魅力的な街だった。

中心の独立広場を取り囲むように、歴史あるカセドラルや運河博物館など風格ある建物が立ち並んでいる。

一歩路地を入ると、カラフルな住宅が並ぶ庶民の街。

路地で遊びまわる子供たちや生活感あふれる女性たちが観光客の目を気にすることもなく普通に暮らしている。

ベランダに美しい植栽をおどこしている家も多い。

本当ならば、この界隈をゆっくり歩いてみたいと思うのだけれど、時差ボケと睡眠不足、さらに運河で人あたりもしてしまったので、ホテルに戻って休んだ方がいいと感じた。

やっぱりこういう時に歳を感じる。

なんとなく地下鉄の最寄駅を目指して歩き始める。

ところどころ、ちょっと雰囲気の良くない路地もあり、スマホや財布に注意しながら足早に海の方向へ歩く。

すると、海岸線の向こう側にあの高層ビル群が現れたのだ。

旧市街から望む新市街はまるで蜃気楼のように見えた。

一つの湾を挟んで向かい合う新市街と旧市街。

海から生まれ、海と共に生きてきた街である。

カリブ海への経由地として今回はさほど重視しなかったパナマ、案外面白い国かもしれないと思えてきた。

結局最後はまたUberを使い、旧市街からホテルまで戻ることにした。

モンゴル青年の善意で手に入れた交通カードも、結局一回バスに乗っただけで終わってしまった。

Uberの代金はチップを入れて6ドルちょっと。

シニアの旅にはやはりUberがいい。

パナマを回ってみて、改めてそう再認識したのである。

コメントを残す