お彼岸も過ぎ、日差しもすっかり春めいてきた。
妻が「桜、見に行こう」と声をかけてきた。今年、東京の桜の開花は3月21日だった。平年より5日早かったようだ。

井の頭公園に足を踏み入れると、木々が一斉に芽をふき始めているのに気づく。
空は快晴、この季節は好きだ。毎年、心が踊る。

桜よりも一足早く、白いコブシの花が咲き誇っている。

大きな花弁がちょっとだらしないが、その派手派手しい装いも春の訪れを感じさせてくれる。
青空をバックにすると、その白は一層映える。

ソメイヨシノはまだ咲き始めで、チラホラ咲いている程度だが、気の早い花見客はすでにシートを敷いて場所取りをしている。
街では、公園に向かって続々を人が流れていくのを見たので、午後にはもうすっかり花見客で埋め尽くされるのだろう。

白いオオシマザクラは、もうすでにかなり咲いていた。
ソメイヨシノに比べると人気はないが、私はこの白い桜が好きだ。緑の若葉が一緒に楽しめるからだろうか?

公園の中でも毎年一番先に見頃になるのが、神田川に流れ出す井の頭池東端の桜だ。
今年ももう三分か五分咲きといった咲き具合で、桜目当てにやってきた外国人観光客たちがしきりに記念撮影をしていた。

どうやら最近、外国人の間でも東京の桜の名所として井の頭公園は有名になったようで、この季節になるといつも以上に多くの外国人を目にする。
近くのジブリ美術館とセットで楽しむ観光客が多いようだ。

ただ、井の頭公園の桜もだいぶ老木になってしまい、年々花のつき方が悪くなっている気がする。
中には、太い枝を切られた桜の木も痛々しい姿をさらしていて、あと何年頑張ってくれるのだろうと、ちょっと心配になってくる。計画的な植え替えを検討する時期に来ているのだろう。

桜の様子を眺めながら公園を一回りした後、軽くランチを食べることにする。
吉祥寺駅南口の目の前にある吉祥寺を代表するお蕎麦屋さんだ。

私はまだいただいたことがないが、「五色そば」が有名なお店だ。
地元では有名な人気店だが、ちょっと薄汚れた雑居ビルの地下に入っているのでたまたま通りがかりの人が来るようなお店ではない。

店内は民芸調の落ち着いた造り。
正面には神棚が祀ってある。

調理場を隠すように、日本酒が並んだ棚が置かれているのも、雰囲気がある。

神棚の下には「本日の変りそば」と書かれた木札がかけられている。
これこそがこの店の看板であり、この変りそば3種に細麺と太麺のもりそばを加えたものが名物「五色そば」となる。
変りそばは日により季節によりメニューが変わる。
今日はありがたいことに、「桜そば」があった。これこそ、この季節限定だ。

時間はまだ11時すぎであまりお腹が空いていなかったので、妻は「桜そば 小サイズ」(525円)を注文した。

「変りそば」は1種普通盛りが900円、小サイズだと525円となる。
麺は細くツヤツヤで、ほのかな桜色をしている。
量は少ないので、ペロリッと食べられる感じだ。

そばつゆはこれまた民芸調の器で提供される。
全てが小ぶりだ。

でも、一口食べると、口中に満足感が溢れる。
桜餅を食べた時のような、桜の香りが広がる。これは、いい。まさに、「桜そば」だ。

適度の歯ごたえもあり、本当に美味しいそばだ。
毎年、桜の季節には訪れたいお店である。

私は、「変りそば 二色もり」(1050円)を注文した。
選んだのは、「桜そば」と「白雪」。まさに紅白のおそばだった。
通常の「二色もり」は、細麺と太麺の2種類で840円だが、変りそばを頼むと小サイズの料金×枚数をなるようだ。

「白雪」は文字通りの真っ白なおそばで、いわゆる「更科そば」のような感じである。
もちろん、こちらも文句なしに美味しい。

そして夫婦揃って食べたいと思ったのが、こちらの「そばもちしるこ」(570円)。
「白玉粉とそば粉をブレンドしたやわらかいおもちと手作りあんこ(こしあん)」という説明書きが添えられている。

1つ注文して二人で分けていただいた。
これは、美味い。想像以上の美味しさだ。

2つ入ったお餅は、ちょうどいい柔らかさで存在感がある。
小豆は残っていなくて、代わりにそばの実が浮かんでいる。
吉祥寺でこれまで食べたデザートの中でも、トップクラスの美味しさだと妻と意見が一致した。
「ほさか」の実力を改めて再確認したランチであった。
食べログ評価3.57、私の評価は4.50。
「手打ちそば ほさか」 住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-1 井の頭ビルB1F 電話:0422-48-2118 予約:可 営業時間:平日: 11:00~20:45(L.O.) 日祝: 11:00~20:30(L.O.) 定休日:月曜日
1件のコメント 追加