🇮🇹イタリア/ボローニャ 2018年8月
去年プラハで泊まったコンドミニアム「スタジオ・カレル・モスト」もすごいロケーションだったが、今年イタリアのボローニャで宿泊したコンドミニアムもすごかった。
「パラッツォ・バンキ・ホールディス・アパートメンツ」
それが、この夏私がボローニャで泊まったコンドミニアムの名前だ。

締め切られていた寝室の窓を開けた時には、思わず声が出た。
すごい。
目の前にボローニャの赤い屋根瓦と教会のドームが迫る。「サンタマリア・デッラ・ヴィータ教会」。

眼下には食の都ボローニャの人たちが「クアドリラーテロ(四辺形)」と呼ぶ歴史あるエリアが広がり、レストランや食料品店が軒を連ねる。

一方、リビングの窓から西を見ると、ボローニャ旧市街のど真ん中、観光客が真っ先に訪れる大観光地マジョーレ広場に面している。

正面に見えるのは市庁舎(コムナーレ宮)、左手はサン・ペトロニオ聖堂。
つまり、このコンドミニアムは、ボローニャ中心のものすごい場所に位置しているのだ。
《参考》 ボローニャの宿泊先は下のバナーから検索
ただ、ここにたどり着くまでには、いささかの苦労があった。

ライアンエアーでマルタからボローニャに着いたのは、朝10時ごろだった。
コンドミニアム前での待ち合わせは午後3時。どこかで時間を潰す必要がある。

空港から街までは空港バス「Aerobus」を利用する。

料金は片道6ユーロ。ボローニャ中央駅行きだが直行ではなく、途中いくつかのバス停に停車する。

荷物置き場が完備されていて、乗車時間は20−30分というところだ。

終点の中央駅に着くと、そのまま駅構内にある荷物一時預けのカウンターへ直行した。

ここでスーツケースを2個預ける。料金は後払いだが、5時間以内なら1個6ユーロだ。
ちょっと高いといえば高いが、スーツケースを置いて身軽になった私たちは歩いて目的地マッジョーレ広場へ向かった。

駅から広場までは、歩いても20分ぐらいの距離だ。
マッジョーレ広場にそびえるサン・ペトロニオ聖堂。焦げ茶色の外壁が独特で、いかにもイタリアという巨大な教会だ。14世紀から17世紀にかけて建設され、今も未完成なのだという。
朝ごはんを食べていなかったので、まずは広場に面したビストロでランチを食べる。
妻は「アスパラガスのリゾット」(8ユーロ)。

私は「トルテッリーニ・クリームソース」(10ユーロ)。
この指輪状のパスタ、トルテッリーニはボローニャ発祥のパスタなのだそうだ。

そして、私は生ビール、妻はコーヒーを注文した。
私は満足だったが、妻はあまりお気に召さなかったようだ。塩辛いのだそうだ。

食後、マッジョーレ広場に面したインフォメーションセンターを訪れた。
ボローニャの地図をもらい、ついでにコンドミニアムの場所を確認しようと思ったのだ。ネット予約したコンドミニアムの予約票を見せて、「これはどこだ?」と聞いてみると、意外な答えが返ってきた。
「この予約票には正確な住所が書かれていないので、わからない」というのである。
私は、このコンドミニアムをBooking.comで予約したのだが、いつものように日本語と現地の言葉の両方でプリントアウトして持参していた。慌てて、日本語の予約票を確認すると住所の欄には「Different locations in Bologna」と書いてあるではないか。
「ボローニャ市内のいろんな場所」
確かにこれではわからない。困った。ただ、予約票の地図はマッジョーレ広場の東側を示している。この辺りのはずだ。
仕方なく、地図を頼りに、マッジョーレ広場周辺のお店で聞き込みを始めた。コンドミニアムの名前を告げても、誰も知らない。ホテルと違い、個人所有の部屋を貸すコンドミニアムの場合、住所がわからないと見つけるのは至難の技だ。
数日前にコンドミニアムの管理者からメールが届いていたのを思い出した。そこに書かれていた番号に電話してみた。
男性が電話に出た。名前を告げ、すでにマッジョーレ広場にいると伝えると、「空港に着いたら連絡してくれとメールしたはずだ」とちょっと困った様子で答えたうえで、「15分で行くから入り口の前で待ってて」と言う。私が「住所がわからない」と伝えると、メールしてくれることになった。
しばらくすると、スマホにメッセージが届き、住所とともに「同僚のアンナが15分で行く」と書いてあった。
まだ午後1時だ。約束の時間より2時間も早い。
届いた住所をお店の人に見せて、場所を教えてもらうと、扉の前に女性が立っていた。アンナだ。
チェックインは3時からと言われていたが、ドタバタが幸いして予定より早く宿に入れることになった。アンナは流暢な英語で私たちを案内してくれた。その応対は、とてもプロっぽく、好感の持てるものだった。
それでは、改めて私たちがボローニャで宿泊した「パラッツォ・バンキ・ホールディス・アパートメンツ」をご紹介しよう。

コンドミニアムの入り口は、マッジョーレ広場から「VIA CLAVATURE(クラヴァトゥーレ通り)」を10mほど東に入った所にある。本当に、広場からすぐだ。

人々が集まるカフェの手前、2人の子供が腰をかけている所がコンドミニアムの入り口だった。

専用鍵を使って路地に面した木の扉を開けると、いきなり階段があった。それを上がったところが、エレベーターホールだ。

エレベーターで4階まで上がる。そこには、入り口からは想像できない光景、ボローニャの街が目の前に広がった。

玄関を入ると細長いリビングルーム。15畳ぐらいはありそうだ。
奥にキッチンがあり、ダイニングテーブル、ソファー。テレビにCDプレーヤー、机や椅子もある。

リビングの隣には、2つのシングルベッドが置かれた寝室。
こちらのベッドルームは西向きで、マッジョーレ広場に面している。

一方、東向きにも寝室がある。
こちらはキングサイズのベッドが1つ置かれていて、窓からは冒頭にご紹介した教会が見える。

見えるというよりも、手を伸ばせば届きそうな距離だ。ドームの向こう側には、ボローニャの斜塔が見える。
本当にすごい、部屋だ。

バスルームも2つある。
バスタブがある方と・・・

シャワー室だけのもの。
どちらにもトイレがあり、どちらからも教会のドームが眺められる。

冷蔵庫やオーブンレンジはもちろん、食洗機も付いている。

食器や調味料も揃っていて、食材だけ買ってくればある程度の料理はできる。
中でも食用油が置いてあったのは助かる。現地で買うとどうしても余ってしまうので、我が家ではいつもバターで代用していた。

おまけに玄関の外には、洗濯機が置かれた小部屋があり、洗剤も用意されていた。
専業主婦である妻は、キッチンや洗濯機を見ると明らかに強い興味を示す。日本でいつも使っている家電とは違う外国製品に興味津々だ。早速その夜、溜まった洗濯物を洗っていた。

チェックインを済ませ、鍵を受け取るとすぐにバスに乗って中央駅まで行き、スーツケースをピックアップした。
場所探しに手間取ったことを考えると、スーツケースを預けたのは正解だった。

食料の買い出しを済ませて部屋に戻ると、マッジョーレ広場に雨が降り出した。
家事をしている妻を横目に、私はというと窓から見える景色に魅了され、滞在中暇さえあれば写真を撮っていた。

この夏の旅行で、初めての雨。ほっとする。年を取ってから、雨が好きになった。
濡れた石畳も、風情があるものだ。

大聖堂の大きなシルエットが目の前に広がる。教会の壁まではほんの100mほど・・・。
何と贅沢な眺めだろう。

ボローニャ滞在2日目。
この日の夕方は、快晴だった。西日がドームを照らす。

ボローニャの斜塔・・・

赤い瓦屋根も順光で見ると、やはり色が鮮やかだ。

反対側の窓から覗くと、マッジョーレ広場に夕日が差し込んでいた。

窓からの日差しが部屋の奥まで入り、洗濯物を乾かしてくれる。

午後7時20分すぎ、夕日が市庁舎の塔に隠れてしまった。
夕日を撮影しようと、狙っていたのに・・・と思った次の瞬間だった。

市庁舎の塔の小窓から太陽が顔をのぞかせた。
何という偶然・・・。
太陽は、小窓の左上から徐々に右下へと動いている。
これは、ぴったり重なるのではないか?

そして、午後7時25分。
太陽は、小窓の真ん中、低めの位置に見事に重なった。
こんなことがあるのか? 建物の高さ、そして角度・・・。

おそらく、この部屋にいる人だけが見ることのできる、光。
まさに“奇跡の瞬間”である。

次の瞬間、今度は一筋の光が広場に伸びた。

雲ひとつない夕暮れ。
さっきまで観光客で賑わっていたマッジョーレ広場から、みるみる人が消えていく。

そして、一刻一刻、人影が長く長く伸びていった。
日が落ちると、広場に灯がともる。
夏の夜、マッジョーレ広場では、野外の映画上映会が催されている。
まさに、私の大好きな映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の世界だ。

翌朝、5時ごろ起き出して、広場の周囲を歩く。
ボローニャを出発する飛行機が朝早いので、街でタクシーを拾えるかどうか下見をするのが目的だった。案の定、街には人影はなく、タクシーも一台も走っていなかった。
「さて、どうやって空港に行けばいいのか?」
そんなことを思案しながら宿に戻ると、まだ寝静まった街の中で、ひとつの窓だけ電気がついていた。路地をまたぐアーチ状の建物の4階だ。
そう、あの電気のついた部屋こそ、私たちが宿泊しているコンドミニアムなのだ。
なるほど、私たちはあんな所に泊まっているのか。
改めて、そのロケーションに驚いた。

部屋に戻り、東の空から朝日が昇るのを待つ。
この絶景を見られるのも、あと1日だ。
もともと4泊予約していたのだが、台風の影響で急遽飛行機便を変更したため、出発を1日早めざるを得なかった。

東の空が、少しずつ明るさを増してくる。
もうすぐ、日の出だ。果たして、太陽はどこから昇ってくるのだろう?
・・・・・・。

午前7時7分。
ボローニャの日の出。
やはり、昨日の夕日のような奇跡は起きない。

中途半端な位置から昇ってきた朝日を眺めながら、「まあ、こういうのが普通だよな」と思った。
自然は、人間の思いのままにはならない。
だからこそ、偶然目にする奇跡のような瞬間を、宝物のように感じるのだ。
イタリア・ボローニャ。
マッジョーレ広場に面する「パラッツォ・バンキ・ホールディス・アパートメンツ」。
素晴らしい宿だ。
料金は4泊で11万5000円。もし4人で泊まれば1人1泊1万円しない計算になる。
私たちは直前の予定変更で3泊しかできなかったので高くついたが、それでもこの宿を選んだことを後悔していない。とてもいい宿だった。
Booking.comの評価8.6、私の評価は9.4だ。
<関連リンク>
②旧市街のど真ん中マッジョーレ広場を見下ろす奇跡のコンドミニアムに泊まる
④世界で5番目に小さな国サンマリノは世界最古の不思議な共和国だった
<参考情報>
私がよく利用する予約サイトのリンクを貼っておきます。

はじめまして(^^♪
イタリアは何度か行きましたが、ボローニャは行ったことがないです。
綺麗な街ですね。フィレンツェに似てる??
素敵な写真に癒されます(^^)/