ゴールデンウィークの吉祥寺駅南口。

平日とはいえランチタイムは多くの人でごった返している。
どこか空いているお店を見つけてランチを食べようとブラブラ探していると、ちょっと目立つ看板に目が止まった。

「イタリアンまぜそばのお店 みくちゃん食堂」。
「吉祥寺」「濃厚」の文字が躍るが、果たして「元祖イタリアンまぜそば」とはどんな食べ物なのだろう?
その好奇心だけで、一度食べてみることにした。

正面のレイアウトからお店は2階かと思ったら、実は階段裏に地下に降りる階段があった。
「もつ焼き 串屋横丁」という看板と共に階段の壁にはずらりと居酒屋メニューが貼ってある。
実は「みくちゃん食堂」は、居酒屋が営業していないランチタイム限定のお店なのだ。

狙い通り、店内は空いていた。
カウンターに陣取り、メニューを眺める。

『私がみくちゃんです!!』
若い女性店長さんのプロフィールが写真入りで紹介されている。
アメリカのディズニーワールドに留学した後、居酒屋グループに就職、1年半で店長を任されて“人の愛に溢れるアットホームなお店”を目指して奮闘中と書かれていた。

それを眺めていると、みくちゃん店長その人が注文を取りに来たので、「イタリアンまぜそばって何?」と聞いてみると、麺は中華麺を使いイタリアン風だがちゃんと醤油ベースのかえしも加えた吉祥寺だけのオリジナルの味だという。
要するに、パスタとまぜそばを合わせたものらしい。
「どれが人気なの?」と聞くと、王道は「トマトバジル」で、リピーターが多いのは「明太子クリーム」と「アラビアータ」とどれでも選べるような答えが返ってきた。
しばし、悩んで王道の「トマトバジル」(1000円)の並盛を注文する。
中盛でも同じ料金だが、最近は並盛で十分になってしまった。

食前のスープと食後の紅茶が飲み放題となっているそうで、促されるままにセルフサービスのスープを取りに行く。
ちょっと味の薄いコンソメスープで、好みでトマトやわかめを加えるようである。

改めて店内を見渡すと、文字通り居酒屋という雰囲気で、「みくちゃん食堂」という看板から想像する女子っぽい雰囲気はまったくない。
コロナ禍でこの居酒屋もいろいろ試行錯誤をしているようで、去年までは「みくちゃん食堂」は定食屋さんだったらしいが、今年1月12日から「元祖イタリアンまぜそば」のお店にリニューアルしたという。
それにしてもこんな若い女の子の名前を店名にして店長を任せるとは、居酒屋業界も捨てたもんじゃないと感じる。
もしもブームになれば、彼女にはビッグチャンスとなるだろう。

そうこうしているうちに、イタリアンまぜそばの「トマトバジル」(1000円)が置かれた。
トマトとバジルとチェダーチーズが乗った中華麺はとても彩豊かである。

よく見ると、トマトの上にマヨネーズのようなソースがかかっている。
果たして何味か?

全体をしっかり混ぜてからいただく。
麺が気持ちいいほどもちもち。
「トマトバジル」はちょっとあっさりしすぎかと思っていたら、どっこい味が濃い。
ベースはチーズ味だろうか、バジルの風味も強く、想像以上にイタリアンな麺に仕上がっていた。
これ、美味いじゃん!
パスタのようだが確かにパスタとは違う。
パスタ好きな人以外でも、油そばやまぜそばが好きな人はハマる可能性が高いと思った。

食後はみくちゃん店長が入れてくれたアールグレイの紅茶を飲んでゆっくり。
紅茶は好みでホットとアイスを選べるという。
南口を降りて30秒、あの目立つ看板に引き寄せられて私のように一度食べてみる価値は十分にある。
食べログ評価3.08、私の評価は3.50。
「みくちゃん食堂」 電話:0422-76-5401 営業時間:11:00~15:00 定休日:無休 https://www.instagram.com/mikuchan_shokudo/