<吉祥寺残日録>入管法改正騒動に思う!難民と移民をごちゃ混ぜにする「難民鎖国」日本の背景 #230609

避難民の入国や送還のルールを変える改正出入国管理法が成立した。

長年「難民鎖国」と呼ばれ欧米諸国から批判を受けてきた日本だが、これまでは法的に認めて来なかったウクライナやミャンマーのような紛争国からの避難民を受け入れられるようになる。

その意味では一歩前進と言えなくもない。

しかし同時に、難民申請を理由に不法滞在を続ける外国人を強制送還できるようにする規定も盛り込まれるため、立憲民主党や共産党、支援団体などは強く抵抗した。

そのためメディアの報道も与野党の対立ばかりが強調され、この法律が提起する問題の本質があまり伝わって来なかったように感じる。

私はこのニュースを扱う時にポイントは、日本が今後どのような国を目指すのかという根源的な問題意識が必要だと思っている。

人道的な難民受け入れと経済的ニーズが高まる移民をしっかり区別したうえで、今後外国人をどの程度、どういう基準で受け入れていくのかを堂々と議論し国民的なコンセンサスを作り上げる時期に来ていると思うのだ。

日本にはなぜか「単一民族国家」という幻想がある。

おそらくこれは天皇を神格化した明治政府が意図的に作り上げた幻想なんだと思うが、そんな「神の国」信仰が戦前の侵略戦争と国土の荒廃を招いたにもかかわらず、保守派の人たちの間では今も天皇を中心とした日本民族による純粋な国家を志向する考えが根強い。

そうした偏狭な民族主義が長年、難民や移民の受け入れを難しくしていたのだ。

しかし古代史を勉強してみると、日本民族の大半は極めて長い年月をかけて大陸から移住してきた集団の末裔であり、保守派の人たちが嫌う朝鮮系や中国系のDNAが私たちの中にも明らかに流れている。

天皇自体、そのルーツはもちろん神などではなく、古墳時代に大陸から渡ってきた有力者だと私は考えている。

とはいえ、アメリカやカナダ、オーストラリアのような広大な国土を持つ国ではなく、人口密度も高い日本に多くの難民を受け入れることは現実的に難しかったのも事実だ。

私は学生時代、インドシナ難民の受け入れ施設でボランティアをした経験があるが、「ボートピープル」と呼ばれ命からがら逃れてくる絵に描いたような難民はそういるものではない。

とはいえ、もしも台湾有事や北朝鮮の崩壊が起きれば多くの難民が日本に押し寄せる事態も考えておかねばならないだろう。

もうひとつ、移民という問題もある。

少子高齢化が抜き差しならない段階まで進んだ日本では、あらゆる業種で人手不足が深刻になる中で、これまでのように外国人に門戸を閉ざしていては社会が機能不全に陥る状況になってしまった。

そこで政府は、悪名高い「技能実習制度」を「発展的に解消」し、代わって「特定技能2号」という資格を拡大することによって、必要な外国人労働者を合法的に受け入れることを決断した。

特定技能の資格は人手不足解消を目的に2019年にできたばかりだが、在留期間の更新が可能な「特定技能2号」が認められるのは「建設」と「造船・舶用工業」の2分野に限定され、実際にはほとんど活用されなかった。

コロナ禍を経て経済活動が再開される中で、人手不足の状況が一段と厳しくなる中で、政府はこの「特定技能2号」を拡充してより多くの業種で外国人を雇用できる環境を整備する決断をした。

私はとりあえず一歩前進だと捉えているが、なぜ堂々と必要な移民を受け入れないのか?

技能実習という名目で外国人を連れてきて実際には日本人がやりたがらない介護施設や農業、中小企業で働かせてきたのがそもそもおかしいのだ。

日本人の純血な社会を守りたい一部の保守派に気を遣って、まやかしの制度を作って「あれは移民ではない」と誤魔化してきたにすぎない。

気の毒なのは技能実習でやってきた外国人たち。

コロナ禍で突然解雇されても転職も認められず帰国もできず、苦しい生活を強いられたベトナム人たちが犯罪に手を染めたニュースがどれだけあったことか。

こうしたニュースを聞いて「だから外国人が入ってくると治安が悪くなる」と理解した日本人も多かっただろうが、これは日本の制度が彼らを犯罪に追い込んだのだ。

今回の入管法改正に反対する人たちの間では、日本政府がこの法律を使って強制送還を大々的に始めるのではないかとの疑念があるのだろう。

その背景にあるのは、日本人の純血思想である。

入管当局は長年、外国人の出入国管理を厳格に行うことを職責としていた。

一昔前と比べると、日本語を流暢に話す外国人が驚くほど増えている。

難民申請を繰り返し行なっている人たちの中には、日本に長期間滞在し上手な日本語を話す人たちも多い。

日本が好きで、日本語も勉強し、地域社会で必要とされている人たちを強制送還するというのは日本にとって本当に正しい選択なのだろうか?

日本社会にもっと様々なルーツを持つ人が共生するようになれば、自ずと日本人の国際感覚も磨かれることが予想される。

外国人を受け入れることは日本にとっても大きなメリットがあると私は思う。

日本は単一民族国家だという幻想を捨て、真の意味で多様性を理解する国民となるために、人道的な難民受け入れと経済的な移民をしっかり区別したうえで、日本を愛してくれる外国人をもっと積極的に受け入れるようになってもらいたいと私は願っている。

<吉祥寺残日録>国連UNHCRの支援対象者がついに1億人を突破!「世界難民の日」に想うこと #220620

コメントを残す