<きちたび>人形町1泊2日の旅② 「室町砂場」の天ざると「いわ瀬」のからすみ大根

🔶「旅したい.com」から転載

<東京>人形町1泊2日の旅② 「室町砂場」の天ざると「いわ瀬」のからすみ大根

🇯🇵東京/中央区 2019年10月21日~22日 1泊2日

人形町に宿をとってのぶらぶら旅。

老舗蕎麦屋で夕食を食べ、路地裏のミシュラン居酒屋で一杯、翌日には日本橋の最新スポット「誠品生活日本橋」を訪れてみました。

やっぱり、日本橋・人形町界隈は魅力満載です。

室町砂場

日も暮れてきたので、夕食の店に向かうことにします。

妻が歩き疲れたというので、近くの都営新宿線浜町駅から地下鉄に乗り、馬喰町で乗り換えて、JR総武線快速の新日本橋駅に移動します。

駅を降りると、今年9月にオープンしたばかりの「コレド室町テラス」が目の前にありました。

しかし、ここは日本橋。

超高層ビルもあれば、昔ながらの名店も数多く残っています。

路地を一歩入ると、穴子料理の専門店「玉ゐ 本店」。

その先に、目指す老舗蕎麦屋「室町 砂場」がありました。

建物は新しいですが、創業は明治2年(1869年)です。

この店で夕食を食べると決めたのは、蕎麦なので値段が安いということに加えて、ここが「天ざる・天もり蕎麦」の元祖だと本で読んだからです。

「東京おいしい老舗散歩」という本の中には、こんなことが書かれていました。

<砂場>は、東京で最も古いお蕎麦屋さんの屋号です。起源は豊臣秀吉の時代にまでさかのぼると言われ、大阪城築城中の資材置き場<砂場>近くに出店したことに由来するそうです。

安原眞琴著「東京おいしい老舗散歩」より

お目当は、この店が発祥だとされる「天ざる」と「天もり」。

ただメニューには、こんな注意書きが・・・。

『一品料理の天ぷらとざる・もりのセットではございません。』

どういう意味か?

それは注文すればわかります。

こちらが、名物の「天ざる」(1600円)。

確かに通常想像する「天ざる」とはかなり違います。

蕎麦は冷たいせいろ。しかも真っ白な「さらしな」です。

ただし、そばつゆは温かく、中に芝海老と小柱のかき揚げが浮かんでいました。

これが、室町砂場では「天ざる」なのです。

一方の「天もり」(1600円)。

つゆは同じです。

「天ざる」との違いは、蕎麦が通常のせいろであることだけ。刻み海苔の有無で、「ざる」と「もり」を区別する常識はこの店では通用しません。

でも、どちらを注文しても後悔することはありません。

さすが150年続く老舗の味。文句なく美味しいです。

「室町 砂場」
電話:03-3241-4038
営業時間:
月~金 11:30~21:00(L.O.20:30)
土 11:30~16:00(L.O.15:30)
定休日:日曜・祝日

夜のお散歩

夕食後は、日本橋をぶらぶら歩いてホテルに帰ります。

再開発が進んだ日本橋室町地区のメインストリートは、大人っぽくライトアップされ、夜のお散歩にはもってこいです。

この地区の守り神として「徳福神社」が完成したのは2014年。

しかしその歴史は古く、武蔵野の村落である福徳村の稲荷神社として9世紀には鎮座していたという記録があるそうです。

江戸に入った徳川家康も何度かお参りしたと神社のサイトには書かれていました。

江戸情緒を再現した裏道を通って、ホテルへと向かいます。

路地の隙間から見上げる超高層ビルは、ちょっとニューヨークのようでもあります。

裏路地に潜む飲食店を眺めながら、ぶらぶら歩いて15分ほど、ちょうどいい腹ごなしになる夜のお散歩でした。

美酒味肴 いわ瀬

ホテルでテレビを見て、一休み。

妻をホテルに残して、夜の人形町を一回りすることにしました。

お目当はもちろん居酒屋です。

人形町交差点近くにあった「ダイアナ」という暖簾。

「大穴」と書いて「ダイアナ」だそうです。

それにしても、安いですねぇ。

大観音寺の裏手には、三船敏郎さんの看板を掲げた「ご馳走居酒屋 三船」。

メニューも豊富で、店内も賑わっているのが通りから見えます。

ここにしようかなと思ったのですが、その目の前に気になる路地がありました。

どうです?

狭い路地裏にポツンと灯る電灯。なぜか、惹かれますよね。

「美酒味肴 いわ瀬」。

ネットで調べると、この界隈でも有数の名店のようです。

ミシュランのビルグルマンにも毎年選ばれているというので、この店に入ってみることにしました。

和服姿の女将さんが取り仕切るお店で、常連さんらしき客が女将と楽しそうに話をしています。

店を開いて12−3年だそうです。

さすがミシュランに掲載されるだけあって、ただの居酒屋ではありません。

メニューを見ても、手の込んだ料理が並んでいました。

日本酒にしようと思い、新潟の「緑川」(1合 1000円)を注文すると、洒落たガラス容器に入って出てきました。

お猪口は江戸切子。

お通しも二品、いずれも見た目の綺麗でとても美味しい。

確かに、いいお店です。

料理は、「自家製からすみ大根」(1300円)を選びました。

出てきたからすみは予想外に厚切りで、ねっとりとした旨味が濃厚です。

正直、高価なからすみを食べたことはあまりなかったので知りませんでしたが、からすみを大根と一緒に食べるのはかなりポピュラーなようです。

一緒に食べると、からすみの塩味を大根の甘さと水分が中和してくれて、より美味しくいただけます。

これだけでお酒がかなり飲めそうですが、妻を待たせている手前、お酒は1合で終わりにしました。

ちょっと贅沢なお店ですが、お客さんを連られる一軒として、メモしておきたい素敵なお店でした。

「美酒味肴 いわ瀬」
電話:050-5596-9238
営業時間:17:30~22:30(L.O.22:00)
定休日:土日祝

歌舞伎座

翌朝、台風から変わった温帯低気圧が東京に接近しているということで、東京にははげしい雨が降っていました。

この日は、天皇陛下が即位を内外に宣明する「即位の礼」が行われるため、特別に休日とされました。

私と妻はチェックアウト直前まで、ホテルのテレビで儀式の模様を見ます。

雅子皇后が厳かに賢所に拝礼する様子を見届けて、ホテルを出発します。

外は雨風とも強く、とても散歩などできる天気ではありません。

人形町の駅に駆け込み、日比谷線で東銀座に向かいます。

妻が以前から見たがっていた歌舞伎座の幕見席券を入手するためです。

大雨なので、お客が少ないのではと期待していたのですが、どうしてどっこい、地下鉄を降りるともう人であふれかえっています。

さすが、歌舞伎座。

おばさま方に相変わらず大人気のようです。

歌舞伎座の正面に出ると、この日の午前の部は、ある会社の貸切になっていることがわかりました。

それでも私たちが買いたい一幕だけの幕見席は販売されるのですが、チケットの発売開始の30分以上前なのに、すでに長蛇の列ができています。

並んでも買えるかどうかわからないと言うので、あえなく断念することにしました。

無理して歌舞伎を見るよりも、今日は家で即位の礼を見た方がいいでしょう。

誠品生活日本橋

2日目の昼もどこかで食べたいと言っていた妻は、歌舞伎座の混雑を見てすっかり戦闘意欲を失ったようで、「家に帰る」と言います。

私はもう少し街をぶらぶらしたいので、ここで妻と別行動を取ることにしました。

向かったのは、銀座線で三越前駅直結の「コレド室町テラス」。

前の晩、「室町砂場」に行く時に見た、今年9月末にオープンしたばかりの日本橋最新スポットです。

建物の吹き抜けを、紺と白の伝統柄が施されたタイルが飾り、三井不動産らしいハイセンスな空間に仕上がっています。

買い物をあまりしない私がここを訪れたかったのは、2階に出店した「誠品生活日本橋」を見学するため。

台湾の大型書店チェーン「誠品書店」の日本初進出として注目されていますが、たまたまホテルで見た「ガイアの夜明け」で紹介されていたのです。

ワンフロアすべてを使った「誠品生活」は、もはや書店ではありません。

コンセプトは、台湾発の「くらしと読書のカルチャーワンダーランド」。

本はもちろん、雑貨や食品など、様々なオススメの品を取り揃えたハイセンスなセレクトショップといった空間です。

中心となるのは、台湾の製品。

こちらは、石鹸のようです。

食器もあります。

もちろん、中国茶もあります。

中でも開店前から一番の行列となっていたのは、日本初上陸の飲食店。

「誠品生活」はまさに、台湾文化の見本市のような場所です。

「富錦樹台菜香檳(フージンツリー)」。

台湾料理に革命をもたらしたと言われる台北の超人気店です。

B級のイメージが強い台湾料理を、シャンパンと一緒に楽しむ新しいスタイルに変えた店として有名で、繊細な中華料理がいただけるそうです。

ただ、台湾オンリーというわけではなく、日本橋や日本とのコラボも強く意識していて、日本の名品もたくさん扱われていました。

木村屋の限定パンもその一つでしょう。

そして本業の書店のコーナーも充実しています。

本国台湾の店では、床に座り込んで本を読み漁る人たちの姿が普通だという放送を見たばかりですが、さすがに日本では床に座り込む人はおらず、その代わりにきちんと本を読めるスペースが各所に用意されていました。

特徴的なのは、ジャンルごとに店の推薦を強く押し出していること。

「旅行推薦」のコーナーでは、台湾関連が目立ちますが、旅好きな私としてもちょっと手に取りたくなるような雑誌や本が平積みにされています。

「歴史推薦」のコーナーでは、こんな本に目が止まりました。

「世界の歴史大図鑑」。

450万年の人類の歴史を一冊にまとめた分厚い本です。ちょうど日本史、東洋史、西洋史を俯瞰的に概観したいと思っていた私の心にぐさりと刺さるタイトルでした。

値段は、3900円。

最近まったく書籍を買わなくなっていた私ですが、ついついこの重たい本を買ってしまいました。

これも、「推薦」の効果かもしれません。まんまと「誠品生活」の罠にはまってしまいました。

「誠品生活日本橋」
営業時間:10:00~21:00

2日目は雨のため、早めに切り上げて帰宅しましたが、なかなか充実した1泊2日の東京旅でした。

また街を変えて、どこかに泊まりに行きたいと思っています。

人形町の旅については、こちらの記事もどうぞ。

<東京>人形町1泊2日の旅① 「都寿司」のにもの丼と「新参者」めぐり、そして老舗の街にできた最新ホテル

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