ウフ・ティ・ブリン

そして最後3日目のディナー。といっても店に入ったのは午後4時ごろだった。
前日食べすぎてお腹が重かったことと、人気店なので混雑時を避けようとの狙いがあった。

通称「噴水通り」と呼ばれる観光客に人気のアドミラーラ・フォーキナー通りにある超人気のお店「ウフ・ティ・ブリン」。
看板でわかる通り、ロシア風パンケーキ「ブリヌイ」の専門店だ。

午後4時だというのに、店内は満席。
忙しそうに立働く店員にメニューを頼んでも、一向に持って来てくれない。というか、水さえ出てこないのだ。
「サービスの悪い店だなあ」
と思いながら店の様子を伺っていると、どうやらこの店ファストフード店のように客がカウンターに行って注文するスタイルだとわかった。

私もカウンターに行き、メニューをくれと伝えると「どこから来た」と聞いてくる。
「そんなことはどうでもいいからメニューをくれ」と思っていると、「コリアンか?」と聞くので「ジャパニーズだ」と伝えると、サッとメニューを手渡された。
開くと何と日本語のメニューではないか。

どうやらこのお店、韓国人に大人気で韓国語のメニューがたくさんある。
日本人客もそれなりに多いので、日本語メニューも作っているということらしい。
確かに一口にブリヌイといっても、おかず系のブリヌイもあり、デザート系のブリヌイもある。そしてその種類がべらぼうに多い。だから日本語で材料などが丁寧に説明されているこのメニューがないと、何を注文していいのか皆目見当がつかないようなお店なのだ。
迷いに迷って注文するメニューを決めた。

カウンターの店員に注文を伝え支払いを済ませると、木製の番号札を渡される。
注文した品は、先ほどの“サービスの悪い”店員が席まで運んで来てくれる仕組みのようだ。

最初に運ばれて来たのは「ピナコラダ」(165p)という謎の飲み物。この店ではこの種の飲み物を「カクテル」と呼ぶ。アルコールはまったく入っていない。
「ピナコラダ」は、アイスクリーム、ミルク、ヤシの実、パイナップルジュース、ヤシの実シロップが原料だと書いてある。
一口飲むと、これが超美味い。思ったほど甘すぎず、しっかりとした旨味がある。これは大正解、オススメだ。

「ピナコラダ」を少しすすったところで、ブリヌイが運ばれて来た。
私が選んだのは「鮭、クリームチーズと野菜入りブリニー」(230p)。この店ではブリヌイを「ブリニー」と表記する。クレープに巻かれた材料は、クリームチーズ、燻製の鮭、そして野菜だ。

これが今夜の主食となる。とても美味しい。
クレープには甘みがあり、中はスモークサーモンとクリームチーズ、適度な塩分と酸味がある。これは重くなった胃にはちょうどよかった。

鮭のブリヌイを食べ始めたところへ、早々とデザートのブリヌイがやって来た。
「バニラアイス付き洋梨のブリニー」(210p)。
まだ暖かいクレープの上で、アイスクリームが溶け始めていた。
急いで鮭のブリヌイを食う。その間にも、アイスクリームは容赦なく溶けて広がっていく。もう少し、時差をつけて持って来てくれればいいのに・・・。

鮭のブリヌイを食べ終わった時には、アイスはもうお皿全体に流れ出していた。
それをクレープで拭き取りながら食べる。
うーん、これはどうだろう?
ちょっとロシアのアイスクリームは味がしつこい。乳脂肪の濃度が高すぎるのだろう。だから後味がさっぱりしない。もちろん、クレープとアイスクリームの相性は悪くないのだが、最初に飲んだ「ピナコラダ」の方がずっと美味しい。
デザートのブリヌイはシンプルに蜂蜜だけのものにすればよかったと、ちょっと残念な気持ちになった。
でも、このお店、世界の観光客を引きつけるその魅力と実力は、間違いない。ちょっと軽めに食べたい時にはうってつけのお店だと思う。

この季節、ウラジオの夕日が沈むのは、午後9時ごろだ。
ディナーを食べた後でも、気持ちのいい夕涼みができる。
予想外に美味しいディナーに3日ともありつけて幸せだった。ロシア料理を侮ることなかれ。特に海産物の豊富なウラジオストクは、ひょっとするとロシアのグルメタウンなのかもしれない。
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突然失礼いたします。1日目にクラフトビールで出てきたのは、蜂蜜酒です!クマの上に書いてあるмёдが、ロシア語で蜂蜜という意味です。ビールではありませんが、アルコールは入っています。