東京に戻る前の晩は、自宅の食材もあらかた食べ尽くし、生ゴミを出さないことも目的に外食にすることにした。
さて、何を食うか?
私の頭に浮かんだのがタイ料理だった。

とはいえ、岡山ではまだタイ料理を食べたことがない。
ネットで探してみると何軒かヒットしたものの、どうも怪しげな店も多い。
そんな中で、私が選んだのが鮮やかなブルーに塗られたこのお店だった。
「カオサン」
タイ語で「白米」という意味である。

去年オープンしたばかりというこの店は、店内にもブルーでイラストが描かれ、なかなかオシャレな雰囲気である。
タイ東北部出身の2人の女性が営むお店で、私が扉を開けると、ちょっと驚いたような表情で立ち上がった。
私たちが訪れたのは開店直後の午後6時前だったが、周辺は飲屋街なのでこんな時間に来る客は少ないのかもしれない。

岡山のタイ料理ということで、正直あまり期待していなかったのだが、メニューはなかなかの充実ぶりである。
妻は即決した。
昔バンコクに駐在していた頃、子供を連れてよく食べに行ったレストランの思い出の料理「プーパッポンカリー」をメニューに見つけたからだ。
ただ、この店のは同じカニでもソフトシェルのカレー炒め「プー・ニム・パッ・ポン・カリー」と書いてあった。

妻のオーダーがすぐに決まったので、私は初めて行くタイ料理店では必ず注文するタイの代表的スープ「トムヤムクン」を頼むことに。
そしてもう一品。
タイ東北部イサーンの名物サラダ「ソムタム」も久しぶりに食べたくなった。

最初に運ばれてきたのは「ソムタム」(1290円)だった。
酸っぱ辛い青パパイヤのサラダ。
激辛のタイ料理の中でもトップクラスの辛い料理だが、この店の「ソムタム」は日本人の味覚に合わせて辛さを適度に抑えてくれている。

かといって、本場のソムタムそのもので、パパイヤのシャキシャキ感もピーナッツとのハーモニーも完璧だ。
ひょっとすると日本で食べたソムタムの中で一番かもしれない。
岡山でまさかこんなにうまいソムタムを食えるとは思ってもいなかったので、俄然テンションが上がる。
普段あまり辛いものを食べない妻も珍しくおかわりして食べるほど美味しかったらしい。

続いては、「トムヤムクン」(1590円)。
通常のトムヤムクンに比べると赤みが欠ける見た目だが、こちらも味の方は本場の美味さだ。
酸味があってコクも申し分ない。
それでいて辛さだけをいい具合に抑えてくれているので、日本人には最高の味つけだ。

嬉しかったのは、トムヤムクンと一緒に頼んだライスが、ちゃんとしたタイ米だったことだ。
白米を意味する「カオサン」という店名も伊達じゃない。
日本の米に比べて粒の長いタイ米は、独特の香りがあって食べ慣れるとこの香りがクセになる。
日本のお米よりもサラッとしていて、これがトムヤムクンによく合うのだ。

大ぶりなエビがゴロゴロ入ったスープにタイ米のライスを浸していただく。
タイ在住時代からの私の好きな食べ方だ。
妻も珍しくトムヤムクンを食べた。
それも何杯もおかわりをして。
この美味さを理解する人が岡山にどれほどいるのだろうか?

そして最後に運ばれてきたのが「プー・ニム・パッ・ポン・カリー」(1980円)。
これは私たちがバンコクで食べていた料理とは明らかに違った。
タイでよく食べていたカニは硬い甲羅を持つマングローブ蟹だったけど、この店で使っているのは小ぶりなソフトシェルクラブ。
一度揚げてから卵と一緒にカレーで炒めている。

ソムタムとトムヤムクンがあまりにイメージ通りだったので、この料理が出てきた時にはちょっとがっかりしたけれど、いざ食べてみると、これはこれでとても美味い。
特にソフトシェルを揚げて殻ごとムシャムシャ食べるのだが、これがまた独特の旨みがある。
結局、注文した料理は全て大満足。
こんなことは滅多にないことだ。

結局、私たちが食べ終わって店を出るまで他のお客さんは一人も来なかったけれど、このお店は文句なく岡山での私たちのナンバー1となった。
ぜひこの味がわかる人たちに愛されて長く続いてくれることを願うばかりだ。
値段はちょっと高いけれど、最高に美味しいタイ料理店であった。
食べログ評価3.20
「カオサン」
電話:090-4101-3399
営業時間:11:00 - 14:30/17:00 - 22:00
定休日:月曜
https://www.instagram.com/khaosan.jp?igshid=MWZjMTM2ODFkZg%3D%3D