今月はよく働いた。
ジャガイモ、タマネギ、サツマイモ、大根に人参、トウモロコシ、枝豆、里芋、生姜、トマトにキュウリ、ナス、パプリカ、カボチャにスイカにメロン、オクラ、シシトウ、春菊、ニラ、ネギ、ゴーヤ、大葉に赤ジソ、そして桃にスモモ。
いつの間にか、世話する作物がこんなに増えてしまった。
中でもこの季節、一番手がかかるのがブドウである。

成長中の房を一つ一つチェックして、混み合った粒を間引く摘粒という作業を行って房の形を整える。
ピオーネやシャインマスカットといった種無しのブドウにはジベレリン処理というブドウの房を薬品に浸す作業も必要になる。
どんどん伸びる枝も整理し、不要な副梢を取り除いていく。
さらに地面から生える下草の処理をして、害虫や病気からブドウを守るための最低限の農薬散布も行なわなければならない。
こうした作業は手間がかかるうえ、中腰で長時間行うので体に変な負担がかかる。

6月中にこうした作業を終わらせて、7月の初めに袋かけの作業を行うのが岡山では一般的だが、私たちは東京での用事があって明日には吉祥寺に戻らなければならない。
7月上旬は岡山にはいられないので、少し早めなのは承知の上で、帰京する前に袋かけまで済ませてしまうことにした。
まだ近所の農家さんは、露地栽培のブドウには袋かけは行っていないので、7月に行う何らかの理由があるのだろうが、袋かけが遅くなるよりも早い方がマイナスが少ないだろうと勝手に判断して、妻と二人、全部のブドウに一房一房袋をかけていった。

黒いピオーネには白い袋、マスカット系には黄色の袋をかける。
私たちのブドウ畑は家の前に残した小さなものだけなので、300〜400房程度だが、普通のブドウ農家は何万もの房に袋かけをするのだから、これまた一苦労である。
それでも、今年はカメムシが全国的に大発生し各地で被害も出ているようなので、さっさと袋かけをして少しでも被害を減らせるならば、それも一つの防衛策だと考えた。
これで人間がやる仕事はひとまず終わり、9月の収穫までは基本的にブドウの自然力に任せて見守るだけだ。

ブドウの作業が一段落しても、岡山を離れる前にやることはいろいろある。
妻は家の裏庭に自生した赤ジソを摘んできて、ジュースを作った。
赤ジソをお湯で煮立てて赤い液を作り、それに砂糖とお酢を加えて冷やすだけだ。
このシロップを水で薄めて氷を浮かべれば、さっぱりした夏の飲み物ができる。

次に岡山に戻ってくるのは2週間後。
庭や畑に咲いている花も、2週間の間に見頃を過ぎてしまいそうなものは摘み取って、2人の母にあげることにした。
庭のあちこちにバラバラに咲いている花もこうして集めると、なかなか豪華な花束になる。
一人暮らしの私の母も、老人ホームに入居している妻の母も、食べ物よりも花の方が嬉しいみたいでとても喜んでくれた。

収穫の時期を迎えたばかりの夏野菜は、小さいものまで残らず収穫する。
キュウリ、ナス、パプリカ、シシトウ。
今すでに実になっているものを放置しておくと、2週間後にはとんでもない「お化け」になってしまうからだ。
まだ小さいとはいえナスもパプリカも美味しく食べられるし、株には花がまだたくさん付いているので、次回来た時にはこの花が立派な実になっているだろう。
一番の問題はこれまで何度も失敗したキュウリだ。
キュウリは成長がとても早くて、花が咲いてから1週間で食べ頃のキュウリになり、それを過ぎるとウリのようなお化けキュウリになってしまう。
去年も一昨年も、留守中にお化けキュウリができてしまい、その後ほとんどまともなキュウリが採れなくなった苦い経験がある。
今年は何とかしたいと、栽培方法を少し変えてみることにしたのだ。

合掌造りにした支柱よりも高く伸びたキュウリ。
去年までは先端を摘み取って子づるを伸ばし、一度にたくさんのキュウリを実らす「摘心栽培」という方法で育てていたのだが、今年は先端を摘心する代わりに、蔓全体を下に降ろす「つる下ろし栽培」というやり方に変えてみたのだ。
摘心栽培は一度にたくさんのキュウリを収穫できるというメリットがある一方、夏前にはキュウリが採れなくなるという欠点があるという。
それに対してそれに対してつる下ろし栽培は、摘心せずにひたすらに親づるを伸ばしてそれになるキュウリだけを収穫する方法で、親づるが身長の高さまで伸びたら蔓全体を下に降ろすというシンプルな栽培法である。
私も、身長よりも高く伸びた裏庭のキュウリをズリズリっと引きずり下ろしてみた。

当然、下の方の蔓はトグロを巻くような状態。
邪魔な葉っぱは摘み取って、下の方に咲いていた花も取り除いておいた。
果たしてこれでいいのかどうかは定かではないが、何事も勉強、トライアンドエラーを繰り返すしかない。
キュウリやナスは肥料もいっぱい食うそうなので、2週間の留守の間に肥料が切れないように化成肥料を追肥しておいた。
心配なのは水やりだが、これは梅雨空に雨を期待するしかない。
先日降った大雨でまだ地面はかなりの水分を含んでいるので、適度な雨が留守の間に降ってくれれば、作物が枯れ果てる最悪の事態は避けられると期待している。

今年初めて挑戦するサトイモやショウガも芽が出てきた。
一昨年よりも去年、そして去年よりも今年。
少しずつではあるが、私たちの畑仕事も板についてきた気がする。
妻はすっかり岡山での暮らしにハマったようで、東京に帰るのが億劫になってきているようだ。
今後どんな暮らしになっていくかは二人にもわからないが、気の向くままに二拠点生活を楽しめる現状に大いなる幸せを感じている昨今である。