「キビタキ」の声を初めて聞いた。
一昨日の朝、「小鳥の森」を歩いている時のことだ。
その場所にいたバードウォッチャーの人たちが一斉に上を見上げて、双眼鏡や望遠レンズを通して小鳥の居場所を探している。
私は「何の鳴き声ですか?」と尋ねると、一人の女性が「キビタキよ」と教えてくれた。
最近私は、鳥の鳴き声を聴き分けられるようになりたいと思い、サントリーが運営している『日本の鳥百科』というサイトをよく利用しているのだが、「キビタキ」についてはこんな説明がされていた。
全長13.5cm。オスはカラフルですが、メスは地味な暗緑色をしています。夏鳥としてほぼ全国で繁殖していますが、亜種リュウキュウビタキは、留鳥です。木の穴、建物のすき間などに巣をつくります。繁殖期、オスはなわばりの宣言と、メスの関心を引く「さえずり」を日の出とともに高らかにうたいあげます。南からやってくる夏鳥の中で、その体の美しい配色と、美しい声でひときわ目立つのが、キビタキのオスでしょう。よく繁った落葉広葉樹林にふさわしい、はなやかな色あいと、明るく大きなうたごえです。渡りの途中には市街地にも姿を見せることがあります。林の内部の空中で餌の虫をとっています。
出典:日本の鳥百科
このサイトがいいのは、その鳥の「さえずり」や「地鳴き」が音声で聴けることだ。
さらには、YouTubeの動画まで埋め込まれている。
結局この時は、声はすれども姿は見えず、バードウォッチャーの人たちも見つけられないまま林の奥に飛んでいってしまった。
しかし本当に美しい声、聴いているだけで心が穏やかになってくる。
中国のお年寄りたちがカゴに小鳥を入れて持ち寄り、鳴き比べをして楽しむ気持ちが初めて理解できた。
もっと鳥の声を知りたい。
そんなことを思っていた時、図書館で見つけたのがこの本だった。
高野丈編著『井の頭公園いきもの図鑑』。
高野さんは吉祥寺在住の写真家・編集者で、2005年に「井の頭かんさつ会」を立ち上げた中心人物だそうだ。
井の頭公園で自然観察会を毎月開催し、主宰する「井の頭バードリサーチ」で観察した野鳥を365日毎日記録し続けていたという。
「井の頭バードリサーチ」のサイトを見てみると、2017年で更新がストップしているが、高野さんご自身のサイト「birdimages.jp」とフェイスブック上の「井の頭いきものナビ」に場を移して、「井の頭自然さんぽ」という名前を活動を定期的に実施されているようだ。
これらのサイトは、折に触れて利用させていただくとして、今日は図書館で借りてきた「井の頭公園いきもの図鑑」をベースに、今のシーズンにやってきた夏鳥たちの名前を覚えてみようと思う。
「井の頭公園いきもの図鑑」には、野鳥だけでなく、樹木や草花、動物や昆虫、さらには菌類まで多種多様な動植物たち200余種が掲載されている。
しかも、その生き物がどのあたりで観察できるのか、井の頭公園の大まかな場所も書かれているので、今年から植物観察を始めたばかりの私にとってはお宝と言ってもいい図鑑なのだ。
この中から、今回は夏に公園にやってくる野鳥だけにスポットを当て、特に私がぜひ出会ってみたい 種類の夏鳥をピックアップした。
まずは、私が鳴き声を聞いた「キビタキ」から。
本の中では次のように紹介されていた。
■ キビタキ(黄鶲)
見出しは「夏鳥の代表格」。
春から初夏にかけて、美しいさえずりを聞かせてくれるヒタキ類の一種。最初に「ピコリ」と一声鳴いて、その後長くさえずる。地鳴きはヒッヒッヒッ、クルルルル、ヒッヒッヒッを繰り返す。オスは上面が黒く、下面と眉斑、腰は黄色い。喉は橙色で目立ち、胸から下腹にかけての淡い黄色との取り合わせがスイセンの花色に似ているのでスイセンの学名Narcissusが学名と英名につけられている。メスはオスに比べて地味な羽色で、全体に茶褐色、上尾筒から腰にかけてオリーブ色を帯びる。
引用:井の頭公園いきもの図鑑
さらにこんな蘊蓄も書かれていた。
鳴き真似が得意で、さえずりにはさまざまなレバートリーがある。コジュケイやウグイス、サンショウクイなど他の鳥の真似はもちろん、セミのツクツクボウシの鳴き真似もする。
引用:井の頭公園いきもの図鑑
「オウムやインコでなくても、鳴き真似をするんだ」とますます興味を掻き立てられる。
「キビタキ」 分類:ヒタキ科キビタキ属 全長:14cm 観察できる時期:4、5、9、10、11月 観察できる場所:池のほとり、御殿山、玉川上水、小鳥の森
■ オオルリ(大瑠璃)
見出しは「幸せの青い鳥」。
美しい瑠璃色の羽をもつヒタキ類の一種で、九州以北に飛来する夏鳥。春、新緑が芽吹いたばかりの林を歩くと、ウグイスやコマドリと並び、「日本三鳴鳥」にも数えられる美しいさえずりが聞こえることがある。「ヒーリーリー」「ピルリポルリ」などと尻下がりにさえずり、終わりに「ジチッ」という音を出すことが多い。オスの上面は光沢のある瑠璃色で、頭頂は淡い。顔から胸にかけては黒く、下面は白い。
引用:井の頭公園いきもの図鑑
「日本三鳴鳥」の一つ「オオルリ」も、どうしても見てみたい小鳥。
その姿と鳴き声を憶えるためYouTubeから動画を拝借する。
「オオルリ」 分類:ヒタキ科オオルリ属 体長:17cm 観察できる時期:4、5、9、10月 観察できる場所:池のほとり、御殿山、玉川上水、小鳥の森
■ センダイムシクイ(仙台虫喰)
見出しは「季節を告げる代表的な渡り鳥」。
小型で地味な羽色のムシクイ類の代表種。春、「チヨチヨビー」というさえずりを聞くと、春の渡りが始まったことを告げられたように感じ、わくわくする。このさえずりは「鶴千代君」「焼酎一杯ぐいー」などと聞きなされる。上面は黄色みを帯びたオリーブ色で、翼には1本のはっきりした帯がある。眉斑は白くはっきりしていて、下のくちばしは鮮やかな橙色。頭部中央に1本の線が入ることも他のムシクイ類と区別するポイントになる。
引用:井の頭公園いきもの図鑑
YouTubeの動画はこんな鳴き声だった。
この鳥は、迷子になりやすいという。
本種は迷行することが多い。吉祥寺のヨドバシカメラの前や、東中野駅のホームの蛍光灯にとまっているのを見つけた。真冬にも複数回観察している。
引用:井の頭公園いきもの図鑑
「センダイムシクイ」 分類:ムシクイ科ムシクイ属 体長:13cm 観察できる時期:4、5、8、9月 観察できる場所:御殿山、玉川上水、小鳥の森
■ エゾムシクイ(蝦夷虫喰)
見出しは「神秘的なさえずり」。
金属的な音で、神秘的に聞こえるさえずりが特徴のムシクイ類。センダイムシクイに比べて見かける機会が少なく、渡ってくる時期はやや遅い。「キンキン」という声の後に「ヒーツーキーヒーツーキー」と金属的な高い音でさえずる。このさえずりで他のムシクイ類との識別は容易だが、メスや非繁殖期のオスはさえずらないので識別に苦労する。さえずりが聴けない時は、「キンキン」という地鳴きが手がかりとなる。
引用:井の頭公園いきもの図鑑
YouTube動画はこんな感じ。
「エゾムシクイ」 分類:ムシクイ科ムシクイ属 体長:12cm 観察できる時期:4、5、8、9月 観察できる場所:御殿山、玉川上水、小鳥の森
■ クロツグミ(黒鶫)
見出しは「朗らかなさえずり」。
大型のツグミ類で、オスは白黒ツートーンカラーが魅力。北海道から九州にかけて飛来する夏鳥。豊富なレパートリーをもつ歌い手で、林に響く朗らかなさえずりが心地よい。オスは頭部から尾羽にかけて上面や翼が黒く、嘴とアイリングが黄色く目立つ。下面は白く、黒い斑が散財する。
引用:井の頭公園いきもの図鑑
この鳥の声にも聞き覚えがある気がするので、YouTubeを見てしっかり覚えたいと思う。
「クロツグミ」 分類:ヒタキ科ツグミ属 体長:22cm 観察できる時期:4、5月 観察できる場所:御殿山、玉川上水、小鳥の森
■ コマドリ(駒鳥)
見出しは「馬のいななきのようなさえずり」。
橙色の羽が美しい小鳥。「ヒンカラカラカラ」というさえずりが、馬(駒)のいななきに似た鳴き方なのが和名の由来。尾羽を上げたり、広げたりしながら、上を向いて胸を張ってさえずる。雌雄とも頭部が橙色で、上面が橙褐色、下面は灰色。
引用:井の頭公園いきもの図鑑
YouTube動画はこんな感じだ。
「コマドリ」 分類:ヒタキ科ノゴマ属 体長:14cm 観察できる時期:4、5月 観察できる場所:玉川上水、小鳥の森
さて、今日から緊急事態宣言も延長期間に入る。
ステイホームを続けながら、鳥の声に耳を傾けよう。
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