🔶「旅したい.com」より転載
<京都>4月は都をどり!美しい庭園と老舗の味を求めて京都・祇園を歩く
🇯🇵日本/京都 2017年4月 1泊2日
京都の花街といえば「祇園」。美しい街並みと洗練された伝統芸能が今も息づく祇園の街歩きについてまとめました。
穴場の庭園や伝統のグルメやお土産情報もどうぞ。
祇園甲部歌舞練場
京都出張の目的は、あるイベントを視察することでした。
会場は「祇園甲部歌舞練場」内にある「八坂倶楽部」でした。
祇園甲部歌舞練場は、祇園花街のど真ん中にそびえる和洋折衷の建物群。入口には赤い提灯が並んで独特の雰囲気を放出しています。
ここは祇園芸妓たちによる年一度の「都をどり」の専用劇場として1873年に開設された由緒ある劇場なのです。
歌舞練場の正面は満開の桜に彩られています。
右手の建物がイベント会場となる八坂倶楽部でした。
赤い提灯としだれ桜。
花街らしい趣ある光景です。
イベントは、4Kモニターを組み込んだ掛け軸など、伝統文化とテクノロジーを融合させた面白いものでしたが、展示以上に私の心に響いたのが、窓から見える素敵な庭園でした。
八坂倶楽部
祇園甲部歌舞練場の別邸「八坂倶楽部」から見るお庭。
それままるで窓枠で切り取られた美しい絵画のようです。
しかも絵の中心には、さりげなく桜が配されています。
窓から身を乗り出すと、すぐそこに満開の桜。
やはり自然にはかなわない、とは思いません。なぜならこのお庭も、人の手が作り出したものだからです。
ただ、このリアルなときめきを映像で置き換えるのは、やはり難しい。
庭に出てみました。
外国の方が2人、床几台の上であぐらをかきのんびり過ごしています。日本を訪れる外国人観光客もずいぶん増えましたが、こうした時間を過ごした人は間違いなく日本が好きになるでしょう。
庭から眺める八坂倶楽部と歌舞練場。
池の底は分厚い緑の藻で覆われ、その上を錦鯉が悠然と泳いでいます。
歴史ある建物を彩る鮮やかな桜。
若々しい新緑も私は大好きです。
思わず心がウキウキしてくる最高の季節です。
庭から戻ると、踊りの実演が始まります。
2人の芸妓さんが3曲披露してくれました。
祇園を歩く
時間が少しあったので、祇園の街を歩いてみました。
お茶屋さんが軒を連ねる美しい街並み。
さりげなく置かれている花にもセンスが光ります。
都をどりの提灯が家々の軒先に下がります。
4月の祇園は、都をどりの季節なのです。
2階を見上げれば、お揃いのすだれ。
清潔に保たれた細い石畳の路地。
エルメスの看板がかかったお店もありました。
高級ブランドも祇園だと違和感がありません。
今では多くの観光客で賑わう祇園の街の歴史を、ちょうどNHKの「ブラタモリ」でやっていました。
祇園の花街は元は四条通り沿いにあったそうです。
ところが、四条通りを市電が走ることになり、通り沿いでの営業が禁止されたため、その救済策として四条通りの南側に位置する今のエリアに花街だできたという話でした。
この土地はもともと建仁寺の境内でした。ところが明治時代の廃仏毀釈により境内の北側半分が政府に没収され、その土地が祇園の組合に払い下げられたというわけです。
するがや祇園下里
四条通りの北側にも行ってみました。
和菓子屋「するがや祇園下里」を訪ねたいと思ったからです。
四条通りの北側は、同じ祇園でも雑居ビルがごちゃごちゃしていてあまり風情がありません。
散々迷った末、ようやくお目当てのお店を見つけました。
「御菓子 豆平糖」と書かれた古い看板。謎のマークが入った入口の扉は閉まっていて何とも入りにくい雰囲気です。
「ここは本当に和菓子屋さんなのか? 営業しているのだろうか?」
恐る恐る扉を開けました。
店内は時間が止まったようでした。
その中に、ご主人がいます。
何も調べずにやって来た私は、「何があるのでしょうか?」と聞いてみました。
人の良さそうなご主人は、「こちらのものしかないんです」と恐縮して、茶色い棒のようなものと「大つつ」という黒い何かを薄皮せんべいで巻いたようなお菓子を出してくれました。
まったく見たこともないお菓子ばかりです。
こちらが「豆平糖」。ナイフで軽く叩いて割って食べるそうです。
硬いべっこう飴の中に硬い豆が入っているのですが、柔らかいものが好きな今の子供には食べられないでしょう。もちろん老人も無理です。
それでも、食べ出すと止まらない個人的には好きお菓子でした。
「大つつ」の中の黒いものはニッキの入った飴です。こちらもすこぶる硬い。まわりは牛乳せんべいのような味がします。香ばしさもあり良質な印象ですが、とにかく硬いのです。
昔の日本人は歯が強かったんだろう。ひ弱になった日本で、「するがや」はいつまで頑張れるだろうか。人のいいご主人の顔を思い浮かべながら、少し心配になって、2つとも買い求めて妻へのお土産にしました。
にしんそば 松葉
ランチも祇園の周辺で選びました。
四条大橋のたもとにある「総本家にしんそば 松葉」。南座の一角、創業150年を超える老舗そば屋です。
京都を代表する「にしんそば」は、ここの二代目が発案したそうです。つまり、この店こそがにしんそば発祥の地なのです。
一階の構えは、ちょっと安っぽい観光地の土産物屋のようです。
二階に案内されます。エレベーターもありますが、階段はタイル張りでレトロな味わいです。
二階に上がると二面に大きな窓が切られ、とても明るいお店です。
着物姿の女性たちが2組。町中に溢れている外国人観光客だろうと思って耳をすますと、どちらも日本人でした。
窓からは、四条大橋の交差点が一望できます。
鴨川のほとりで演奏するアンデスのフォルクローレの音色が店の中まで聞こえて来ます。京都はもはや多民族共生の街という印象です。
メニューには、にしんそばの由来が味わいのある挿絵とともに書かれていました。
外国人客が多いためか、メニューには写真がたくさん使われています。
にしんそばは1300円、ちょっと高いがうまそうです。
来ました。にしんそば。
ちょっと写真と違います。なぜか、にしんがそばの下に沈み込んでいるのです。
たったそれだけのことで、あまり美味しそうに見えなくなるものです。
見た目も大事。
それを強く感じさせてくれる祇園の街歩きでした。